「顧客創造」という軸となる考えをぶらさず、「固定概念」にとらわれない組織を醸成へ―。
　ベイオークの新社長に就任した柏原隆宏さんの経営に対する思いだ。「新しい風を入れるために」と、塩原淳平社長が辞任を申し出て、柏原さんが５１歳という若さで、大阪の老舗オートオークション（ＡＡ）会場の舵取り役に抜てきされた。ユーポス、ロードカーなどで社長を務める柏原さんは、初めてのＡＡ業界に飛び込んだが「われわれの強みはお客さん。『現場＝お客さん』という考えのもと、全スタッフが皆で考え、意見を出しながら、お客さんが何を求めているかを問いかけていきたい」と意気込む。

　「現場主導で会員の声を聞きながら、皆でベイオークを運営していきたい」という考えからだ。全社員が一丸となって「顧客創造」につなげていくチームを先導していく姿勢だ。柏原さんの考える「顧客創造」とは、お客さんの絶対数を増やすことと、個々の関係性を強めること。こうした取り組みの中で、会員との信頼関係を深めていく。

　歴史のある会場だが「固定概念にとらわれず、新しいことにもどんどん挑戦していきたい」という。現場で情報を集めた社員たちがポジティブ、ネガティブ問わず、情報を社内共有・蓄積していけるような組織を目指し、会員の声を形にする。老舗会場ならではの歴史や伝統を大切にしながらも、時代のニーズに合わせたＡＡ運営を醸成していく。

　２０２４年度（２４年４月～２５年３月、４９開催）は、累計出品台数６万５０００台を目指し、社員たちと一緒になって目標を追いかける考えだ。　　　（室田一茂）

【プロフィール】
柏原隆宏氏（かしはら・たかひろ）。１９７２年６月２１日、大阪府泉佐野市生まれ、５１歳。
建設会社勤務を経て、２００３年５月、ロードカー入社。０９年９月、東京ユーポス社長。１０年６月ロードカー社長。１３年５月ユーポス社長。２３年５月ベイオーク取締役。２４年４月同社社長。趣味は休日に楽しむ魚釣りで、釣り上げた魚を家族のために自分で捌くことも。