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【特集】自動車整備業界でのオンライン商談の活用機会

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  • 日本自動車整備振興会連合会発表の「自動車分解整備業実態調査結果の概要について」より 日本自動車整備振興会連合会発表の「自動車分解整備業実態調査結果の概要について」より
  • 小野瀬社長が描く「with コロナの車検サービス」マトリクス 小野瀬社長が描く「with コロナの車検サービス」マトリクス
  • 小野瀬自動車 タブレット端末でユーザーに説明 小野瀬自動車 タブレット端末でユーザーに説明
  • 小野瀬自動車 小野瀬社長 小野瀬自動車 小野瀬社長
  • 平井自動車 平井専務 平井自動車 平井専務
  • 平井自動車 マニュアルも作り目的を明確化 平井自動車 マニュアルも作り目的を明確化
  • 自ら動画出演するウィードの辰巳和良店長 自ら動画出演するウィードの辰巳和良店長
  • 「ウィードベース」では各種作業風景などを配信 「ウィードベース」では各種作業風景などを配信
 自動車販売台数は2019年10月の消費増税により普通乗用車の新車販売台数は大幅な落ち込みとなった。増税前の9月は前年同月比13・3%増と駆け込み需要を見せたが、増税後の10月は前年同月比27・5%減まで落ち込み、それ以降20年3月までは毎月、前年度比10%減前後で推移してきた。消費増税にくわえ、2月以降は新型コロナウイルスの感染が世界規模に拡大、それにより自動車販売は大きな影を落とすこととなった。
 販売は新車に大きく影響。登録車と軽自動車の新車販売台数は4月が前年同月比28・6%減、5月は44・9%減、6月は22・9%減と各月で対前年実績を大きく割り込んでいる。新型コロナウイルス感染拡大による市況への影響は、2008年のリーマンショックと同様、もしくはそれ以上の景気後退に及ぶとの声も聞こえる。

 一方で整備に目を向けると、過去の実績を見る限り総売上高は堅調に推移している。日本自動車整備振興会連合会(日整連)が発表する「自動車分解整備業実態調査結果の概要について」の総整備売上高を見ると平成27〜28年度は2年連続で減少したが、平成28年度を底に増加に転じ、平成31年度の総整備売上高は5兆6216億円となり3年連続の増加となった。
 作業内容別に見ると車検整備が40%弱、定期点検整備が7%弱、事故整備が20%強、その他整備が33%前後と各整備内容の売上高比率はほぼ一定の比率で推移している(表画像)。新車販売台数は2008年のリーマンショック、11年の東日本大震災の際に大きな落ち込みを見せたが、整備事業はわずかな減少となったが、ほぼ影響を受けることがなかった。整備事業者の中からは「自動車整備業界は車検制度に救われている」との声も聞こえる。

■ニーズに合わせ変わりつつある商談
 新型コロナウイルス感染拡大により生活様式とともに従来の接客や商売の在り方が大きく変わりつつある。今まではいかに店に足を運んでもらうか、どのような接客や店舗作りをするかがサービスを提供する上で重要視されていた。しかし、現在は「三密」回避やソーシャルディスタンスなどいかに人と人との距離を取るか、いかに人との接触機会を減らしながらもサービスを提供できるかが求められている。
 自動車販売の場面では、従来の対面による販売からオンライン販売の認知、利用が広がりつつある。前号(744号)では実際にオンライン商談を活用する販売店の声を紹介した。その方法も「Zoom」や携帯電話の「フェイスタイム」等による双方向の映像通信や「LINE」、メールを用い写真を送信しながらコミュニケーションを取っていく方法など、販売店はユーザーニーズに沿いながら新たな販売方法に取り組んでいる。実際にオンライン商談に取り組んでいる販売店からは「対面販売と遜色ない」「ストレス無く商談が進む」等の高評価も聞こえ、今後の営業戦略上でオンライン商談を必須と考えているという声も紹介した。
https://www.goonews.jp/news_detail.php?view=auto&id=9273

 整備業界でも日整連が「自動車整備事業場における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を策定し、整備事業者の感染防止の基本的な考え方や具体的対策など、コロナ禍における整備作業の取り組み方を示している。オンラインで車両状態の確認はできても実際に整備をする際には車両の持ち込みが必要になる為、オンライン整備は必要ないとの見方もあるが、この機会に「オンライン整備」に取り組む事業者もいる。今回はオンライン整備の方法と、現在オンライン整備に取り組む事業者の考え方や作業について紹介したい。


■■納得の整備を受けたいユーザーにサービスを提供。アフターコロナ時代を見据え変化に挑む■■
 ~小野瀬自動車 (茨城県ひたちなか市・小野瀬征也社長)~
 小野瀬自動車は新型コロナ感染拡大を受け 「リモート車検」をスタートした。「リモート車検」が生まれた背景には 「新型コロナ感染拡大に危機感を持った。外出自粛が推奨される中で、車検は何年かに1回はやらないといけないものであり、必要なもの。必要にもかかわらず店舗を訪問しにくい状況が生まれている。この状況に対して自分たちが出来ることは何かを考えた」 (小野瀬社長)があるという。
 リモート車検」は「Zoom」を利用し、同社から半径15キロ以内のユーザーを対象としている。出発前に検温、手洗いうがいをしたスタッフが除菌済み代車に乗ってお客様宅を訪問。お客様がタブレットを持っていない場合は、除菌済みのタブレット端末をお客様に渡し、「Zoom」での車検立ち合いの方法について説明する。預かったお客様のクルマもその場で除菌をし、当社に持ってきて立会説明の時間になったら整備士がタブレット端末の「Zoom」を繋いで、各箇所の状態を説明していくというもの。「アフターコロナ時代を見据え、社会情勢の変化に対応した事業として『リモート車検』を始めた。儲けより整備業界も変化していかないとアフターコロナの時代は取り残されていく」(小野瀬社長)という。
 小野瀬社長が考える「リモート車検」のターゲットユーザーは明確だ。「withコロナの車検サービス」マトリクス(画像参照)の左上「外出したくないが納得の整備を受けたい人」に「リモート車検」を提供してい。「現在の当社の価値はマトリクスの右上であり来店して整備、説明をするというもの。コロナの時代に必要なのは左上。外出したくなくて納得の整備を受けたい人へのサービスが無かった。アフターコロナの時代は、なじみの店なら安心安全で来店するけども、ある一定層は感染リスクを恐れて自宅滞在する社会になると考えている。そのある一定層に対してサービスを提供していく」(小野瀬社長)という。
 小野瀬社長は「社員からも『リモート車検』は良いサービスと賛同を得ている。説明も動画でできれば更にわかりやすくなるなど改善点を挙げてくれている。社員、お客様の声を取り入れながら、今後もよりわかりやすい見せ方を作り、輪を広げていきたい」と話した。



■■新たな生活様式を視野にオンライン整備導入。オンラインだからこそ新たな可能性も■■
 ~平井自動車 (茨城県境町、平井俊行社長)~
 平井自動車は新型コロナ感染拡大を受け 「オンライン整備」の取組をスタートした。同社はオンライン整
備を「お客様が気軽に相談できる 『窓口』として考え、自社ホームページ内に入口を設けた。同社が活用するのは、オンラインミーティングアプリの 「Zoom」 。「実際に勉強会を主催してみてわかった。移動時間も無くコミュニケーションを取ることができる。外出することがリスクを伴うなど、時代はこの数カ月で大きく変わった。時間の使い方も変わってきた」(平井省伍専務)という。
 オンライン整備を始めた背景には「オンラインサービスは他の業界では当たり前になっている。自動車業界でも販売ではオンライン商談も目にするようになったが、整備は地域特性、作業内容上からも対面での商談が主軸になっている。ただ、新型コロナウイルス感染拡大の状況によっては非接触による買い物や手続きが一層加速すると考えている。そのことを考えるとサービスの基盤づくりに今あるシステムでトライしていきたい」(平井省伍専務)。ユーザーが来店、対面で話をすることが当たり前と思っていた整備作業の環境に新たな生活様式を視野に入れ、オンライン整備に取組んでいく。
 同社はオンライン整備に新たな可能性も見出している。「今までは実際に不具合箇所を見てみないとわからないことが当たり前であった。オンラインであれば同じ場面を共有できる、警告灯に何が点いているかなど現地に行かなくても対応できることで、お客様のサービスに繋がる。整備の敷居を低くするために初期診断の無料対応も一つのやり方であり、整備のプロの目を活かせる場面もある」(平井専務)という。
 オンライン整備の運用も「わかりやすさ」を第一に取り組む。「よりわかりやすくするために専門用語を使わない。例えばエアクリーナーは掃除機のフィルター交換と伝える。日常に例えることで理解や必要性をわかってもらえる。これらは自分の経験上の話でもあるが「お客様が答えを持っている」と考えている。コスメ業界はオンライン販マニュアルも作り目的を明確化売も進んでいる。使用前と使用後の変化も伝えやすくオンラインの相性は良い。整備でも応用できるのではと考えている」(平井専務)


■■整備や鈑金塗装など各種作業工程などを配信。インスタライブによる双方向コミュニケーションにも手応え■■ ~エムクライム (兵庫県三木市、森本光則社長)~
 新車・中古車販売から自動車整備、鈑金塗装、カスタムなどを幅広く展開するエムクライムでは、以前からソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用した顧客との接点強化を推進している。同社の事業はSUV・4WD車専門店の「ウィード」、スズキ販売店の「三木スズキ」、板金塗装、整備、カスタムなどを手がける「ウィードベース」など多岐にわたるが、動画配信サービス「YouTube(ユーチューブ)」を使ったPRやLINEの活用などで、新規客開拓や顧客との接点強化につなげている。最近では 「Instagram(インスタグラム)」のストーリーズに搭載されているライブ機能である 「インスタライブ」をフル活用し、視聴者との双方向コミュニケーションの機会を設けている。
 同社のユーチューブチャンネルでは、販売車両の紹介やクルマを通じたレジャーの訴求などがメインだが、ウィードベースで行う板金塗装、整備、カスタムなどの各種作業を分かりやすく解説している。板金塗装の作業工程など、普段ユーザーが見ることがない作業の途中経過を実況するスタイルが視聴者に受けている。「ウィードベース」チャンネルの登録者数は5000人規模だが、「ウィード」チャンネルの登録者数は1万3000人を超える。こうした動画配信サービスを活用した知名度の向上でフォロワーは全国に拡大した。こうしたベースとなるフォロワーには自社管理ユーザーも含まれており、自社インスタグラムにも多くのフォロワーが集まっている。「weed4×4」のインスタグラムのフォロワー数は約1万人。最近はこのフォロワーに向けて「インスタライブ」を積極的に推進している。
 インスタライブでは全国各地のフォロワーとリアルタイムにコミュニケーションが取れる。例えばフォロワーから「展示車両のエンジン音が聞きたい」と言われれば、エンジンをかけながら、現車を映像で見ながら、迫力ある「音」を伝えることも出来るわけだ。
 こうしたSNS活用について森本社長は「以前からある『イベント』という形態はお客さんとの距離も近く、対面でやり取り出来ることが大きな魅力。顧客とのつながり強化にもつながる。現在特に活用を進める『インスタライブ』はまさにこれをオンラインで行ったもの。双方向コミュニケーションがユーザーとの距離感を縮められ、限りなく来店に近い状況を作ることが出来る」と大きな手応えをつかんでいる。
 「視覚と聴覚でリアルtイムに伝えるツールとして『Facebook(フェイスブック)』やブログとはまた違った活用方法がある」(森本社長)という。一方で「今回のコロナウイルス感染拡大により、こうしたツールの活用の有効性を再認識した。全国ユーザーにも改めて自社の認知を高めることが出来た」という。

 


 

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