あけましておめでとうございます。2025年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年を振り返りますと、我が国経済は、企業による設備投資の改善や、雇用・所得環境の改善等もあり、景気は緩やかに回復した一年でありました。春季労使交渉においては約30年ぶりに高い水準で賃上げが実現しましたが、一方で、物価高やエネルギー価格高騰が続く中、個人消費は本格的な回復には至っておりません。今年こそ、デフレ脱却に向けて成長と分配の好循環がさらに確実なものとなり、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」が実現するよう心から期待しております。
国際情勢に目を向けますと、ロシアによるウクライナ侵略の長期化や、中東地域をめぐる情勢なども相まって、安全保障環境は厳しいものとなりました。海外の景気動向については不透明であり、米国の次期政権の政策動向なども含め、引き続き注視していかなければならないと考えております。
こうした中、昨年の国内自動車産業は、型式認証をめぐる問題により一部の車種で生産・供給が滞るなど、ユーザーの皆様に大変なご心配とご迷惑をおかけいたしました。その影響もあり、昨年の登録車の新車販売は290万台を下回り、前年と比べて大変厳しい一年となりました。足元では供給面での制約は概ね解消しつつあり、今年こそお客様にしっかりと車をお届けできるよう、業界を挙げて取り組んでまいる所存です。
●自動車税制の抜本見直しに向けて
本年は、エコカー減税の期限到来を控え、今後の車体課税のあり方が決まる大変重要な年になるものと考えております。これまでも申し上げている通り、自動車ユーザーは、取得・保有・走行の各段階で、約9兆円もの税を負担しており、諸外国と比べても大変に過重なものとなっております。特に、保有台数が多い地方部ほど重い負担を強いられており、地方のユーザーの負担はもはや限界にきているのではないでしょうか。
新車の登録台数は、1990年のピークに比べ概ね半減するなど、国内自動車市場は縮小を続けております。自動車産業は国内の全就業人口の約1割を占めておりますが、このまま国内市場が減少を続ければ、さらなる生産現場の海外流出は不可避であり、産業空洞化はすぐそこにある危機だと考えております。こうした空洞化リスクを払拭すべく、国内市場の再生につながるような新たな税制が今こそ求められているものと考えます。
また、自動車走行時におけるCO2排出量は、日本全体の16%を占めております。2050年カーボンニュートラルの実現のためには、この16%を大幅に削減していくことが不可欠になっています。このためには、今後、環境性能の高い車への買換えが加速し、車の保有段階でのグリーン化を実現するような税制が求められております。
以上を踏まえて、私たちは、国内自動車市場の再生、カーボンニュートラルの実現につながり、なおかつユーザーの負担が抜本的に軽減される、公正・中立・簡素な税制を実現すべく、要望活動を展開しております。
昨年末に公表された令和7年度税制改正大綱においては、自動車関係諸税について「取得時における負担軽減等課税のあり方を見直すとともに、自動車の重量及び環境性能に応じた保有時の公平・中立・簡素な税負担のあり方について、関係者の意見を聴取しつつ検討し、令和8年度税制改正において結論を得る」と明記されました。私たちが主張してきた取得時の負担軽減や保有課税のグリーン化などの方向性が記載されたものと考えております。
冒頭にも申し上げた通り、本年は自動車関係諸税の抜本的見直しが行われる勝負の年です。全てのユーザーニーズに応え、「真に」抜本的な見直しが行われるよう、引き続き粘り強く要望活動を展開してまいります。
●カーボンニュートラル戦略の推進
カーボンニュートラルの実現は、国を挙げて取り組むべき最大の課題の一つです。自動車は、製造・走行・廃棄までの各段階で多くの温室効果ガスを排出しており、ディーラー業界としても、地球温暖化対策に貢献する責務があると考えております。
まずは、ディーラー自らが環境問題に対する高い意識を持ち、社会的責任を果たすべく「環境経営」に取り組まなければなりません。具体的には、自販連の全会員が事業活動で排出される温室効果ガスを把握するとともに、その計画的な削減を加速してまいります。その一環として、環境マネジメントシステムである「エコアクション21」の認証を多くの会員が取得できるよう支援を行うほか、具体的な活動推進の中核となる人材育成などについても支援を強化してまいります。
また、カーボンニュートラルの実現は、車を使われるユーザーにご理解とご協力をいただくことが何よりも大切です。2035年に新車販売の100%を電動車とする国の目標が示されておりますが、その実現のためには、ユーザーの皆様にカーボンニュートラルの意義を理解していただき、その上で電動車を選択していただかなければなりません。ディーラー業界は、ユーザーにとって、もっとも身近な存在です。その強みを生かしつつ、ユーザーニーズをしっかり捉え、環境に優しい車をご購入いただくための的確な提案を行うとともに、エコドライブの励行による温室効果ガス排出削減の意義を積極的に発信するなど、ユーザーとの信頼関係を深めてまいります。
加えて、地域社会との連携を密にし、地域の環境保護の活動にも協力するなど、引き続き、業界を挙げてしっかり取り組んでまいります。
●新たなモビリティ社会の実現に向けて
自動車の技術が大きく進歩し、車の役割が高度化・多様化しつつあります。GX、DXが急速に進展する中、車を起点にして、エネルギー、物流、地域社会、まちづくり、新規産業なども含めた大きな経済社会の変革につながることが期待されています。
こうした新たなモビリティ社会において、私たちディーラーが引き続き中核的な役割を果たせるよう、持続可能なビジネスモデルをしっかりと構築していく必要があるものと考えます。その際には、常に地域のお客様に寄り添い、お客様の暮らしがこれまで以上に豊かになるような社会の実現に取り組んでいかなければなりません。また、現行ビジネスの延長線上にはない、新たなビジネスチャンスにも積極的に挑戦していくことも必要だと考えております。モビリティをめぐる様々な変化の中にあっても、ディーラー業界が多くの貢献をし、プレゼンスを高めていけるよう、様々な努力を積み重ねてまいる所存です。
また、今年は「JAPAN MOBILITY SHOW2025」の開催が予定されております。自販連も共催団体として参加しますが、自動車産業のみならず、IT・情報通信・インフラ等のモビリティに関連する幅広い産業界の方々の参画をいただく予定になっております。多くの方々に未来のモビリティ社会を体験していただくとともに、オールジャパンで日本経済を元気にしてまいりたいと思います。
●地域社会との強固な絆を
車の販売・サービスを通じて、地域の皆様に安心と安全をお届けする、これはこれまでも、そしてこれからも変わらない私たちの大切な使命であります。あわせて、交通安全、高齢者等の移動手段の確保、地域の脱炭素化、災害対応など、地域社会における多くの課題の解決に向けて、幅広く貢献してまいる所存であります。
昨年一月には能登半島地震が発生しました。今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされていることに、改めて心からお見舞いを申し上げます。能登半島地震に際しては、自販連の会員が一時避難場所や電動車両の提供を行ったほか、自販連支部を通じて被災された方々に車両の貸与を行うなど、様々な形で地域の復旧・復興に協力してまいります。
今後とも、地域社会とのさらなる信頼関係を構築し、地域の皆様との絆をより一層強固なものにできるよう、自販連としても全力で取り組んでまいります。
引き続き、自販連へのご理解、ご支援を切にお願い申し上げるとともに、2025年が皆様方にとりまして、より良い年となりますよう心から祈念申し上げます。
以上
昨年を振り返りますと、我が国経済は、企業による設備投資の改善や、雇用・所得環境の改善等もあり、景気は緩やかに回復した一年でありました。春季労使交渉においては約30年ぶりに高い水準で賃上げが実現しましたが、一方で、物価高やエネルギー価格高騰が続く中、個人消費は本格的な回復には至っておりません。今年こそ、デフレ脱却に向けて成長と分配の好循環がさらに確実なものとなり、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」が実現するよう心から期待しております。
国際情勢に目を向けますと、ロシアによるウクライナ侵略の長期化や、中東地域をめぐる情勢なども相まって、安全保障環境は厳しいものとなりました。海外の景気動向については不透明であり、米国の次期政権の政策動向なども含め、引き続き注視していかなければならないと考えております。
こうした中、昨年の国内自動車産業は、型式認証をめぐる問題により一部の車種で生産・供給が滞るなど、ユーザーの皆様に大変なご心配とご迷惑をおかけいたしました。その影響もあり、昨年の登録車の新車販売は290万台を下回り、前年と比べて大変厳しい一年となりました。足元では供給面での制約は概ね解消しつつあり、今年こそお客様にしっかりと車をお届けできるよう、業界を挙げて取り組んでまいる所存です。
●自動車税制の抜本見直しに向けて
本年は、エコカー減税の期限到来を控え、今後の車体課税のあり方が決まる大変重要な年になるものと考えております。これまでも申し上げている通り、自動車ユーザーは、取得・保有・走行の各段階で、約9兆円もの税を負担しており、諸外国と比べても大変に過重なものとなっております。特に、保有台数が多い地方部ほど重い負担を強いられており、地方のユーザーの負担はもはや限界にきているのではないでしょうか。
新車の登録台数は、1990年のピークに比べ概ね半減するなど、国内自動車市場は縮小を続けております。自動車産業は国内の全就業人口の約1割を占めておりますが、このまま国内市場が減少を続ければ、さらなる生産現場の海外流出は不可避であり、産業空洞化はすぐそこにある危機だと考えております。こうした空洞化リスクを払拭すべく、国内市場の再生につながるような新たな税制が今こそ求められているものと考えます。
また、自動車走行時におけるCO2排出量は、日本全体の16%を占めております。2050年カーボンニュートラルの実現のためには、この16%を大幅に削減していくことが不可欠になっています。このためには、今後、環境性能の高い車への買換えが加速し、車の保有段階でのグリーン化を実現するような税制が求められております。
以上を踏まえて、私たちは、国内自動車市場の再生、カーボンニュートラルの実現につながり、なおかつユーザーの負担が抜本的に軽減される、公正・中立・簡素な税制を実現すべく、要望活動を展開しております。
昨年末に公表された令和7年度税制改正大綱においては、自動車関係諸税について「取得時における負担軽減等課税のあり方を見直すとともに、自動車の重量及び環境性能に応じた保有時の公平・中立・簡素な税負担のあり方について、関係者の意見を聴取しつつ検討し、令和8年度税制改正において結論を得る」と明記されました。私たちが主張してきた取得時の負担軽減や保有課税のグリーン化などの方向性が記載されたものと考えております。
冒頭にも申し上げた通り、本年は自動車関係諸税の抜本的見直しが行われる勝負の年です。全てのユーザーニーズに応え、「真に」抜本的な見直しが行われるよう、引き続き粘り強く要望活動を展開してまいります。
●カーボンニュートラル戦略の推進
カーボンニュートラルの実現は、国を挙げて取り組むべき最大の課題の一つです。自動車は、製造・走行・廃棄までの各段階で多くの温室効果ガスを排出しており、ディーラー業界としても、地球温暖化対策に貢献する責務があると考えております。
まずは、ディーラー自らが環境問題に対する高い意識を持ち、社会的責任を果たすべく「環境経営」に取り組まなければなりません。具体的には、自販連の全会員が事業活動で排出される温室効果ガスを把握するとともに、その計画的な削減を加速してまいります。その一環として、環境マネジメントシステムである「エコアクション21」の認証を多くの会員が取得できるよう支援を行うほか、具体的な活動推進の中核となる人材育成などについても支援を強化してまいります。
また、カーボンニュートラルの実現は、車を使われるユーザーにご理解とご協力をいただくことが何よりも大切です。2035年に新車販売の100%を電動車とする国の目標が示されておりますが、その実現のためには、ユーザーの皆様にカーボンニュートラルの意義を理解していただき、その上で電動車を選択していただかなければなりません。ディーラー業界は、ユーザーにとって、もっとも身近な存在です。その強みを生かしつつ、ユーザーニーズをしっかり捉え、環境に優しい車をご購入いただくための的確な提案を行うとともに、エコドライブの励行による温室効果ガス排出削減の意義を積極的に発信するなど、ユーザーとの信頼関係を深めてまいります。
加えて、地域社会との連携を密にし、地域の環境保護の活動にも協力するなど、引き続き、業界を挙げてしっかり取り組んでまいります。
●新たなモビリティ社会の実現に向けて
自動車の技術が大きく進歩し、車の役割が高度化・多様化しつつあります。GX、DXが急速に進展する中、車を起点にして、エネルギー、物流、地域社会、まちづくり、新規産業なども含めた大きな経済社会の変革につながることが期待されています。
こうした新たなモビリティ社会において、私たちディーラーが引き続き中核的な役割を果たせるよう、持続可能なビジネスモデルをしっかりと構築していく必要があるものと考えます。その際には、常に地域のお客様に寄り添い、お客様の暮らしがこれまで以上に豊かになるような社会の実現に取り組んでいかなければなりません。また、現行ビジネスの延長線上にはない、新たなビジネスチャンスにも積極的に挑戦していくことも必要だと考えております。モビリティをめぐる様々な変化の中にあっても、ディーラー業界が多くの貢献をし、プレゼンスを高めていけるよう、様々な努力を積み重ねてまいる所存です。
また、今年は「JAPAN MOBILITY SHOW2025」の開催が予定されております。自販連も共催団体として参加しますが、自動車産業のみならず、IT・情報通信・インフラ等のモビリティに関連する幅広い産業界の方々の参画をいただく予定になっております。多くの方々に未来のモビリティ社会を体験していただくとともに、オールジャパンで日本経済を元気にしてまいりたいと思います。
●地域社会との強固な絆を
車の販売・サービスを通じて、地域の皆様に安心と安全をお届けする、これはこれまでも、そしてこれからも変わらない私たちの大切な使命であります。あわせて、交通安全、高齢者等の移動手段の確保、地域の脱炭素化、災害対応など、地域社会における多くの課題の解決に向けて、幅広く貢献してまいる所存であります。
昨年一月には能登半島地震が発生しました。今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされていることに、改めて心からお見舞いを申し上げます。能登半島地震に際しては、自販連の会員が一時避難場所や電動車両の提供を行ったほか、自販連支部を通じて被災された方々に車両の貸与を行うなど、様々な形で地域の復旧・復興に協力してまいります。
今後とも、地域社会とのさらなる信頼関係を構築し、地域の皆様との絆をより一層強固なものにできるよう、自販連としても全力で取り組んでまいります。
引き続き、自販連へのご理解、ご支援を切にお願い申し上げるとともに、2025年が皆様方にとりまして、より良い年となりますよう心から祈念申し上げます。
以上