ミャンマー特集/ミャンマー 輸出・小売市場レポート - グーネット自動車流通

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ミャンマー特集/ミャンマー 輸出・小売市場レポート

企業・団体 2012年10月25日
写真③老舗販売店 TVの取材と思わせるパフォーマンス

写真③老舗販売店 TVの取材と思わせるパフォーマンス

複数画像有

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 アジア最後のフロンティア市場として、最近脚光を浴びているミャンマー。世界中の企業が進出に動き始め、まさにブームの波が押し寄せようとしている。

 日本の中古車業界においても、2011年9月の規制緩和以降、中古車の輸出が激増し注目されている。しかしわずか1年の間に相次いで規制緩和策が発表され、そのつど対象車輛に変更が生じ、少なからず日本の中古車市場に影響を与え、また情報も錯綜していることから市場関係者も困惑している。

 このような背景もあり、2011年9月以降、実態を調査する視察団が数多く現地入りしているが、今回、アジアの中古車流通を研究している株式会社ソウイング(代表・中尾聡)をはじめとする日韓合同視察チームと輸送業務を通じてミャンマーに多くの顧客を持つ東西海運株式会社(大田周二社長)が同時期にそれぞれ視察を行っている。今回、両者のレポートを取りまとめ、ポイントを紹介する。



第1話
【これまでの日本からの中古車輸入の沿革】

「中国、インドの低価格車に商品としての優位性はない」

 2011年6月末時点でのミャンマーの自動車保有台数は233万台(IMF資料)で、そのうち9割の200万台強は日本車が占めている。その中でも昭和や平成一桁の年式の車輛が圧倒的に多いが、これは日本から長年に渡って中古車が輸入されてきたことを物語っている。ちなみに日本自動車査定協会の記録によれば1973年にミャンマー(当時はビルマ)への中古車輸出検査が2台行われているので、その歴史は39年にも長きに渡っていることとなる。

 ミャンマーは1962年にネ・ウイン将軍が軍事政権を樹立して以来、2011年3月に軍事政権下の最高決定機関である国家平和発展評議会が解散し軍事政権に終止符が打たれるまで、一時期を除いては長年軍事政権下にあった。その政権下で規制が厳しい中でも安定的に日本から中古車が輸入されていた。一部は規制が比較的緩やかなタイやインドネシア、マレーシアなどを経由して輸入されていたものもある。(但し納期の問題やトラブルに巻き込まれるリスクはあった)このようなベースがあったからこそ、規制緩和後、日本の中古車だけが爆発的に輸入されている。

 今回の視察では、韓国の中古車事業者ウンニョンモータースの申社長も同行していたが、「韓国車は左ハンドルで右側通行のミャンマーに参入する余地があるかと思ったが、日本以上に日本車が占めている実態を目の当たりにし、これを覆すことは容易なことではない」とコメントしている。実際に今後、韓国をはじめ他国が参入する余地はなさそうだ。
 
 新車については、中国、インドから低価格車が一部輸入されているが、品質、価格面から見ても日本の中古車と比較して優位性はない。



第2話
【規制緩和と中古車輸入台数の推移】 

「規制緩和でコンパクトカーは100万円前後で乗り出し可能に」

近年の推移を考察してみると、別表2の通り、2007年まではアメリカ、EUを中心とした経済制裁もあり、何かと制約のある中で台数的には年間2000台前後で推移していた。しかし2007年10月に改革の急先鋒とされるテイン・セイン首相(現大統領)が就任すると、翌年2008年からは3倍程度拡大。新政権の主要政策が自動車普及率を向上させることであったことが大きく起因した。しばらくその台数で推移するが、2011年9月本格的な規制緩和の第一弾が発表されると飛躍的に拡大し、11月には単月でそれまで年間の規模であった6249台となる。この時の規制緩和の内容は、車齢40年以上の車輛を所有しているものが廃車することを前提に中古車(日本からの輸入車)を購入する場合、従来は1千万円以上も掛かった税金や登録料を10分の1まで引き下げた。これによって政府が設定した輸入枠は5万台とした。

 さらに2012年に入って緩和策第二弾が発表され、それまで輸入可能な年式が1995年~2002年式に限られていたものを、2006年式まで拡げたため、2月には9795台に、そして4月には遂に1万台を突破し10,053台を記録した。

 そして5月に入り第3弾が発表されるが、この内容はこれまでとは異なり、従来は40年経年車を廃車し、輸入許可書がなければ日本から輸入できなかったものが、ミャンマー国籍の人間が政府指定の銀行に日本円で3,800万円相当のキャッシュを預ければ、輸入許可書がなくても軽減された税額で2007年式以降の車輛であれば台数制限なしで輸入できるようになったのである。これによって、排気量1300CCまでの車輛であれば、現地の乗り出し価格が100万円前後で購入することができるようになった。これを受けて5月以降の輸入車輛が2007年以降となり大きく変化した。

 ただ、これによって、ミャンマー国内で問題が生じている。それまでに(規制緩和第三弾以前)輸入し、まだ販売されていない在庫車の相場が暴落してしまったのだ。
 
 要するに、緩和策第二弾までは、輸入許可書の取得が、大幅に引き下げられたといえども、100万前後の登録料が必要であったものが、5月以降は2007年以降が必要ないとすると、高年式の車輛の方が低年式よりも仕入れ額が安くなってしまう逆転現象が生じてしまったのである。

 これについて現地の業者に話を聞くと、「相場が下がるのはしょうがない。損切りしても処分していく」(大手輸入業者)、「ある程度折り込み済みで、これまでに十分利益を確保できたので、今回の一時的な損失はやむを得ない。」(大手小売業者)と意外なほど落ち着いていた。別表1を見ても5月は緩和策第3弾の影響で一時的に減少しているが、6月以降は再び上昇傾向に転じている。内容も2007年以降のコンパクトカーが中心のようである。

 現地では、相場が下落した以前の車輛(2006年式以前)の処分が終わる年内いっぱいは微増に推移し、来年以降はコンスタントに毎月1万台以上の輸入が期待できるのではと見ているようだ。




第3話
【ミャンマー中古車小売最新情報1】

「中古車小売事業主としての登録料は800万円」

 経済改革が急ピッチで進められている中で、各種許認可制度も矢継ぎ早に導入されている。本年1月より、政府指定の銀行に日本円にして3,000万円の現金を預け入れし、また同じく800万円の登録料を支払えば、中古車小売事業主としての認可を取得でき、誰でも新たにショールームを設置して中古車小売販売を開始することができるようになった。

 受付開始時にはミャンマー全国で、これまで中古車ビジネスに関わってこなかった企業も含め、90社が申請し68社が受理されたとのこと。その後も申請は続き、現在では100ヶ所以上の中古車ショールームが今年に入って営業を開始している。

 ちなみに、預入金3,000万円については、認可が取得できるまでの見せ金のようなもので、一時的に金融機関から借り入れ、認可が取得できれば返済してしまうもの。登録料の800万円は政府に支払うと戻ってこないお金。但し、これは税金の前払い分で納税時に相殺される。この登録料に関して、中古車事業は単価が高いので800万円と高額だが、他の物販だと30万円程度とのこと。

 またこの認可を取得すると会社名に中古車事業主を示す「サービス」という文字を入れ表記することができる。ちなみに整備事業の場合、会社名に「プロダクト」が表記できるようになる。

 ここで新旧2社の小売店を紹介する。

 写真①はちょうど2週間前にヤンゴン市内中心部にオープンしたばかりの店舗、オーナーが最近中古車事業主の認可を取得して異業種から参入したとのこと。道路沿いに9台展示してあり中には納車前と思われる車輛が3台で合計13台。事務所はなく、簡易テントが商談ブース、日曜日の午前中だがお客は一人もいない。しかしスタッフは多く総勢15名。女性7名は全員営業職だが前職がスーパーマーケットやホテルのスタッフで経験者はゼロ。8名が男性スタッフで6名が守衛、2名がサービス。(サービスと言っても簡単な納車前点検と洗車が主業務)店長は20代前半の女性で1ヶ月前に入社したばかり。クルマの知識はまったくない。営業スタイルは、仕入車輛は全て日本のオークションからであることを強調。ファイルに日本のオークション会場の検査票(画像付き)や出品票のコピーを入れ、これを見せて品質をアピール。支払いはキャッシュでアフターサービスはこれから検討するとのこと。プライス表示はなし。こんな感じでビジネスが成り立つか甚だ疑問だが、今年になってオープンしている店舗はほとんど同じような形態とのこと。

 一方、写真②はやはりヤンゴン市内中心部にある老舗の本格的なショールーム。展示車輛は50台以上。こちらは老舗ということもあり、家族連れやカップルなど多くのお客が来場し賑わっていた。プライス表示もされていて、割賦販売も対応。整備工場も併設されていてアフターサービスも充実している。営業スタッフのスキルももちろん高い。ただ違和感があったのは、写真③のように一見TVの取材と思われるような二人のモデルが展示車輛でポーズをとり、これを終日カメラで撮影しているのだが、実はカメラは回ってなく、「うちの店舗はTVで取材されるほどの素晴らしいお店です」と、お客にTVの取材だと思わせる単なるパフォーマンスだった。

 以上が現在のミャンマーの小売店舗の標準的スタイル。それではこのような店舗でミャンマーの人達は中古車を購入するのかと言えば、答えはノーだ。実は最も多いのは、中古車バザールと呼ばれる個人間売買の市場である。



第4話
【ミャンマー中古車小売最新情報2】

「中古車流通の主流は依然として個人間売買」

 中古車バザールはヤンゴン市内にも2ヶ所あり、市内中心部にある“ハンタワディ中古車バザール”はミャンマー国内最大の中古車売買のスペース。ヤンゴン市が運営し、入場料は普通車1台で200チャット。(日本円で20円程度)トラックやバスは別料金。バザール内には市の出張所があり、トラブル時はここで対応する。

 基本は個人間売買だが実際にはブローカーが介在している。そのブローカーは事務所として1コマ月額5万チャット(日本円で5千円)で別途スペースを借りることができる。ここにブローカーが3社程度共同で入居し、商談スペースにしている。彼ら自身が数台在庫車をもっている場合もあるが、基本は個人間の売買の仲介業が主な業務のようだ。取り扱い台数は月間平均で10台から15台。このバザールには車輛が1万台とも2万台とも言われており正確な数字は掴めていない。

 ここのバザールの特色は比較的に高年式車が多いこと。20年、30年の経年車専門のバザールは郊外に1ヶ所ある。必ずしもショールームで買うことがステータスではなく、欲しい車が安ければこのようなバザールで購入することに違和感はないようだ。

 バザールに次いで多いのは、輸入業者を通じて日本の中古車を直接購入する方法。老舗AYE”S FAMILY LTD社のディレクター ソエ・リン・オー氏。オー氏によれば「1989年から23年間、日本から中古車を輸入し販売してきた。通算すると2,000台以上になる。以前は色々と制限があり、何かと難しさはあったが、最近は規制が外れ、かなりやり易くなって、台数も一気に増加傾向となった」と語る。またバザールやショールームとの違いを尋ねると「当社ではユーザーのあらゆる条件に合った車輛を日本のAA会場から厳選して落札し輸入するので、ユーザーが納得できる車輛を提供できる。またショールームやバザールで購入するよりも安く提供することができる」としていた。

 ただ、このスタイルのウイークポイントは納期まで時間が掛かることだ。おおむね買い付けから納車まで2ヶ月――。最近はショールームが一気に出店したことでユーザーが目移りしてしまい、キャンセルを申し出るケースも出始めたとのこと。また最近では、郊外で複数の小売業者による中古車合同フェアなども開催されているようだ。

 以上がミャンマーの中古車小売最新情報だが、日本からみれば僅かに端緒を開いたに過ぎない。今後、正常な流通を目指していく上でアフターサービス、割賦販売、保険制度、保証及び認定制度等々の導入が求められている。言い換えれば、日本から参入する余地が大いにあるということであり、今後も注目していきたい。


【視察メンバー】
株式会社ソウイング   中尾  聡
株式会社ダイトク    宮本 光博
株式会社Strain      比企野雄二
ウンニョンモータース  申  景湜

東西海運株式会社    川村 兼一
                荘司 大輔
                渡邊  大

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【対象評価点】

4、4.5点

【抽出価格条件】

直近価格が500千円以上

【抽出台数条件】

毎月50台以上の流通が過去6ヶ月連続していること