BUDDICA
バディカ代表取締役・中野優作氏による新連載
【競合の壁を破壊せよ】
市場には競合(ライバル)とお客様しかいない。読者の皆様も日常的に競合と戦っていると思うが、自社の強みと弱みを正確に把握できて話せているだろうか?そしてそれはお客様目線でみて、本当に他社と比べて競争優位に立てているだろうか?究極的には少し高くてもあなたのお店に任せるよ。と言ってもらえるのが「差別化」だ。
お客様にとって1円でも安い方が良いのは間違いないが、安ければ買うとは限らない。信用できるお店や担当者から買いたいのが顧客心理だ。
ここで重要になってくるポイントは、あなたのお店のストロングポイントが何なのかという事になってくる。他社と比べて何が競争優位に立てる点か。一言で言える必要がある。いくつか例を上げてみよう。
✓地域最安値
✓車両品質が高い
✓ロングラン保証で購入後も安心
✓購入後のオイル交換が無料
✓返品保証がある
✓整備工場付きでアフターサービスも安心
✓鈑金工場併設で事故時も安心
✓全国展開していて県外でも利用可能
このぐらいだろうか。このあたりの商品を自社で扱っている企業は他社との大きな差別化ポイントになるだろう。だけどあなたのお店でこのような商品を扱っているだろうか?
恐らく少数だろう。こういった商品を扱っている会社は大手販売店ぐらいだ。私が経営するBUDDICAでもほとんどやってない。それでも他社に競合負けすることは少ない。競合時の勝率は9割を軽く超えている。
僕はこれらの商品をフルセットで取り扱っている大手でクルマを売っていたし、商品開発やマーケティングにも関わってきたからお客様の生の声は数多く聞いてきた。それと同時に、今はそういった武器を持たずに競合の立場から戦っている。どちらにも一長一短ある。両方やった経験のある僕からの目線で、戦い方を説明しよう。
【安心安全の観点から他社と差別化する】
差別化のポイントは「安心」だ。これはあなたが大手販売店の営業マンだとしても社長一人のお店だとしても変わらない。小さいお店だからアフターサービスで大手に勝てないと思い込む必要は全くない。どちらにもそれぞれのメリットとデメリットが存在する。メリットだけなんてありえない。
つまり自分の立場から「小さい会社/大きい会社」にはできない安心を提供するのがポイントだ。何故「安心」を軸に差別化するかというとそれ以外に何も差別化するポイントがないからだ。結局は金額の話になってしまう。
値引き勝負が得意なお店はもちろん仕掛ければいい。安いのは最も説得力のある差別化ポイントだ。だとしても値段一辺倒で全てのライバルを倒せているだろうか?恐らく難しいだろう。何故なら地域最安値のお店に行ったが良くなかったと言って弊社に買いに来られるお客様が大量にいらっしゃるからだ。
彼らのお店は、「競合の壁」を破壊できずに帰られてしまっている。
最安値ほどの強烈な差別化でも「安心」の観点からライバルと差別化できていなければお客様に逃げられてしまうという事だ。そして、逆に価格で負けていたとしても勝てるという事でもある。
ではどうすればいいか。
他社との差別化には作法がある。前章の最後の質問から始めていきたい。
「以前購入されたお店で、対応に不満はなかったですか?」
ここから切り込んでいきたい。
何故なら、今自分の店で商談しているという事は前回買ったところで「何かあったか、何もいいところがなかったか」だからだ。
満足していれば前回買ったお店に相談している筈。ここにいる時点でそうじゃないという事だ。何かしら不満っぽいことがあるか、何にも期待していないかだ。そこをしっかり聞いた上で、次に買うお店に求める事をつかみたい。
まずこの時点で安心して欲しいのは、お店に来て商談している時点でお客様が求める事はすでにある程度クリアしていて、以前買ったお店より優位に立っている。ここから「安心、安全」の観点で話してより競争優位性を高めていこう。
ここでやりたいのは以前買ったお店より「安心」して任せられそうだなと思ってもらう事だ。そのぐらいでいいし、それ以上やるのは難しい。
それに、まだ車種選びに行く前の段階で自社のアピールをガンガンされても、早くクルマ見せてくれよと熱が引いてしまう。
ここでは、流れるように前回買ったお店と自社の比較で話を進めていきたい。
なぜ前回買ったお店かと言うと、それは弱いからだ。
一度売っている筈なのに、お客様をグリップできていないから、今商談ができている。比較して自分たちの差別化ポイントをさらっと伝えよう。
そして自社の差別化ポイントを伝えるには必ず守らなければならないルールがある。それは、メリットとデメリットを必ず伝える事だ。
価格とサービスは必ずトレードオフの関係にある。最安値で最もアフターサービスが手厚いなんてことは絶対にあり得ないし、そんなことはお客様も分かっている。調子の良いやつだな、と見透かされてしまうだけだ。
デメリットをこちらから伝えることで誠実さも伝わるし、そのデメリットと比較してメリットの方が大きいと感じてもらえるだろう。
お客様から見たときに中小の小売店の弱点は規模で、それがゆえに安心感がないという訳ではない。規模は大きくないのを認めたうえで、その分大手にはない柔軟性によって、何かあったらすぐに対応できる。実はこちらの方が優れている。とカウンターを入れたい。注意して欲しいのは他社への悪口は絶対に言わないことだ。彼らは本当に凄いと思うあれだけの人数と台数を抱えてとても真似できない。だけど、それが安くて安心かと言うと、決して自分達も負けていないと伝えよう。
勘違いして欲しくないのは店の条件だけで完全なる差別化はできない。
人の気持ちが入ってこその差別化だ。説明をしている営業がいかにお店や商品に自信があって話しているかが重要になる。
価格が他社より安いお店なら、お客様にどれだけ安く乗ってもらいたいか、その為に自分達がどれ程努力しているかを伝えていきたい。
逆に品揃えやアフターサービスに強みを持つ会社であれば、多少買うときは高くなるかもしれないが、じっくり見て触って乗ってもらいたい。何年に一度しか買わないクルマだから絶対に失敗して欲しくないし、買った後も安心して乗って欲しいという事を伝えていきたい。
ちなみにだが、弊社の場合で唯一社長が採用の時にやるロープレはここだ。自社の価格へのこだわりと、どれだけ仕入れに対して時間をかけて、流通や商品化を徹底的に効率化しコストを下げ、薄利多売により数を売って成立させているか。なぜ大手でガンガンやっていた社長が全く別のやり方でBUDDICAを作ったか。それに賛同したから自分も入社した。というところまで全員が話せるようになっている。
付け焼刃のセールストークではだめだ。現場の営業マンが、体重が乗り、自社を誇りに思えるようなサービスを構築するところから始めてはいかがだろうか。
【プロフィール】
中野優作(なかの・ゆうさく)氏。1982年3月香川県さぬき市生まれ。バディカ代表取締役社長。
中古車小売り大手で数万台を超える実戦経験で手腕を発揮したのち、2017年同社創業。最大手業販サイト、オートサーバーで「5ツ星認定」を受け、21年度「販売台数ナンバー1」(全国会員7万社中)に。「車の流通をもっと自由に、なめらかに」というミッションを持ち、圧倒的な努力と情熱で挑戦する。今年1月には「バディカダイレクト」を発表したばかり。趣味は「筋トレ」というストイックな側面は、事業への熱意や意識の高さにも通じる。
市場には競合(ライバル)とお客様しかいない。読者の皆様も日常的に競合と戦っていると思うが、自社の強みと弱みを正確に把握できて話せているだろうか?そしてそれはお客様目線でみて、本当に他社と比べて競争優位に立てているだろうか?究極的には少し高くてもあなたのお店に任せるよ。と言ってもらえるのが「差別化」だ。
お客様にとって1円でも安い方が良いのは間違いないが、安ければ買うとは限らない。信用できるお店や担当者から買いたいのが顧客心理だ。
ここで重要になってくるポイントは、あなたのお店のストロングポイントが何なのかという事になってくる。他社と比べて何が競争優位に立てる点か。一言で言える必要がある。いくつか例を上げてみよう。
✓地域最安値
✓車両品質が高い
✓ロングラン保証で購入後も安心
✓購入後のオイル交換が無料
✓返品保証がある
✓整備工場付きでアフターサービスも安心
✓鈑金工場併設で事故時も安心
✓全国展開していて県外でも利用可能
このぐらいだろうか。このあたりの商品を自社で扱っている企業は他社との大きな差別化ポイントになるだろう。だけどあなたのお店でこのような商品を扱っているだろうか?
恐らく少数だろう。こういった商品を扱っている会社は大手販売店ぐらいだ。私が経営するBUDDICAでもほとんどやってない。それでも他社に競合負けすることは少ない。競合時の勝率は9割を軽く超えている。
僕はこれらの商品をフルセットで取り扱っている大手でクルマを売っていたし、商品開発やマーケティングにも関わってきたからお客様の生の声は数多く聞いてきた。それと同時に、今はそういった武器を持たずに競合の立場から戦っている。どちらにも一長一短ある。両方やった経験のある僕からの目線で、戦い方を説明しよう。
【安心安全の観点から他社と差別化する】
差別化のポイントは「安心」だ。これはあなたが大手販売店の営業マンだとしても社長一人のお店だとしても変わらない。小さいお店だからアフターサービスで大手に勝てないと思い込む必要は全くない。どちらにもそれぞれのメリットとデメリットが存在する。メリットだけなんてありえない。
つまり自分の立場から「小さい会社/大きい会社」にはできない安心を提供するのがポイントだ。何故「安心」を軸に差別化するかというとそれ以外に何も差別化するポイントがないからだ。結局は金額の話になってしまう。
値引き勝負が得意なお店はもちろん仕掛ければいい。安いのは最も説得力のある差別化ポイントだ。だとしても値段一辺倒で全てのライバルを倒せているだろうか?恐らく難しいだろう。何故なら地域最安値のお店に行ったが良くなかったと言って弊社に買いに来られるお客様が大量にいらっしゃるからだ。
彼らのお店は、「競合の壁」を破壊できずに帰られてしまっている。
最安値ほどの強烈な差別化でも「安心」の観点からライバルと差別化できていなければお客様に逃げられてしまうという事だ。そして、逆に価格で負けていたとしても勝てるという事でもある。
ではどうすればいいか。
他社との差別化には作法がある。前章の最後の質問から始めていきたい。
「以前購入されたお店で、対応に不満はなかったですか?」
ここから切り込んでいきたい。
何故なら、今自分の店で商談しているという事は前回買ったところで「何かあったか、何もいいところがなかったか」だからだ。
満足していれば前回買ったお店に相談している筈。ここにいる時点でそうじゃないという事だ。何かしら不満っぽいことがあるか、何にも期待していないかだ。そこをしっかり聞いた上で、次に買うお店に求める事をつかみたい。
まずこの時点で安心して欲しいのは、お店に来て商談している時点でお客様が求める事はすでにある程度クリアしていて、以前買ったお店より優位に立っている。ここから「安心、安全」の観点で話してより競争優位性を高めていこう。
ここでやりたいのは以前買ったお店より「安心」して任せられそうだなと思ってもらう事だ。そのぐらいでいいし、それ以上やるのは難しい。
それに、まだ車種選びに行く前の段階で自社のアピールをガンガンされても、早くクルマ見せてくれよと熱が引いてしまう。
ここでは、流れるように前回買ったお店と自社の比較で話を進めていきたい。
なぜ前回買ったお店かと言うと、それは弱いからだ。
一度売っている筈なのに、お客様をグリップできていないから、今商談ができている。比較して自分たちの差別化ポイントをさらっと伝えよう。
そして自社の差別化ポイントを伝えるには必ず守らなければならないルールがある。それは、メリットとデメリットを必ず伝える事だ。
価格とサービスは必ずトレードオフの関係にある。最安値で最もアフターサービスが手厚いなんてことは絶対にあり得ないし、そんなことはお客様も分かっている。調子の良いやつだな、と見透かされてしまうだけだ。
デメリットをこちらから伝えることで誠実さも伝わるし、そのデメリットと比較してメリットの方が大きいと感じてもらえるだろう。
お客様から見たときに中小の小売店の弱点は規模で、それがゆえに安心感がないという訳ではない。規模は大きくないのを認めたうえで、その分大手にはない柔軟性によって、何かあったらすぐに対応できる。実はこちらの方が優れている。とカウンターを入れたい。注意して欲しいのは他社への悪口は絶対に言わないことだ。彼らは本当に凄いと思うあれだけの人数と台数を抱えてとても真似できない。だけど、それが安くて安心かと言うと、決して自分達も負けていないと伝えよう。
勘違いして欲しくないのは店の条件だけで完全なる差別化はできない。
人の気持ちが入ってこその差別化だ。説明をしている営業がいかにお店や商品に自信があって話しているかが重要になる。
価格が他社より安いお店なら、お客様にどれだけ安く乗ってもらいたいか、その為に自分達がどれ程努力しているかを伝えていきたい。
逆に品揃えやアフターサービスに強みを持つ会社であれば、多少買うときは高くなるかもしれないが、じっくり見て触って乗ってもらいたい。何年に一度しか買わないクルマだから絶対に失敗して欲しくないし、買った後も安心して乗って欲しいという事を伝えていきたい。
ちなみにだが、弊社の場合で唯一社長が採用の時にやるロープレはここだ。自社の価格へのこだわりと、どれだけ仕入れに対して時間をかけて、流通や商品化を徹底的に効率化しコストを下げ、薄利多売により数を売って成立させているか。なぜ大手でガンガンやっていた社長が全く別のやり方でBUDDICAを作ったか。それに賛同したから自分も入社した。というところまで全員が話せるようになっている。
付け焼刃のセールストークではだめだ。現場の営業マンが、体重が乗り、自社を誇りに思えるようなサービスを構築するところから始めてはいかがだろうか。
【プロフィール】
中野優作(なかの・ゆうさく)氏。1982年3月香川県さぬき市生まれ。バディカ代表取締役社長。
中古車小売り大手で数万台を超える実戦経験で手腕を発揮したのち、2017年同社創業。最大手業販サイト、オートサーバーで「5ツ星認定」を受け、21年度「販売台数ナンバー1」(全国会員7万社中)に。「車の流通をもっと自由に、なめらかに」というミッションを持ち、圧倒的な努力と情熱で挑戦する。今年1月には「バディカダイレクト」を発表したばかり。趣味は「筋トレ」というストイックな側面は、事業への熱意や意識の高さにも通じる。