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【特集】事業承継しませんか

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  • 写真左から黒滝社長、菊地代表、従業員の皆さん 写真左から黒滝社長、菊地代表、従業員の皆さん
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  • 青森県事業引継ぎ支援センター統括責任者 野澤昇氏 青森県事業引継ぎ支援センター統括責任者 野澤昇氏

経営者の引退を飾ろう

 自分は引退しても会社を存続させたい…そう思う経営者は多い。だが、後継者不在を背景に事業を次世代に引き継ぐことが困難になっている。実際、年間約7万社が後継者不在を理由に廃業。そのうち約5割が計上黒字であり、経営が順調でも廃業の道を選択せざる得ないケースも多い。今後10年間で想定される約127万社が廃業した場合、約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性がある。当然ながら自動車業界も例外ではなく、むしろ高齢事業主の多い整備・板金工場においては深刻な問題である。迫り来る廃業クライシス。乗り切るための対応策を追う。

■親族承継が大きく減少
ここ20年間において経営者の年齢ピークが47歳から66歳に推移したうえ、従来9割以上だった親族承継が4割以下に低下。当然とされていた「息子などの親族が事業を引き継ぐ」という王道が成り立たない時代となり、60歳以上経営者の約4割が後継者不在という事実。つぎの選択肢となる「従業員への承継」は大きく伸びているものの、親族承継の減少をカバーできるほどではない。現在、小規模事業者の引退年齢は70歳を超えている。その背景には後継者が不在でやむなく、といった現実もあるようだ。親族や従業員で後継者が見当たらない場合、「第三者」が最後の選択肢となる。従来は親族・従業員への承継が一般的であったため、約4割の経営者が第三者承継に抵抗感を抱くと言われるが、雇用の喪失や負債が残るといった廃業リスクと損失を熟慮し、柔軟な姿勢で積極的に検討すべきだろう。

■自動車業界では
「現在55歳以上の事業主が全体の半数以上で、65歳超の事業主のうち1/4は後継者不在。今後10年で1~2割の事業場が減少するものと考える」。国土交通省はこのように整備事業の厳しい先行きを示している。確かに小規模な整備工場は高齢事業主が多く、若い従業員も少ない。ある調査の「後継者難」で廃業した割合をみると、ここ数年200件前後で推移し全体の16%ほど。だが今後は間違いなく増加していく。廃業を選択するより第三者へ承継した方が多くのメリットがあり、早い段階から然るべき機関に相談しながら着地点を模索すべきだろう。今回の特集では、もっとも承継ニーズが高いと思われる「地方の小規模工場」の第三者間事業承継の実例を紹介しつつ、国が各都道府県に設置した「事業引継ぎ支援センター」の取組内容やバックアップ体制を現場からお伝えする。




【青森発!事業承継事例】つながった技術と世代・経営者にベストな引退とは
 大規模企業の事業承継は大手金融機関やM&A仲介会社が引き受けるが、小規模な取引は担い手が少ないため、主に各都道府県に設置された「事業引継ぎ支援センター」が無料相談を中心に受け持つ。とはいっても、初回相談から売買(承継)までの道のりはどのようなものなのか。事業を継続しながら承継した場合のメリットは何なのか。従業員の雇用はどうなるのかなど、多くの?が浮かび上がる。先日、本州最北端の青森市で小規模な整備工場と板金工場の第三者間事業承継を担当した。一連の流れを中心に紹介しよう。(社会保険労務士 本田淳也)

■なによりつながりが大事
 「板金工場を売りたい方がいるのですが、顧問先で買いそうな人いませんか?」。7月末、青森県事業引継ぎ支援センターの統括責任者である野澤昇氏から電話があった。筆者が「自動車整備業の経営と労務管理」という書籍を出版、同センターの外部専門家にもなっていたため白羽の矢を立てたという。通常この段階では、譲り渡し側が特定されないようにおおまかな情報しか伝わらない。さっそく同地域で整備工場を経営している(株)リペアガレージの黒滝隆史社長(35歳)に連絡したところ「興味がある」といい1週間後、譲り渡しを希望したオートボディアルファの菊地正昭代表(67歳)と黒滝社長、野澤氏、筆者の4者で面談することに。

■お互いを尊重し交渉しよう
 狭い地域のため両者知り合いの可能性が高いと思っていたが、案の定、第一声が「あっ、毎度さまです」から始まったうえ、工場が道路を挟んで向かい同士というから偶然にも程がある。自己紹介もほどほどに、菊地代表から同センターに相談した経緯を聞く。個人事業主として26年ほど板金塗装業を営んできたが、年齢・体力的にも経営と現場の両立が難しくなってきたという。土地建物の売却も気になるが、それ以上に塗装工として頑張ってくれている従業員の雇用が心配だとも。譲り受け側となる黒滝社長や筆者からの問いは、現在の顧客層や従業員の労働条件、土地建物や備品状況、事業への想い、そして希望価格について。1時間30分ほどの面談は両者とも前向きな姿勢で終了した印象が強く、あとは土地建物価格の折り合いさえ付けば順調に進むだろうとも感じた。その後、筆者と野澤氏が窓口となって両者からの質問や希望等を擦り合わせし、またもっとも難航する価格についても着地点を見出すことができた。8月下旬、再度四者面談を実施、事業承継への意思や引き渡す動産などを確認。10月中旬、黒滝社長が事前に進めていた銀行からの融資も承認されたため、両社の従業員へ経営者から経緯を説明してもらい、その後顧客や取引先へも訪問や手紙で挨拶をしつつ、10月下旬に売買を実行した。

■事業承継の良い点
 現在、オートボディアルファで働いていた従業員はより一層仕事に励んでいると聞き、また菊地代表もリペアガレージに勤務、板金業務と同時に若い見習い社員へ長年培った技術を伝えている。今回の一連で感じたことは、「事業承継」と「廃業」を比較した際のリスクと損失差である。土地建物(工場)を所有している場合はいずれにせよ売却するのだが、「顧客と従業員が存在し事業をそのまま引き継げるケース」と「廃業して不動産しかないケース」では、当然ながらその事業価値が大きく異なる。それはそのまま売買価格に直結するし、従業員や取引先の継続有無、個人負債への影響、地域衰退にも関係してくるだろう。

■早めの相談がポイント
 今回はもっとも時間のかかる譲受企業が偶然にも短期間で見つかったが、それも菊地代表が同センターに相談していなければ実現していない。また菊地代表のように、「従業員数名で後継者不在の地方の60代経営者」は多いと予想されるものの、複数の理由により「まだどこにも相談していない」といった経営者も少なくないだろう。全国の事業引継ぎ支援センターが関わった譲り渡し企業の約半数は従業員5人以下、そして第三者承継は7割近くに上る。今回の事例を参考にしていただき、ぜひ本気で事業承継を考えてもらいたい。長年お世話になった従業員や取引先、なにより自身のためにハッピーエンドを見つけに行こう。




【全国にある無料相談機関】

■親族への承継を検討
中小企業経営者における事業の承継が待ったなしの状況にあります。元気だった若者が会社を興し、ひたすら働いて事業を大きくした後、齢を重ね、今自らの会社・事業を誰に託すかという課題に直面している経営者の方は少なくありません。親族に引き継ぐ場合でも、できるだけ早い段階から現経営者が後継者をバックアップし育成していくことが重要になってきます。これは現経営者から後継者へ引き継ぐものが多いからです。一般的に ①人(従業員等) ②資産(自社株式、事業用資産、資金等) ③知的資産(現経営者の経営理念・信用力、顧客、特許や業務のノウハウ等)の3つを引継なければならないと言われています。「社訓」の無い会社は永く続かないといわれますが、現経営者が永年築いてきた「思い」を後継者に引き継ぐことは重要なことではないでしょうか。

■従業員に承継者はいるか
 親族に後継者がいない場合は、従業員の方を考えることになりますが、この場合もできるだけ早く、本人の了解をもらい周囲にアナウンスしていくことが必要になってきます。従業員は経営者になることを意識して入社、仕事をしていません。社長のように業務の判断をして、社員に指示を出して会社の方向性を示すということは並大抵のことではありません。また資金調達など重要なことをできるかという不安があり、最終的には自身で資金調達をして社長から株式を買い取なければならないという乗り越えるべき課題もたくさんあります。その重圧を考えると会社を引き継ぐまでの期間は十分とるべきでしょう。

■第三者への引継ぎもバックアップ   
 親族にも従業員にも後継者が見つからない場合、第三者に会社を託すことを考えます。中小企業経営者の方々は、率直に相談ができる相手がいないということを常々感じます。第三者に託すということは、会社を売却するということになりますので、それに伴う信用不安を考えると相談相手を考えなければなりません。相談先としては、顧問の士業専門家や金融機関、商工会議所などのほか、国の事業である「事業引継ぎ支援センター」が全国48か所に設置され、毎日、中小企業経営者(個人事業者を含む)の親族内承継・従業員承継・第三者承継のほか、関連する幅広い相談に対応しています。また「事業引継ぎ支援センター」には、後継者が見当たらないので会社を売却したいという中小企業経営者だけでなく、そのような会社を買い取りたいという「買い」の企業も登録しています。ですからセンター内で成約することも可能です。士業専門家の方々も登録いただいており、専門家の紹介も行っています。さらに民間登録支援機関としてM&Aの仲介機関も登録しており、民間仲介機関を紹介することもできます。

■早めに行動してほしい
 事業引継ぎの相談では、前述したとおり「信用不安」を一番おそれるところですが、同センターは国の機関であり「公平・誠実」「守秘義務の厳守」を一番としています。昨年の全国での相談実績は1万件を超え、成約になった案件は900件超以上になっています。
親族であれ、従業員であれ、第三者であれ、事業の承継を決断してすぐ決まるわけでありませんので、なるべく早めに行動を起こすことが重要です。後継者の問題で悩んでいる中小企業経営者の方は、幅広く対応している「事業引継ぎ支援センター」に足を運んでみてはいかがでしょうか。











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