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【バディカ連載 Ver.2.0】 004  営業の役割

バディカ代表取締役・中野優作氏による新連載

●営業の役割は「お客様の人生を想像し充実させる事」

 ここまでの連載ではこれまで業界で起きてきたことや、これから企業や営業がやるべきことを中心に書いてきたが、ここからは実践編に入っていく。
僕がこれまで現場に入り込み、営業ロープレで実際に指導してきて「トップセールス製造機」や「中野再生工場」と言われてきた内容だ。
先に言っておくが僕が編み出した必殺技や、誰も知らない魔法の言葉などは出てこないし、僕だけのオリジナルなんか一つたりともない。

それでも、これまでのどんな本よりも「クルマ屋」の為になる筈だ。
チャレンジし、失敗した数が他の人とは全く違う。失敗から立ち上がる為に工夫した量、読んだ本の数や、実践経験が誰よりも多いと思う。僕は常に勉強し続け、現場で戦いながら、先人たちの歴史や哲学、あらゆる他業界の営業手法を取り入れて実践し続けた。そして何より、売ってきたクルマの台数と、戦った数は他の人とは比較にならないだろう。
 同じことを同じようにやれば必ず結果がついてくる。
読んで行動し、できるようになるまでやる。やれば必ず成果がでる。結果が出ないなら量が足りない。
できるようになるまで、何度でもチャレンジしてほしい。

全国でクルマ屋は何店舗あるだろうか。
あらゆる資料を集めても正確な数は掴めない。どこまでをクルマ屋というべきだろうか。グーネットやカーセンサーに登録している店舗は約3万店舗存在する。整備振興会への登録事業者は10万社を超え、SS(ガソリンスタンド)も最近ではクルマの販売に力を入れているし、板金業者やレンタカー事業者もクルマの販売を始めた業者も多い。
販売台数の大小はあれど、クルマを売る現役のプレイヤーは恐らく15万~20万人か、もっといるかもしれない。クルマを扱うプロがこれだけ多く存在する。
それでもは「クルマ屋」のあるべき姿や役割はどう定義すればいいだろうか。販売環境が全く違う。展示場に何百台も並べる超大型店と、在庫数台で商談する整備工場、全く在庫を持たずに無在庫で商談するSSとでは全く売り方が違う。
 だから、売り方ではなく「営業の役割」が重要だ。お客様からの視点で考えた場合の営業の役割は「お客様の人生を想像し、充実させる」ことだ。これは業態が違っても不変の役割だ。
世の中の多くの営業マンはここを間違えている。だから自分都合のゴリ押し営業や、相手の言いなりの御用聞き営業、商品説明ばかりするカタログ営業が生まれてしまう。こういった営業は必ずお客様と戦うVSの構図になってしまう。お客様も営業も、クルマ選びが楽しいものではなくなり、商談が終われば疲れ果ててヘトヘトになってしまう。

では具体的に営業としてお客様への提案方法はどうすればいいだろう?
それは、「選択肢を増やし、課題解決する事」だ。
  お客様の課題を解決するという点において前提条件は様々だが、営業は商談の主役を100%お客様に置き換えて、選択肢を増やす事に振り切ろう。
予算100万円で、走行距離は3万km以内、ボディ色は黒のNBOXが欲しい。と言われて、それを探して見せるだけなら誰にでもできる。家でグーネットやカーセンサーを見るのと何も変わらない。我々がやるのはそうじゃないだろう。とは言え、そこで車を見せずにいきなり情報収集を始めたらどうだろう?

「購入時期はいつか?」
「ほかに回りたい店はあるのか?」
「一人で乗る?」
「通勤距離はどうか?」
「以前はどこで買ったか?」
「買うにあたって相談する人はいるのか?」
どうだろう。うんざりするだろう。僕ならこんな営業マンは耐えられない。
こういった経験をされたことは皆さんもあるだろう。見たい商品を見せてくれずにひたすら質問攻め、相手都合の地獄のような時間だ。

つまり商談は、順番やバランスが大切だ。アンケートや情報収集も必要かもしれないが、それによって相手の購買意欲を下げてしまってどうする。そんな事はあとでいい。気分良く流れるようにクルマ選びに入っていって、それから話してもらえればいい。そうじゃないとお客様も話す気にならないだろう。
 これが実際の現場で起きている一つ目の間違いだ。
質問攻撃でお客様のテンションを下げて、マイナスからスタートだ。
いくら情報が手元に揃ったところで、お客様の気持ちが上がらなければクルマは売れない。もっと言えば初めに集めた情報なんか何の意味もない。クルマ選びをしながら条件なんて変わっていくからだ。

僕はこれまで何万台と自分の持ち場で売ってきたが、最初の希望条件でそのままクルマを買ってもらうことは、5人に1人もいないだろう。誰もが当初より条件が変わっていく。話をしていくうちに、動かせない条件と、値段や商品によっては動く条件がある。初めからガチガチに決めてしまうと提案の幅を自ら狭めてしまうことになる。
提案の幅を広げ、お客様の選択肢を増す事こそが、営業の価値だ。

●お客様の「選択肢を増やして、選んでもらう」

 課題は人それぞれ違うし、クルマに求めることもバラバラだ。
希望条件のクルマが見つからないというお客様に状況を聞いていくと、希望のクルマが無いのではなく、希望の予算では買えない。というケースが多い。
逆に、そもそも課題が何一つないという場合もある。
乗れれば何でもいいというお客様だ。それでも聞いていくと、予算も決まっているし、何でもいい筈がない。他社とも当然比較するだろう。希望予算の中で、できればより燃費や性能が良く、見た目の好きな車に乗りたい筈だ。
こういった、様々なお客様に合わせて、最適な対応を選んでいくという事が商談を進める上で一番難しいポイントだろう。
 お客様には潜在的な希望があるし、課題があってもうまく言語化できない。どこまでいっても最後は金額次第になるし、価格次第では妥協も必要だ。クルマの内容次第で予算アップもありうる。だから、質問攻めで条件を聞き過ぎると、お客様の選択肢を減らしてしまう事になってしまう。
やるべきは、「クルマを比較しながら選んでもらう」ことだ。

 通勤だけにクルマを使う人なら燃費は気になるだろうし、自宅にもう一台あるかないかで状況も変わる。独身のイケメン男性で女の子にもてたいからポルシェに乗りたいという人もいれば、2人目の子供を身ごもったからミニバンを買いに来たという方もいる。そういったお客様でも3年毎に新車を買う人もいれば、一度買って乗りつぶす人もいる。状況次第で規則性がなく、その都度乗り換える人もいる。本当に三者三様、バラバラで決定権はすべてお客様にある。
だから、こちらから何かを提案してハイどうぞと決まるよりは、お客様と一緒に最高のクルマを探していくというスタンスを取っていきたい。
見せながら、価格を比較しながら、どっちが好きでお得に感じるか?選択肢を提供して、選んでもらいながら進めていこう。

【プロフィール】
中野優作(なかの・ゆうさく)氏。1982年3月香川県さぬき市生まれ。バディカ代表取締役社長。中古車小売り大手で数万台を超える実戦経験で手腕を発揮したのち、2017年同社創業。最大手業販サイト、オートサーバーで「5ツ星認定」を受け、21年度「販売台数ナンバー1」(全国会員7万社中)に。「車の流通をもっと自由に、なめらかに」というミッションを持ち、圧倒的な努力と情熱で挑戦する。地元・香川の3店舗と千葉、兵庫、岡山、福岡の直営店に加え、初のフランチャイズ店を茨城と香川に2店舗オープン。趣味は「筋トレ」というストイックな側面は、事業への熱意や意識の高さにも通じる。

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