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【特集】 オンライン商談の現状

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  • 齊藤和久店長 齊藤和久店長
  • 箱山統括営業本部長 箱山統括営業本部長
  • フェニックス本社 フェニックス本社
  • オンライン販売としてホームページで扱っている オンライン販売としてホームページで扱っている
  • 新車店舗には万全のコロナ対策の中で今秋以降は来店客も増加、 新車店舗には万全のコロナ対策の中で今秋以降は来店客も増加、
  • GT-Rなどの希少車がオンライン商談だけで成約するケースも GT-Rなどの希少車がオンライン商談だけで成約するケースも

コロナ後もオンライン商談は当たり前のツール

 新型コロナウイルス感染拡大により社会の在り方も変わった。巷では「コロナ前とコロナ後」「コロナ前には戻れない」といった言葉を耳にするように新型コロナが一つの転機になったと言える。

 感染防止策として密閉・密集・密接、いわゆる「3密」回避の徹底が周知され、日常生活やビジネスシーンで大きな変化を求められた。

 緊急事態宣言下では自粛要請を受け、通勤・通学を控えて在宅での就業や学習も広がった。百貨店や小売店、飲食店は営業時間の短縮や休業要請を受け、町から人の姿も消え閑散とした風景を目にした人も多いと思う。一方で在宅時間が増加による巣ごもり消費が高まり、オンラインによる買い物やデリバリーの利用も急増した。

 令和3年版情報通信白書によるとインターネットショッピングを利用する世帯の割合は、2020年3月以降に急速に増加している(図①)。また、コロナ禍における在宅時間の増加により、インターネットトラヒックが大幅に増加している。例年であれば、年間2割前後の増加で推移していたが、2020年は対前年比5割以上の増加となっている(図②)。新型コロナウイルス感染は、世界的に継続しており、感染症対策の長期化が予想されていることから、今後もインターネットトラヒックの増加傾向は続くものと考えられる。

 自動車業界では新車は半導体不足や部品納期の遅れにより登録台数は低調となったが、中古車は3密を回避できる安全な移動手段として注目を集め、活発な取り引きが続いている。
 自動車販売ではコロナ禍において、 感染リスクの高い来店による対面販売から、 オンライン商談による新しい販売方法に取り組んだ店舗も多い。 

 オンライン商談は非対面販売以外にも商談スピードの速さや店舗とお客様の双方のスケジュールの組みやすさ、またお客様が対面よりも質問しやすいなど多くのメリットがある。

 内閣府によるとネットショッピングの世帯利用率は過去約10年間で全年代的に上昇した。ウェブアンケート調査の結果では、ネットショッピングの個人利用率は全年代平均で7割を超えており、年代別にみても、60代以上の利用率は30代や20代以下の利用率をやや上回っており、少なくともインターネッ ト利用者に限定する限り、シニア層のインターネット利用者が他の年代のインターネット利用者に比べてネットショッピング利用に消極的という事実は見られないとしている。

 昨年、同紙で「オンライン商談活用増加」と題した特集でも「若年層しか利用しないのでは」と「お客様とコミュニケーションが上手くとれないでのは」といったオンライン商談に対して不安の声も上がっていた。しかし、実際にオンライン商談を導入した店舗は、ユーザーは世代を問わずオンライン商談を利用している、対面と遜色ない商談ができる、一度の来店も無く商談がまとまった等、オンライン商談を活用し、社会情勢の変化に対応していた。

 オンライン商談が脚光を浴び、一年超が経つが、現在のオンライン商談の利用状況やその後の変化について各社に話を聞いた。



【中古車の販売は全国を対象にできる】ダイハツ東京販売新小岩店(東京都)
オンライン商談はデメリットをしっかり伝える

 ダイハツ東京販売小岩店の齊藤店長は、コロナ禍ということもあるが、インターネットやオンラインによる手法を駆使して中古車販売にも力を入れている。中古車は近隣のお客様が中心となる新車と違い全国に販売できるので、全国のお客様が対象となる。遠方のお客様でも納車された車が思った以上に綺麗だと、二台めを購入してくれたり、紹介してくれるケースも多いという。中古車の商品化業務は手を抜けない。現在では、洗車等を業務委託するケースもあるが、中古車販売の基本となるので、大切な工程だと考えている。

 RVやキャンピングカーは専門性が高い店が有利だが、積極的に仕入れている。特にキャンピングカーの中古車は、店舗に1台でもあると目を引くので、来店数が増えるという。また、ネット上でも検索するユーザーは全国にいるので、アクセス数も途端に急増し、キャンピングカー以外の車両への波及効果も高い。ネット(オンライン)で購入するユーザーは買い慣れている。失敗するケースもあると思うが、想像以上のクルマが納車されると、よい口コミが広がり、2台目、3台目につながっていく。

 中古車においては、3割は無対面での取引があり、ネット(オンライン)での販売は当たり前になっていると感じている。オンラインでの商談はデメリットも事前にしっかりと伝えたほうがむしろ安心してもらうことができる。買い手の立場になって表示、説明を行う。齊藤店長は「ネットからの問い合わせ自体の数は減っているように感じているが、成約率は非常に高い」と手応えを掴んでいるという。ネットには、画像枚数など細かい部分も相当数掲載されるので、わざわざ聞かない(問い合わせない)のではないかと思う。

 今後についても「車にこだわり、丁寧に仕上げていきたい。デメリットをしっかりと伝えて安心感を与えたい」と話す。

 中古車の販売は今月については、三重県、沖縄県、福島県等。とにかくデメリットを中心に話すという。その車が実際に納車されると「新車みたいだ」とお礼の電話をいただくことも多いという。
入社当時は整備部門に配属された齊藤店長は、その後、新車、中古車と経験を積む中で、中古車販売の楽しさを知ったと話す。仕上げ、展示、販売という過程をいずれも手を抜かずしっかりと行うことによって、ネット販売、オンライン販売であっても、お客様は必ず喜んでくれるという。



【オンライン商談は当たり間のツールに】フェニックス(神奈川県)
お客様が知りたいこと、熱意を伝えることは変わらない

 神奈川県下に8店舗、全国に24店舗を展開しているフェニックス(川崎市宮前区、永倉憲一郎社長)。永倉新社長体制のもと、同社は「地域の人に愛される100年続く企業」を目指し、創意と工夫をもって日々挑戦している。

 同社は令和2年4月、緊急事態宣言が発令されて以降、すぐさまオンライン商談の利用に取り組んだ。双方向のコミュニケーションが取れる便利なツールとしてオンライン商談を活用し成果を挙げている。

■オンライン商談は当たり前のツールに
 箱山裕一統括営業本部長(本社センター・川崎市宮前区)は「オンライン商談は当たり前の商談方法になった」と話す。
 新型コロナ感染拡大時はステイホームが求められる環境にあった。その中では、オンライン商談が主流になる、また逆に言えばオンライン商談しかないと考えたが、新型コロナ感染者数が落ちついた現在でも、オンライン商談を利用する人数は変わらない。
 お客様もオンライン〇〇というようなオンラインでの買い物など、オンラインを利用する環境に慣れたことも後押ししていると感じる。オンライン商談導入時には20代、30代の若い層のお客様にしか利用されないのではと危惧していたが、蓋を開けてみると世代は関係なく、オンライン商談を利用いただいている。また、遠方のお客様に限らず近隣のお客様にも利用いただいている状況も変わらない。

 ■オンラインでもリアルでもお客様は同じ
 オンライン商談は、契約に至るまでの商談時間や来店回数の短縮に繋がり、お客様、弊社側の双方でメリットを感じている。  
 弊社ではお客様の知りたいことにオンラインでしっかり応えるようにしている。オンライン商談は画面越しにお客様の表情を見ることはできるのは良い点だが、来店での対面と比べてしまうとお客様の細やかな表情の変化や気持ちを画面上で全て汲み取るのは難しい。その中で、弊社が出来ることとして取り組んでいるのは、やはり営業マンのロープレ。画面越しでも実況しながら細部をしっかり見せ、お客様のことを思い、一生懸命に伝える。これは来店されるお客様でも同じこと。結果的にオンラインであろうと来店であろうとお客様との信頼関係の構築、安心感の醸成にも繋がっている。



【オンライン商談が今後の販売方法を変える】アペルタ名古屋(愛知県)
ユーザーの利便性向上のため、新たな取り組みを加速

 アペルタ(愛知県清須市、岡田和久社長)は2019年4月の開業時からLINEによる商談を導入。20年4月には新型コロナウイルス感染拡大にあわせて、LINEのビデオ通話など動画によるオンライン商談を開始した。安心を求める消費者の支持を得て急速に加速、来店に変わる商談の手段として広まりを見せた。同時にビデオ通話に対応できない消費者に向けて、「車両動画」と「提案書」の作成に着手。その結果、高いクオリティのサービスを提供することが可能となり、オンライン商談のほとんどが、より手軽なLINEによる商談に変化した。この流れは現在でも変化しておらずユーザーのニーズを的確に捉えている。

 今後もオンライン商談を軸に展開していく中で、同社では更なる取り組みに向け動いている。1つめは「都市部への出店」。都市部は高額輸入車の需要が高いが、店舗運営のコストがかかる。在庫をもたないサテライト的な小規模店舗にすることでコストを抑え、オンライン商談を最大限活かすことで、来店したユーザーに実車を見ているのと同じ感覚をもってもらう。そのため、最新撮影システムを導入したスタジオを現在建設している。

 2つめは「オンラインショッピングサイト」の開設。市場が開拓されていないステラのパーツを主に取り扱う。同社ではステラの販売台数が近年増加しているが、日本でアフターパーツを取り扱っている店舗は少ない。アフターパーツを望むユーザーも多く、同社ではその声に応え、利便性を上げるためECサイトを開設する。

 3つめは「SNSの更なる活用」。現在でもLINE、YOUTUBE、インスタグラムなど多くのSNSを積極的に活用しているが、今後は店舗やスタッフの紹介にも注力する。SNSを通じて商談を行うユーザーに対し安心感をもってもらうことが必要不可欠と考えている。
最後は「オンライン契約」。現状、商談はオンラインで行っているが、契約は来店か書類の郵送で行っている。どちらにせよ、ユーザーは手間と時間がかかっており、これを解消させるため、オンライン契約の仕組みを構築、商談のスピード化と安心性を高めていく。

 関係者は「コロナウイルス感染拡大以前より取り組み始めたSNSの活用は感染拡大により一気に加速した。今後もユーザーとどのように接点を持つかを常に考え、模索していきたい」と話している。



【新車販売では「リアル商談」を「オンライン商談」が補完】奈良日産(奈良県)
中古車販売ではオンラインのみで成約するケースも

 奈良日産(奈良県大和郡山市、田代雄亮社長)では、今年5月の取材時に、コロナ禍において「オンライン商談」のニーズが急速に高まり、前年同期に比べ、利用件数はほぼ2倍という状況だった。こうした流れは現在でも続いており、緊急事態宣言も解除され、感染拡大が落ち着き始めた今年10月以降も同等の利用件数が続いているという。

 とりわけ新車部門では、店頭への来店数も増加傾向にある中で、来店客のフォローや簡単な打合せなどで「オンライン商談」の有効性が高まっている。「新車販売においては、最初は来店するケースが大半。そのセカンドコンタクトの手段として、手軽ながら『顔』の見えるオンライン商談が効果的。実際の商談を補うツールとして、営業スタッフたちが有効活用している」(神田智一取締役)という。コロナ禍で急速に拡大したオンライン商談がユーザーにも一般化し、わざわざ来店しなくても済む用事などはオンラインを活用するという流れが加速する。同社など新車ディーラーの場合、新車販売は当然テリトリー内に限定される。店舗ごとに近隣のユーザーが顧客の中心だが「来店」と「オンライン」の使い分けが販売店側でもユーザー側でも進んでいる。

 一方の中古車販売においては、オンラインの活用率は高いままだ。とりわけ、同社の中古車登美ヶ丘店のように、販売ラインアップが特徴的な店舗ほど、その傾向は強い。「GT-R」や歴代の「スカイラインGT-R」、「フェアレディZ」などを多くラインアップする同店では、元々県外からの問い合わせや成約が多いが、コロナ禍のこの2年弱はオンライン商談の加速が強まり、ユーザーからも好評だ。同社が分析するオンラインでの中古車成約のポイントは「顔が見える」「クルマが見える」「評価書がある」の3点。まずはオンライン商談で営業スタッフと面談することで、遠方ユーザーも安心感を高める。また、オンライン商談では実車の映像をユーザーにリアルタイムで届け、エンジンをかけて「音」を聞かせることも可能。こうした商談を通じて、安心感を高めたユーザーに対して、第三者機関発行による「評価書」が更なる安心感を提供する。

 コロナ禍の副産物として、こうしたツールが一般化したことは、同社など新車ディーラーで働く営業スタッフの業務効率向上に大きく寄与している。「リアル」と「オンライン」をうまく融合した商談スタイルは今後も更に進化していきそうだ。

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