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【特集】大きく変化する業界を見据え 車販+アルファで収益性を高める

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  • 安藤社長(インパルス) 安藤社長(インパルス)
  • 店舗前に並ぶドレスアップ車(インパルス) 店舗前に並ぶドレスアップ車(インパルス)
  • 沼尾好彦副社長(くるまのヌマオ) 沼尾好彦副社長(くるまのヌマオ)
  • リース車両は予算に合わせて中古車も用意している(くるまのヌマオ) リース車両は予算に合わせて中古車も用意している(くるまのヌマオ)
  • 抱負を語る稲垣代表(空) 抱負を語る稲垣代表(空)
  • ベース車両はウォークスルーバンを使用(空) ベース車両はウォークスルーバンを使用(空)
  • 河野社長はレンタカー事業に大きな手応え(ガッツコーポレーション) 河野社長はレンタカー事業に大きな手応え(ガッツコーポレーション)
  • 店頭看板は店舗入り口の小さな看板のみ(ガッツコーポレーション) 店頭看板は店舗入り口の小さな看板のみ(ガッツコーポレーション)

需要減少と使用方法の変化に対応する柔軟性が必要

 急速に進む少子高齢化やCASEに向かって進化する車、そしてMaasによる使用方法の変化によって自動車業界は大きく変わろうとしている。中古車販売を取り巻く環境においても、メーカーによる認定中古車制度やインターネット販売の強化、バリューチェーンによる顧客の囲い込みが進み、一方、中古車専業者では、全国規模の大手販売店の急激な成長が進み、各エリア中小規模店の販売台数を圧迫、収益構造の悪化を導いている。また、足元では半導体不足や海外からの部品供給の遅れにより新車生産が滞っていることで、ディーラー販売店の下取りが減少。流通市場への車輛供給に大きな影響を与えタマ不足を招いている。そのような中、中小規模の中古車販売店は収益性改善のため、レンタカー事業やリース車両の取り扱い、キャンピングやドレスアップ、福祉車両など独自性が強い車輛を取り扱うことで差別化を図ろうとしている。

■少子化と所得低下によるクルマ離れ
国土交通省国土計画局が作成したデータによれば、2005年時点で15~64歳の生産年齢人口は66.1%、65歳以上の高齢人口は20.2%であったが、2050年には、生産年齢人口が51.8%、高齢人口が39.6%となる。総人口の減少もあり。生産年齢人口は8442万人から4930万人と3512人の大幅な減少が予想される。また、若者の3割近くを占める非正規雇用の割合も増加、20年では全雇用者の37.2%となり所得の低下がクルマ離れを引き起こしている。

■クルマの進化と使用方法の変化
 CASEが示すように車の進化やMaasによる使用方法の変化も中古車販売に大きな影響を与える。国土交通省では日本版MaaSを「複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービス」と定義している。この中にはカーシェアリングが含まれており、クルマの所有から使用への変化も表している。使用への変化は販売台数の減少に加え、点検、修理、保険など付帯収入の減少にもつながっていく。

■メーカーと大手販売店による業界の寡占
 2020年9月にトヨタは公式の中古車オンライン販売サイトを開始。見積りから契約まで完結できるサービスで、24時間365日注文可能とし新たな顧客獲得を図っている。また、大手販売店は新規出店増加による急速なエリア拡大を実施、上場している大手3社の2020年―21年の売上高は7382億円にのぼり、急激な成長をみせている。

■2021年下半期は記録的なクルマ不足
 2020年上半期の新車販売台数(含む軽)は前年同期比1.1%増の約205万を記録。しかし、前述にあるように新車生産の遅れが影響して9月は同32.2%減と大きく落ち込んだ。これによりAA(オートオークション)などの流通市場の台数も大きく減少、10月の出品台数は同13.1%減となりタマ不足が顕著に表れた。

 次からは、厳しい市場環境の中、様々な手法で活路を見出している販売店を紹介する。

●ケース①インパルス(福島県)
 ドレスアップ車を製造・販売し、創業25年を迎えたインパルス(福島県郡山市、安藤真樹社長)。同社は一物一価の中古車をドレスアップし、更に磨き上げることでインパルスでしか買えないオンリーワン車を販売している。そのドレスアップ車を目にしたユーザーの問い合わせは全国からという。
インパルスの販売スタイルは創業当初から一貫している。それは「お客様が安心してドレスアップ車に乗ること。ドレスアップしたことで安全面にリスクを負っては意味が無い。その中で人とは違う個性ある車に乗ってほしい」(安藤社長)。

 インパルスの販売車は、ドレスアップのカリスマとして名を馳せた安藤社長だからこその声も聞こえるが、安藤社長が大切にしているのは安心と快適さだ
「グー鑑定ではドレスアップ車でありながら全車5つ星評価を獲得。これは一番こだわっている点。ドレスアップしながら安心を提供していく。商売が長年続くコツであり、お客様にも安心してもらえる。また快適ではないドレスアップカーでは意味が無い。長く乗ってほしい。車をもっと好きになってほしいという思いを込めている」(安藤社長)。

 来店したお客様から直接話を聞くことができた。「安藤社長は自分のライフスタイルをしっかり聞いた上で、車を提案してくれる。運転が苦手と伝えると取り回しの良い車、安全面に配慮した装備を提案してくれた。おかげで以前よりも車に乗るのが楽しくなった。今度は初の高速道路の運転にも挑戦したい」と笑顔で話す。
安藤社長は「商売冥利に尽きる。お客様が満足し、リピーターになる人も多い。加えてお客様が家族や友人をインパルスに紹介してくれる。ドレスアップの内容でもお客様は安藤社長におまかせと言ってくれる」と話す。

「儲けは大事だが、目先の利益だけでは自分のカラーが無くなる。他とは違う、他には無いインパルスの価値を提供することでお客様は付いてきてくれる。たまたまあるではお客様はリピーターにならない。ここで買う、これが欲しい、と思ってもらえる商品とサービスを提供することを大切にしている。時代は変われど、やることを変えるのではなく、やり方を変えていく」(安藤社長)。

●ケース②くるまのヌマオ(埼玉県)
 ユーザーの様々なライフスタイルに合わせた提案ができる個人向けオートリースが好調だ。同社は創業71周年を迎える地域密着型の老舗店舗だが、本業の中古車販売に加えて、同リースを2012年より手掛ける。オリコオートリースのコアラクラブによるコミコミ定額のユーカリプランで実績を伸ばす。
ユーザーのニーズに合わせて様々なプランが選択できる。契約期間は2年から7年まで。ユーカリプランは契約形態が分かりやすく、サービスの柔軟性が高いため、ユーザートラブルもほとんどないという。

 同社は、加盟してほぼ10年が経過するが、リース契約終了後には更にリースを用いて乗換を行うユーザーは全体の4割にのぼる。同社の主力サービスになるまで成長した。

 リースアップされた車両は下取り車となって戻ってくる。それまで自社指定整備工場でしっかりと整備されている上に、ユーザーも丁寧に乗るケースが多く残価価値も高い場合が多い。商品としても良質な中古車になるので、再販もしやすく、中古車リースとしても契約されることもある。この場合は最終的にはユーザーの持ち物となるので、そうした点に価値を持つユーザーに対して好評だ。

 通常の個人型リースでは、軽自動車が8割~9割というが、同社の軽自動車の比率は7割程度にとどまり、レクサスやベンツ等の高級輸入車などの引き合いも多い。新車にはメーカー、車種によってメンテナンス代や車検代を込として販売するケースもあるので、それに柔軟に対応するためにファイナンスリースも用意する。その他、お車けん(車検基本工賃込)、まとメンテ(車両価格・登諸費用・自賠責保険・税金にメンテナンスサービス込)、フルメンテナンスリースなどニーズにあわせたラインナップでユーザーニーズに応えている。

 実際に契約したユーザーは「いつもはローンで購入していましたが、初めてリースを利用しました。簡単でいいですね。担当の方の説明に納得でした。ありがとうございました」と感謝の声を寄せる。

 沼尾副社長は「個人型リースは認知も高まり、幅広いユーザーから支持されるようになった。とにかく安心して乗りたいという方には、自信を持って勧めている。最大のメリットはリースアップ時には販売元に車両が戻ってくるということ。次も新車リースへの乗換も多く、快適なカーライフを送って欲しい」と話す。

●ケース③空(愛知県)
 コロナ禍によりキッチンカーの需要が高まっている。なぜキッチンカーが人気なのか、今後のキッチンカーの展望を空(クウ)の稲垣博史代表に聞いた。
同社は平成16年に愛知県瀬戸市にオープン。キッチンカーだけでなくネイルショップや化粧品会社のデモカーなどの移動オフィス空間を提案。納車実績は100台を超える。また、ベース車両をトヨタのクイックデリバリーやアーバンサポーターなどウォークスルーバンに特化。ウォークスルーバンとは宅配会社がメーカーに「車内作業で腰をかがめる必要のない車」という依頼のもと制作された車両。既に生産は中止されているが車高の高さとお洒落な外観から、未だにキッチンカーやキャンピングカーとして人気が高い。

 同氏はキッチンカーの最大のメリットは開業資金を抑えられることと語る。固定店舗を借りる場合に比べて約半分の資金でオープンが可能。また、出店場所や曜日によってメニューを変更することもメリットのひとつ。

 さらにキッチンカー販売は車両販売ではなく、ノウハウの提供だと語る。ユーザーの商売を軌道に乗せることが目標。そのため定期的に開業セミナーを開催。車両制作だけではなく、レシピの開発も進める。現在は30を超えるレシピを提供している。同社は依頼主の身長によって配置する家具の位置にもこだわっている。製作段階で必ず依頼主と導線のシュミレーション作業を行う。

 その他にも同社では開業までの資金調達や開業する場所などのアドバイスも行う。資金調達については銀行での借り入れ、株式会社を作る前提での創業融資も提案。開業場所については現在はイベント開催が減少しているが、スーパーなどの商業施設の駐車場やビジネス街でのランチ販売なども安定した収益を維持できるとのこと。また、移動販売は各都道府県保健所の営業許可が必要となるが、これまで全ての車両で認可を取っている。
さらに自社で認証工場を保有。万全のサポート体制で、車両が故障した際の代車も用意している。

 同氏は「今後は現在稼働するキッチンカーのリフォームを提案していく。これまでの実績から導線、廃熱機構の改善や開業場所にちなんだ複数のメニューを提案。固定店ではできないキッチンカーのメリットを追求していく」と抱負を語る。

●ケース④ガッツコーポレーション(大阪府)
 ガッツコーポレーション(大阪府八尾市、河野敏尚社長)は、アスター店(八尾市)とガッツ店(東大阪市)の2店舗で中古車小売りを展開する。厳選した豊富な中古車を展示する同店では全車に「2年保証付き」販売を行うなど、ユーザー目線に立ったアフターサービスも魅力だ。大阪府の東部、八尾・東大阪地区で地域密着営業を展開する。

 同社が新規事業としてレンタカー事業を始めたのは2015年。「ニコニコレンタカー」のフランチャイズチェーン(FC)に加盟、既存の2店舗を窓口に「地域の一般ユーザーの足代わり」(河野社長)に、短時間利用を中心に実績を伸ばす。

 河野社長が「ニコニコレンタカー」へのFC加盟を決めたのは、少ないリスクに他ならない。元々中古車展示場を2店舗運営しているので、レンタカーの置き場に困らないことと、中古車をレンタカー登録するため、新たな車両投資なども必要無かった点だ。現在では、約10台のレンタカーを保有し、稼働率は50%程度で推移する。スタートから5年以上が経過し、近隣の大学に通う大学生などによるリピーターも増加傾向にあるという。「車両を増やせば増やすほど、売上げや利用率は上昇する。1台当たりの利益は少なくても、中古車レンタカーは安定的な収益が見込める」(河野社長)という。現在では、全社収益の2割程度を稼ぐまでにレンタカー事業が成長を見せている。

 同社のレンタカーユーザーの9割は一般客。「半日利用」のような短時間レンタルが多く、週末の朝にはレンタカー客が多く来店する。店頭には、小さな看板が道路沿いに掲げられているものの、大々的にはレンタカー訴求していないという。店舗集客の大半は「ニコニコレンタカー」の公式サイトからの誘導だという。

 一方で「レンタカーから中古車へ」という流れも生まれ始めているという。「レンタカー=商品」ということで、レンタカー利用をきっかけに、その車両の購入を希望するユーザーやレンタカー利用をきっかけに来店し、店頭在庫に興味を示すユーザーも多いという。「中古車店ということで、購入意思がないユーザーにとっては敷居が高い。こうしたお客さんにも気軽に来店してもらえることで、新たなユーザー層拡大にもつながる。車販は月ごとやシーズンによる波があるが、サービスやレンタカー事業はコンスタントに収益を生むほか、顧客固定化につながっている」(河野社長)と、大きな手応えをつかむ。




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