【インタビュー】 自動車局整備課長 板崎龍介氏に聞く - グーネット自動車流通

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【インタビュー】 自動車局整備課長 板崎龍介氏に聞く

整備 2015年09月29日
自動車技術高度化と人材確保・育成の問題を産官連携して乗り越える
会社名:国土交通省
国土交通省自動車局整備課長 板崎龍介氏

国土交通省自動車局整備課長 板崎龍介氏

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 7月1日、国土交通省自動車局整備課長が交代。江坂行弘氏の後任として、自動車交通局技術安全部審査課リコール対策室長、同部技術企画課国際業務室長、自動車局技術政策課国際業務室長、同局環境政策課長を歴任した板崎龍介氏が就任した。板崎新課長が目指す自動車整備行政の姿とは。

―新しい自動車技術とその普及が急速に進む中で、特に専業・兼業整備事業者への整備情報の普及と知識・技術向上が進んでいない現状をどう捉えているか
 新型車の情報収集と新技術への対応に苦慮していると理解しており、特にASV(先進予防安全車)技術の点検整備を可能とするため、汎用スキャンツールの標準仕様について、現状の環境を中心としたものから安全を含めた、新たなものを策定しなければならないと考えている。そのため、かつて開催された「自動車整備技術の高度化検討会」と同様の検討会を、間もなく発足させる予定だ。
 整備情報については、日本自動車整備振興会連合会(日整連)がオンライン整備情報システム「FAINES」(ファイネス)を運営し、整備事業者に提供しているが、これをより一層活用していただくことも重要だと思う。

―ASV技術の装着率が急進する一方、その整備情報及び必要なツールが各カーメーカー、インポーター系列ディーラー以外には原則的に提供されない、または提供されても非常に高価な現状の打開策は
 安全OBDの情報開示については、「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン検討会」でも議題となったが、前述の高度化検討会でカーメーカーやインポーターにも参加してもらい、そのあり方を議論していく。特に開示を義務付けられているもの、一般に広く使われているものについては、今後もオープン化を求めていく。

―自動運転車の市販化を見据えた法・インフラ構築の進捗状況は
 自動運転技術はASV技術の延長線上にある高度な運転支援と考えており、それは整備技術においても同様だ。そのビジネスの準備を進めるのは各事業者がすべきことと思われるが、しっかりとした点検整備ができる環境を整えるのは政府が果たすべき役割と認識している。
 自動運転に関する保安基準の国際調和については自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の中で定義付けが議論されているが、日本もこの会議へ積極的に参加している。インフラ整備は、車両単独ではなくインフラからの情報提供を行ったほうが低コストなものに関し、当省自動車局技術政策課及び道路局、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で進めている。

―FCV(燃料電池車)の普及拡大に合わせた整備技術普及のロードマップは
 FCVに関する国際基準は日本のものがベースになっている。今後FCVの普及拡大が進めば、水素漏れによる爆発事故を防ぐための水素検知器や、FCV特有の装備を点検整備するための設備も備えていく必要があるだろう。

―軽量化による燃費向上を目的として鋼板の高張力化、素材の多様化が進んだ車体の修理に対応する知識・技術の啓発・向上及び機器類の普及策は
 このような車体技術の変化に伴い、適切な車体修理の実施が難しくなったことに対応するため、昨年11月より日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)、日本自動車補修溶接協会(JARWA)とともに「車体整備業の高度化・活性化に向けた勉強会」を毎月開催し、今年5月に中間報告を公表した。
 今後は優良認定事業場や日車協連推奨工場などを対象に、超高張力鋼板の補修溶接が可能な工場を「スーパーハイテン対応スポット溶接機設置事業場」(仮称)、スキャンツールを用いた点検整備が可能な工場を「汎用スキャンツール設置事業場」(仮称)として日車協連が自主認定し、車体整備記録簿や修理保証書も活用して見える化する計画となっており、当省でもこの取り組みをカーオーナーや関連団体へのアピールを通じ支援していく。

―今年1・2月に実施した「自動車の点検整備に関するアンケート調査」の結果と成果は
 同アンケートでは約半数のカーオーナーがユーザー車検代行業者を整備工場と誤認しており、そのうち自身で点検を実施していないにも関わらず点検整備記録簿にカーオーナーの名前が勝手に記載されていたケースが6%あった。
 これらデータを各運輸支局が実施している未認証工場の調査に活用しながら、2009年より毎年7月に実施している未認証行為禁止の周知や認証取得の指導を進めている。その結果として、認証工場は年々増加している。

―「自動車整備人材の確保・育成に関する検討会」で挙がった課題及び具体策は
 整備技術力確保のためにも人材の確保・育成は必要不可欠なため、自動車関連14団体による「自動車整備人材確保・育成推進協議会」の活動内容を踏まえ、同検討会を開催した。
 だが様々なパターンの個別事例があり、全体像を把握するのが困難なため、同検討会ではそのための調査を実施し、問題の明確化と待遇改善の具体策実行に取り組んでいく。なお、協議会では引き続き、高校や一般カーオーナーへのPRを中心に活動する。

―読者へのメッセージを
 自動車は特に地方の生活基盤として不可欠なものだが、ただ使ったままではなく定期的な点検整備が必要となる。そうした観点から、自動車整備業は安全・安心な自動車社会を実現する上で、非常に重要な地域密着型の産業と認識している。一方、自動車は日々進化するため、整備事業の継続にはそれに付いていくという強い意欲が必要となるが、整備事業者にはそうした高度化への対応に意欲を持って臨むことを期待している。
 また、自動車分解・車体整備技術の高度化と人材確保・育成は大きな課題で、自動車整備業が重要な産業である以上、国としても乗り越えなければならないものだが、整備事業者にも自身に誇りを持ちながら、将来のビジネス展望を見据えながら社会に必要な事業として頑張っていただきたいと思う。
 車体整備、分解整備、いずれの分野においても技術の高度化が進んでおり、今後は整備技術力の確保がより一層重要になる。その一方でカーオーナーの知識低下も進んでいる今、整備事業者はますます、自動車のプロとして重要な役割を担うことになるだろう。

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