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令和最新版【査定検査ガイド】㉚外板チェックに大活躍!膜厚測定の注意点

 車体の塗装を計測するツールは、以前から存在していましたが、大変高価であったり、磁石を用いたアナログ的な仕組みのものが多く、実用的ではありませんでした。しかし現在では、電磁式や超音波式等の高性能な測定機が安価で入手できるようになり、査定検査の現場においても活用しています。こうして重宝されている膜厚測定機も万能ではありません。外板の加修跡発見に活用できる反面、最新の車両だからこその注意点も存在すのです。

●新車時の塗装品質が良好であること
 ボディの塗装、とくに外側に面しているエリアの塗装は『静電塗装』という特殊な方法で行われています。
 その為、塗装膜の厚さはほぼ均一であり、誤差も10~30ミクロンレベルで収まるほど良質な塗装面にすることができます。
 このように新車の塗装面が良好であることで、はじめて膜厚測定機の効果が発揮されます。
 外板の加修は、元の塗装膜を完全に剥離すのではなく、多少残った状態から再塗装を実施。その結果、従来の塗装膜よりも厚くなることで、膜厚測定時に検出されやすくなるのです。

●鋼板?アルミ?複合素材を組み合わせたボディ
 『ボディ全体の膜厚がほぼ均一』
 これを念頭に測定していくと、高めの数値結果の場合に加修歴の疑いが発生します。
 ところが、新車出荷状態であるにもかかわらず、膜厚数値が全体的に安定していないモデルも存在します。
 それは『アルミ合金製』の外板部位を部分的に採用しているモデルです。

●非鉄製パネルは塗料の付着性が低い
 現在市販されているプレミアムモデルの多くは、フロントエリアやドアに『アルミ合金』を採用しています。
 アルミに限らず、非鉄金属は、鋼板に比べても塗料の付着性が低いことが実証されています。
 結果として、新車状態だったとしても、同一車両内で異なる膜厚数値を表示してしまうのです。
 実際にメルセデスベンツの現行型GLAクラスの事例を挙げてみましょう(画像②)。
 リヤフェンダーを測定してみると、素材表示は『Fe(鋼板製)』で数値は105ミクロン(画像③)。
 対してボンネットを測定すると素材表示は『NFe(非鉄・アルミ合金製)』で数値は82,9ミクロンとなっています(画像④)。
 日々、様々なモデルを検査現場で測定していますが、アルミ合金の場合、鋼板製に比べて15~20%程度低い数値を示す傾向が確認されています。
 
●測定機以外の確認方法も必要
 こうした特性を理解しておかないと、
 『新車で購入して以降、修理経験が無いとユーザー申告があるのに、どうして膜厚数値が高いのか?』
 と、戸惑うことになります。
 ユーザー申告に虚偽があるのか?
 PDIセンターでの加修歴があるのか?
 それとも鋼板製、非鉄製パネルの混合ボディなのか?
 これらを判別するためには、測定機以外の確認手段を用いる必要があります。
 膜厚測定機の結果に過信は禁物です。

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