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【2024年 年頭所感】日本自動車販売協会連合会  会長 金子直幹

  • 日本自動車販売協会連合会 金子直幹会長 日本自動車販売協会連合会 金子直幹会長
 明けましておめでとうございます。2024年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年を振り返りますと、約3年間に及んだコロナ禍を乗り越え、ようやく我が国の社会・経済活動が本格的に再開した一年となりました。雇用・所得環境の改善、企業の生産活動の持ち直し、インバウンドの回復など、日本経済は前向きに動き始めたものと考えております。その一方で、エネルギー価格の高騰や物価高が続く中、国民生活は大きな影響を受けました。個人消費は依然として力強さを欠いていると言わざるを得ません。
国際情勢に目を向けると、長引くロシアのウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢をはじめ、世界各地で深刻な事態が発生した一年でもありました。こうした厳しい国際情勢は、世界経済、そして日本経済にとっても大きなリスクとなっており、引き続き注視していかなければなりません。

 こうした中、昨年の我が国の自動車業界は、世界的な半導体不足が徐々に解消に向かい、車の供給体制は大幅に改善いたしました。国内の新車登録台数は2019年以来4年振りに300万台を超えたところであり、回復を実感できる一年となりました。しかしながら、依然としてコロナ前の9割程度の水準にとどまっており、これから先が正念場になるものと考えております。また、車の納期は改善しつつありますが、依然として多くの車種でお客様にご迷惑をおかけしております。引き続き、本年も皆様に一日も早く車をお届けできるよう、業界を挙げて取り組んでまいる所存です。

●カーボンニュートラル実現に向けた挑戦
 2050年におけるカーボンニュートラルの実現は、国を挙げて取り組んでいくべき最重要課題の一つです。とりわけ、自動車は製造、走行等の各段階で多くの温室効果ガスを排出しており、こうした自動車ビジネスに携わる自動車販売業界としては、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいくべき責務があるものと考えております。自販連としては、昨年3月にカーボンニュートラル実現のための行動指針(アクションプラン)をとりまとめたところであり、本年はこれに沿って取り組みを進めてまいります。

 まずは、ディーラー自らが環境問題に高い意識を持ち、「環境経営」に取り組んでいかなければなりません。その出発点として、全会員が事業活動で排出される温室効果ガスを把握するとともに、その計画的な削減を加速してまいります。

 また、2035年には新車販売の100%を電動車とする国家目標にもしっかり貢献してまいります。電動車の普及促進、そのための充電インフラ等の整備、ユーザーへのCEV補助金等の情報提供やエコドライブについての情報発信など、脱炭素化に資するあらゆる取り組みを進めます。

 自動車販売業界はユーザーである国民の皆様と一番近いところにいる存在です。その強みを生かしつつ、カーボンニュートラルの実現に向け業界を挙げてしっかり取り組んでまいる所存です。

●新たなモビリティ社会の実現に向けて
 自動車の技術が大きく進歩し、クルマは「単なる移動手段」ではなくなりつつあります。私たちは、まさに今、新たなモビリティ社会の入り口に立っています。昨年10月には、国民に未来のモビリティ社会を体感していただけるよう、自動車業界、関連業界を挙げて「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」を開催したところであり、110万人を超える皆様に来場していただきました。人々の暮らしが豊かになり、同時に様々な社会的な課題が解決されるような新たなモビリティ社会の構築に向け、今後とも、モビリティに関連する幅広い業界の仲間たちとの連携、協力を深化させていきたいと考えております。

 また、新たなモビリティ社会を実現していくためには、モビリティに携わる仲間を増やしていくことも大きな力になると考えております。このためには、将来を担っていく子どもたちが幼少期から車と接する機会をつくり、モビリティに関心を持ってもらう機会を創出することが重要であり、自販連では「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」において「カーディーラーの自動車整備士の仕事」を体験できるイベントを実施したところです。このイベントにより、子どもたちには、ディーラーの仕事や車そのものを、より身近に感じていただけたものと考えております。今後とも、こうした活動を通して、新たなモビリティ社会の実現に向けて共に歩む仲間づくりについても取り組んでいく所存です。

●車体課税の「真の」抜本見直しに向けて
 自動車ユーザーは取得・保有・走行の各段階で合計9種類、約9兆円もの過重な税を負担しております。日本の登録車の国内販売台数は、ピーク時から6割減となり、G7各国と比較しても日本だけが突出して大幅な下落傾向が続いておりますが、諸外国と比べて過重な自動車の税負担が維持されていることがその大きな要因の一つであることは言うまでもありません。とりわけ地方においては、車は生活必需品であり、地方のユーザーの負担はすでに限界を迎えているのではないでしょうか。

 少子高齢化の進展を理由に、日本の自動車販売は今後ますます減少するとの指摘をする方もいますが、私は必ずしもそうは思いません。日本人の所得が増え、自動車関係諸税の軽減がされるなど、デフレ脱却に向けた積極的な経済政策や抜本的な税制改正が実施されれば、子育て世代なども含めてまだまだ需要開拓できるものと考えます。減税による新たな需要開拓は新たな税収増にもつながり、好循環が生まれるものと確信しております。

 昨年末に公表された令和6年度税制改正大綱においては、自動車関係諸税については、次のエコカー減税の期限到来時までに、中長期的な視点に立って検討される旨が改めて明記されました。100年に一度ともいわれるこの変革期に、新たなモビリティ社会実現に向けた取り組みが官民を挙げて進められておりますが、自動車関係諸税についてもこうした新たなモビリティ社会に相応しい形への再編が求められています。税財源確保の視点のみではなく、幅広くバランスの取れた議論が早急に行われ、結果として、車体課税の軽減・簡素化が実現するよう心から期待しております。地方の声、ユーザーの声をしっかりと国政に届け、「真に」抜本的見直しが行われるよう、今後とも粘り強く要望活動を展開してまいります。

●信頼される地域社会の一員として
 私たち自動車販売業界の使命は、車の販売・サービスを通じて地域のお客様に安心、安全をお届けし、あわせて地域社会に貢献していくことです。交通安全対策や、地域の高齢者等の移動手段の確保、地域の脱炭素化などの社会課題の解決なども含め、今後とも、幅広く地域に貢献してまいります。

 その際、何よりも大切なのは地域の皆様からの信頼だと考えております。地域のお客様を第一に考えつつ、またコンプライアンスの徹底等についても不断の努力を積み重ね、良き地域社会の一員として尽力してまいる所存です。

 引き続き自販連へのご理解、ご支援を切にお願い申し上げるとともに、本年が皆様方にとりまして、より良い年となりますよう心から祈念申し上げます。


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