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【特集】「安心」「信頼」を訴求する 中古車業界の取り組み

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  • 一目でわかるJUショップ看板(第3弾テレビCMより抜粋・JU福島) 一目でわかるJUショップ看板(第3弾テレビCMより抜粋・JU福島)
  • 第3弾テレビCMの一コマ(JU福島) 第3弾テレビCMの一コマ(JU福島)
  • 馬場勝也社長(アクセルプロモーション) 馬場勝也社長(アクセルプロモーション)
  • 在庫車両全台に第三者機関の鑑定を実施(アクセルプロモーション) 在庫車両全台に第三者機関の鑑定を実施(アクセルプロモーション)
  • 増田憲太郎社長(マスダフリーコーポレーション) 増田憲太郎社長(マスダフリーコーポレーション)
  • 広々としたショールームを持つ建屋(マスダフリーコーポレーション) 広々としたショールームを持つ建屋(マスダフリーコーポレーション)
  • 稗田勇社長(マンデー) 稗田勇社長(マンデー)
  • 「ワンオーナー下取り車」を強く訴求する展示車(マンデー) 「ワンオーナー下取り車」を強く訴求する展示車(マンデー)

中古車購入者は販売店に不信感を持っている

 2023年の中古車業界は大手中古車販売店の不祥事により、ユーザーからの不信感が高まった1年である。もともと中古車業界は、生活において必要性の高い自動車を扱う上で、販売店が多く競争が激しい業界である。そのような業界内での競争激化の中、利益を求めるあまり、一部販売店でメーター巻き戻しや修復歴詐称、おとり広告などの不適切な行為を行ってきたことで、業界におけるユーザーからの信頼度は低迷していった。それを受け現在では、自動車公正取引協議会や日本中古自動車販売協会連合会などの業界団体、各販売店が信頼回復に向け、さまざまな取り組みが行われ、改善されてきている。(福井伸幸)

■中古車購入の不安は「販売店への不信感」
 約2300名のユーザーにアンケートを取ったグーネットマガジンによると、中古車購入に対する不安について、中古車購入未経験者は「販売店(業界)への不信感」が29.4%で圧倒的トップ。続いて「経済的不安」(17.6%)、「故障の不安」(11.8%)となった(図1参照)。実際の回答では、「故障、不具合に悩まされそう。保証とか少なそうで、車の知識がないと騙されたりしそう」(30代男性)、「事故車等の騙し」(50代男性)といったネガティブなイメージから来る不安が見られた。また、中古車購入3回以上経験者においても、「性能・状態に関する不安」(20.7%)に次いで、「販売店(業界)への不信感」が18.5%と上位に入った(図2参照)。以上のことから、中古車購入の経験に関わらず、ユーザーは販売店への不信感を持っていることが明らかになっている。

■信頼を得る取り組みは広がっている
 ユーザーの不安を取り除く取り組みの一例として、10月1日から、自動車公正競争規約・同施行規則の改正が施行され、中古車販売価格の「支払総額」表示が義務化された。従来、安価な価格を表示しながら、実際はその価格で購入できず、保証や整備などのサービスが余分に請求されるといった事例が見受けられ、ユーザーの不信感を招いていた。ただし、義務化により、表示された支払総額で車を購入することができるため、不信感を招く原因の一端を取り除くことができた。また、JU愛知(加藤勇東会長・理事長)では、JU適正販売店対象と全組合員対象の研修を22年度から本格的に実施。JU適正販売店対象では、顧客の信頼向上と変化に対応できる体制の構築を図ることを目的に研修が行われた。研修で使用されたテキストの一部に、「信頼とは、その会社・店が健全な行動をとることへの期待」と記してあるように、研修を受けた組合員は、研修で学んだことを実践し、ユーザーからの信頼を得る努力を積んでいる。このような取り組みは、業界団体や販売店単位で徐々に広がってきている。次からは全国での取り組みを紹介する。


ケース①
JU福島(福島市笹木野)

JUショップを通じ安心と信頼を構築していく
自県ユーザーに向けてオリジナル施策展開

 JU福島(福島市笹木野、橋本一男会長)は、ユーザーに信頼されるJUショップづくりを後押ししている。
JU福島はユーザーに向け、「JU福島公式サイト」を作成。同サイト内では「JU福島とは」をはじめ、JU福島の活動やキャンペーン、加盟店紹介など、ユーザーの“気になる”“知りたい”に応える情報を提供し発信している。また、JU福島はJUショップの看板を製作し、福島のJUショップに提供している。この看板は3種類のサイズを用意しているが、いずれも一目で「JUショップ」とわかるデザインであり、JUショップの認知向上に一役買っている。

 安藤真樹副会長は「自動車販売店はユーザーがあってこそ。言い換えれば組合はユーザーによって支えられているとも言える。組合活動は組合員のためだが、その活動は最終的にユーザーに繋がる。その意味でもJU福島とは何か、JU福島は信頼できるのか、その答えをユーザーに提供していかないといけない」と言う。

■「福クル」でユーザーのパートナー目指す
 小売振興委員会(大木卓副会長)が昨年開設した中古車情報サイト「福クル」は、福島県内のユーザーに向け、中古車情報とJUショップを紹介。大手中古車情報サイトは全国のユーザーが対象となるが、「福クル」は福島県のユーザーとJUショップの距離を縮め、ユーザーの身近にJUショップがあることを伝える狙いだ。 
JUショップがユーザーのパートナーとしてカーライフを支え、「クルマのことはJU福島で解決」とユーザーに言ってもらえるよう取り組んでいる。

■テレビCMでユーザーにJUを訴求
 総務委員会(委員長:宗形義孝専務理事)が中心となり第3弾となるテレビCMを作成。過去2回はJU福島の認知向上を目的としていたが、今回は中古車とJUショップの安心と信頼を訴求する内容であり、放映は24年1月を予定している。
「CMづくりにおいて最も意識したのは『人が心で感じていることを表現する』ということ。今、ユーザーが中古車を、また中古車販売店を心から信頼しているかと聞かれれば、100%とは言えない」(安藤副会長)。JU福島はこの状況を変えていくためにテレビCMを通じてユーザーに訴えていく考えだ。

 JU福島は過去にも「JUソング」を制作。またテレビCMや「福クル」を通じ、ユーザーに寄り添うJUショップとして安心と信頼を訴求し、JUブランドの確立に尽力している。


ケース②
アクセルプロモーション(埼玉県川越市)

信頼度を追求し顧客満足度も向上
安心材料をフル装備

 アクセルプロモーション(埼玉県川越市、馬場勝也社長)社は、創業30年の歴史を持ちながら、中古車販売において独自の安心材料を提供している。その中心に位置するのが「フレンディブ安心長期保証」であり、ユーザーの安心を支える重要な要素となっている。1年から5年間、走行無制限・修理回数無制限の範囲で故障のカバーを提供し、業界最多項目の故障も保証の対象としている。購入後も安心して利用できる環境を整えている。

【車両の透明性を重視】
 自社認証整備工場を完備し、ボディーコーティングやルームクリーニングなど幅広い整備サービスを提供している。情報開示における徹底した姿勢で、ユーザーに対する透明性を重視する。中古車の品質を確保するために、厳格な点検プロセスや品質保証を提供する。車両の状態や履歴を確認し、販売前に点検や修復を行い、顧客に信頼性の高い車を提供する。車載式故障診断装置(OBD)を活用したグー故障診断などのサービスを通じてわかりやすい診断書を発行しユーザーに寄り添ったサポートを提供している。ネガティブな要素も積極的に開示し、ユーザーに正確な情報を提供することで信頼関係を築いている。

【正確な情報を提供】
 車両の過去の履歴情報(事故歴、メンテナンス履歴など)を透明かつ詳細に提供することで、購入前に顧客が正確な情報を得られるようにしている。在庫車すべてに第三者機関による鑑定を実施し正確な情報を提供、顧客とのコミュニケーションを大切にすることで、信頼関係を築く。価格、仕様、サービス内容などの情報は明確で一貫性があり、顧客の疑問や質問にも迅速かつ丁寧に対応することも信頼度を向上させる。

【身近に感じてもらう】
 同社は、ショップレポーターによる店舗紹介の動画をネット上に掲載するなど、ユーザーに対して身近な情報提供にも力を入れている。これにより、ユーザーは店舗やサービスについてより具体的にイメージでき、実際に来店する前に信頼感を深めることができる。

【仕入れ】
 中古車仕入れにおいては、相場観が重要だが、同社では専門の仕入れスタッフが活躍し、的確な取引を実現している。
自動車公正取引協議会へも加盟し支払総額表示も以前より導入済み。委託調査員の任命等も、同社が信頼される存在として位置付けられる。


ケース③
マスダフリーコーポレーション(愛知県東郷町)

安心・安全はコミュニケーションづくりから
自らの利益ではなくユーザーの利益を優先することで信頼関係が生まれる

 1983年創業、今年で創業40年目を迎えたマスダフリーコーポレーション(愛知県東郷町、増田憲太郎社長)。長年培った知識と経験で名古屋市近郊を中心に幅広いエリアで輸入車の整備や修理、中古車販売、保険などユーザーのカーライフをサポートしている。また、「会社の利益の前にお客様の利益が優先」という考えの元、お客様目線に立った経営で多くのユーザーからの支持を得るとともに、所属するJU愛知では「JU適正販売店」の資格を取得。創業から40年経過した今でも「安心・安全」への追及は止むことはない。

■安心は信頼関係を作ることで生まれる
 安心について増田社長は「お客様に安心と感じてもらうには、車を通じたコミュニケーションづくりが特に重要。大事な車を預けてもらうには、お客様の期待に応える作業をして車を返却しなければならない。このやりとりの繰り返しがコミュニケーションとなり、お客様と当社の間に信頼関係が生まれ、安心と感じてもらうことができる」と話す。

■環境をつくることで安心を訴求する
 同社がユーザーの車を預かるときに大事にしているのが「しっかりとした説明」だ。交換部品や金額、納期など最初にしっかりと説明をして同意を得ることを徹底している。また、保険修理に関しては、修理における各工程や交換した部品の写真撮影を行うとともに、保険修理、通常修理に関わらず、ホイールナットの締め付けにおいては、トルクレンチで締めた際の状態を写真で残し、事故防止に努めている。アフターについても、塗装のめくれなど修理箇所の不具合については、1オーナー永久保証を付帯して安心を訴求。また環境面でも充実しており、敷地内の認証工場、専用テスターによる故障箇所診断やJIG式フレーム修正機・塗装ブース・4輪アライメントテスターなど修理に関する作業を自社で行っている。

■自ら研修に参加することで見本となる
 同社は約7年前に「JU適正販売店」の資格を取得。増田社長は10月に組合が主催するJU適正販売店向け研修における教育優良店の表彰を受けたばかりだ。増田社長は「従業員に参加させるのではなく、自分自身で研修に参加したことで、深く理解をすることができると同時に、従業員の見本となることができた。改めてお客様対応の大事さ実感できたので、今後は自社に落とし込んでいきたい」としている。


ケース④
マンデー(大阪府泉佐野市)

中古車保証制度をいち早く導入し顧客に安心感
リース注力でワンオーナー下取り車中心の品揃え

 1991年創業のマンデー(稗田勇社長)は、創業当初から貫く「公平」の経営哲学で、長年にわたって地域密着の営業展開で「安心」「信頼」を勝ち取っている。同社が創業後間もなくスタートさせた自社保証制度では「電球一個からエンジンに至るまで」というキャッチフレーズで、ユーザーに強い安心感を訴求するほか、10年以上にわたって注力する「マイカーリース」で、安定的に顧客基盤を拡大する。3年、5年、7年周期で訪れるリースアップ車を「ワンオーナー下取り車」として、店頭販売において他店在庫との差別化を図るほか、自社で整備・車検した管理ユーザーからの下取り車を強みに自信を持って販売する。コロナ禍や大手販売店による不正問題発覚などで厳しい市場環境の中、今年は創業以来最多の販売台数(新車+中古車)を更新する見通しだ。

創業間もなくスタートした自社保証制度で安心感
 同社では保証制度が一般化する以前から、自社保証制度を展開している。ユーザーが安心して中古車を買えるよう、稗田社長が考えたサービスだ。現在では一般化している中古車保証制度にいち早く着眼した。

マイカーリースを強化、新車販売を本格化
 直近の同社の販売実績は新車が7割、中古車が残りの3割という割合。本格的に取り組むリース販売は約10年が経過し、着実に同社の基盤となってきた。リース販売を通じて、人気の軽乗用車などを多数販売、3年や5年、7年というリース契約満了のタイミングではコンスタントにリースアップ車が入庫する好循環を生み出している。「リース車乗り換えのタイミングは景気に左右されず、安定的な販売台数確保につながるほか、リースアップで入庫する中古車が展示場を充足してくれる」(稗田社長)という。

ワンオーナー車中心の中古車展示で他店と差別化
 本格的にマイカーリース事業に注力し約10年が経過したことで、同社には毎月コンスタントにリース満了車が入庫する好循環を生み出している。
 「リースアップ車はすべて自社で整備・車検した履歴付きのクルマばかり。販売する際にスタッフが自信を持って提案できる強みがある。また、AAなどで仕入れることを考えると圧倒的に原価が安いことも魅力」(稗田社長)だという。店頭では「ワンオーナー」「下取り車」というアピールを行うことができるほか、売れ筋車種ばかりが同社に舞い込んでくる。もちろん、30年来のお客さんが新たな紹介客を呼んでくれることも大きな強みだ。


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