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【バディカ連載 Ver.2.0】 003 新時代の営業マン

バディカ代表取締役・中野優作氏による新連載

●他社との差別化とSNSによる「個」の確立

 クルマ屋営業における差別化とは一体何なのか?
こう考え始めたときによく陥る罠が、奇をてらったマーケティングやPRだ。奇抜なデザインの店にしたり、タレントを起用したCMや、嫌がるスタッフに被り物を被らせて表に立たせる企業も多い。
もちろん一定の効果はあるし何も変化しないよりははるかにいい。だけどその場しのぎのマーケティンで信用は得られるのか?

 僕の知っている店でもコンパクト専門店から軽四の専門店になり、その後ハイブリッド専門店になり、今はSUVも並べて結局何の店なのか分からなくなっている。コンサルの言いなりで「その場の集客」だけを考えて手を打つとこうなりがちだが、ユーザーから見てどう見えるだろうか?売れてないから商品を変えまくっていると思われるだろう。実際そうだ。小手先のマーケティングは真剣なユーザーに見透かされてしまう。

 398専門店や、1万円リース、各種専門店が多く生まれた。ランチェスターやブルーオーシャン戦略とコンサルに言われるままにやっている会社の現状はどうだろうか?今でも商売繁盛しているか?長期的に見ればうまくいっていない会社の方が多いだろう。
真新しい商品で目を引いて集客しても、すぐに飽きられて終わりだ。そしてまた別の真新しい何かを始めなければいけなくなり、ユーザー目線ではブレブレの経営に見えて、かえって信用を失うことになる。
そういう会社様から僕の元に経営の相談が絶える事はない。
もちろん中にはうまくいっている企業もあるが、それは奇抜なビジネスモデルが当たっているんじゃない。本質は別のところにある。

 僕の知っている未使用車専門店で成功している店舗は、未使用車を売る為の「組織作りと、品揃え」で地域のポディションを取っている。圧倒的に安い。低価格を成立させる為の徹底した業務の仕組化と、組織のカルチャー作りに成功している。
 まず、安さを実現する為に、人件費を徹底的に抑えている。
 お金を稼ぐよりも人生を充実させよう、お客様に感動してもらおう。そういった考えに賛同してもらえる人だけを採用して、教育しているから、若くて感じのいい元気なスタッフが低賃金で働いてくれる。そして軽四の未使用車専門店だから知識の浅い人でも、中古車に比べて取り扱いが簡単だ。専門的な知識が少なくても売れる。

 次に在庫の仕入先と展示場サイズ、資金調達が必要だ。
 軽自動車の未使用車を専門に扱うと新車との価格差を出す為、どうしても粗利は低くなる。その分、数を売る必要があるが、その為には大量の在庫を仕入れるコネクションが必要だし、それらを並べる展示場サイズもセットで必要だ。もちろんそれを可能とする資金調達力も必要不可欠となってくるが、この点も彼らはクリアーしている。
更にキャッシュポイントの多さだ。

 彼らはクルマを売るだけではなく、その後のバックエンド商品として、任意保険や、車検工場、鈑金工場を併設し、アフターサービスでもマネタイズしていくことを設計している。
売る時は薄利でも、売った後のアフターでも少しずつ粗利が落ちていくように仕組化されている。完璧だ。ここまでやられるともう後発で参入する気がしない。やったところで儲からないだろう。
鮮やかに先行で逃げ切って地域のポディションを抑えている。これが本当の差別化だ。
さらにこの店は若手のイケてるスタッフを前に出して、常にSNSで発信を続け、顔出しで「個」を確立している。彼らはライフスタイルに合わせた提案を発信したり、クルマを並べて比較したりしている。軽の未使用車はデザイン性で選ぶことも多いのでSNSとの相性が抜群だ。この段階のユーザーはスペックやうんちくには興味がなく、そのクルマに乗ってみた感想やおススメポイントだ。その専門店で働くプロの意見を忖度なく比較して発信しているから信用が得られている。店舗の差別化に加えてスタッフ「個」のSNSによる発信力がセットになれば、後発を寄せ付けない強さがある。

 このコラムを読んでいるあなたが営業マンなら、自分がすでに強烈なコンテンツであるという事を是非自覚してほしい。ユーザーは「その道のプロならどうするの?」が知りたいものだ。情報元の特定されたプロが発する情報は、お金で雇われたタレントから発信される情報とは全く質の違う、強力なコンテンツになる。
 個人として普段から専門性の高いお役立ち情報の発信をSNSでやっていこう。それに加えて自分のライフスタイルの良い部分を切り取って出していこう。
他社の営業との差別化を図り、自分だけの信用を勝ち取る。これからは信用経済の時代。勝ち取った信用は換金できる。
 SNSを使った「個」による発信こそが全ての差別化のポイントになる。


●新時代の営業の定義とは

 このコラムでこれから紹介していく売り方をすべて実践してもらえれば「あなたがいるから、この店で買う」「この会社のファンだ、またお願いしたい」こういった声が増えてくるだろう。これまでより、圧倒的に数を増やしていける。
僕たちが運営するBUDDICAでも、入社1年の社員が紹介やSNSだけで10台/月以上売る。彼らはまさに「新時代の営業」だ。コミットメントも高く報酬も高い。真っ当なビジネスで稼いでお客様に感謝され、それに見合う報酬を得ている。 

 外資系の保険会社や金融系、あるいはテクノロジー企業における「営業」では当たり前のことだ。彼らは当たり前のように1000万円~2000万円の年収を稼いでいる。その価値が「営業」にはある。
クルマ業界もそうなるべきだ。特に中古車を扱う営業は専門的な知識や信頼が問われる。売った後のお付き合いまである高度な専門職だ。しっかり稼いでもらいたい。
そのためには、営業としての「個」を確立し、ユーザーに信頼されるだけの、質の高いサービスや情報を提供することが不可欠だろう。

 ユーザーにとっての「クルマ」は「家」の次に大きな買い物と言われる、何年かに一度の大イベントだ。信頼できる営業から、間違いのない一台を買いたいし、お付き合いが始まり、それ以降も同じ担当者に任せたいはずだ。家族が出来てライフスタイルが変わったときや、子供の初めてのクルマ選びまで長いお付き合いができるような形がお互いにとって理想的だろう。
 こういった信頼関係を構築できるような「営業」はコンサルタントやITエンジニアと同じように評価されるようになっていくし、そうでなければ「営業」が一緒にクルマ探しをやる意味はない。
 
 営業とは、誰かの人生を想像し、豊かにする仕事だ。

<プロフィール>
中野優作(なかの・ゆうさく)氏。1982年3月香川県さぬき市生まれ。
バディカ代表取締役社長。中古車小売り大手で数万台を超える実戦経験で手腕を発揮したのち、2017年同社創業。最大手業販サイト、オートサーバーで「5ツ星認定」を受け、21年度「販売台数ナンバー1」(全国会員7万社中)に。「車の流通をもっと自由に、なめらかに」というミッションを持ち、圧倒的な努力と情熱で挑戦する。地元・香川の3店舗と兵庫県、岡山県、千葉県に合計6店舗を構えるほか、福岡南店の出店で九州エリアにも進出したばかりの成長企業。趣味は「筋トレ」というストイックな側面は、事業への熱意や意識の高さにも通じる。

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