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Web限定【自動車業界特化型税理士新連載企画】「個人事業」で車屋を始めた酒井くんと、「法人」を設立した相川さん

『第7話:古物商許可を取ろう!』

 個人経営と法人経営のメリット・デメリットなどについては様々な書籍が発行されていますが、この連載企画では「実際のところどうなの?」という素朴な疑問に立ち返り、物語形式でその実態に迫ります。

【今回のテーマ】
 「個人事業主」として開業することにした酒井くんと、「法人」を設立して開業することにした相川さんは、開業に関する手続きが概ね完了したので、いよいよ事業を始めるための準備に着手すべく、中古車売買に必要となる古物商許可の申請をすることにしました。

 古物商許可の申請手続きは、様々な要件を満たし、必要書類を揃える必要がありますが、その手続きは決して難しいものではありません。ご自身で申請手続きを行うことも可能ですので、今回はこの古物商許可の申請手続きについてご紹介したいと思います。

【古物商と自動車商】
 古物商(こぶつしょう)とは、古物営業法に規定される古物を業として売買または交換する商売のことを言い、またその商売を行う個人や法人のことを同じく「古物商」と呼ぶこともあります。古着屋さんや古本屋さんのように、中古商品を仕入れて販売する商売をイメージすると分かりやすいと思いますが、中古車を仕入れて販売する中古車販売業も「古物商」に該当します。そして、その中でも自動車や自動車部品を取り扱うのが「自動車商」です。

【古物商の申請と許可】
 古物(中古品)の売買等は、盗品の流通や偽ブランド品の取引が横行する可能性があるため、犯罪の防止と社会秩序の維持を目的として古物営業法によって厳しく取り締まっており、新たに古物商の営業を始める場合には、警察署に「申請」をして「許可」を取らなければなりません。特に自動車商は取り扱う商品が高額であり、万が一、盗難車を高く買い取ってしまうと自動車窃盗犯に大きな利益を供与することになり、次の窃盗犯罪を誘発することに繋がる恐れがあるため、盗難車を見極める知識や判断力を備えているか、中古車の売買実務の経験があるのかなど、厳しく審査(確認)がなされる傾向にあります。また、東京都などの都心部では、路上駐車などの迷惑行為防止の観点から、中古車を買い取った後の置き場所(保管場所)についても、審査(確認)がなされます。具体的には、店舗や駐車場を借りた際の賃貸借契約書などがこれにあたりますが、自宅敷地などに中古車を停める予定の場合には、図面などを提出することになります。

 なお、古物商許可を取らずに古物商の営業を始めてしまった場合、古物営業法違反となり、3年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくは両方が科せられる可能性がありますので、必ず申請手続きを行うようにしましょう。

【古物商の申請手続き】
 古物商許可申請は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署(防犯係)に所定の許可申請書(警視庁または道府県警察のホームページからダウンロード可能)と後述の「添付書類」を提出して行います。申請の手数料は19,000円で、申請の際には全部で13種類ある次の品目の中から自身が取り扱う品目を選択します。

1.美術品類(絵画、彫刻、工芸品等)
2.衣類(和服類、洋服類、その他の衣類品)
3.時計・宝飾品類(時計、眼鏡、宝石類等)
4.自動車(その部分品を含む)
5.自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む)
6.自転車類(その部分品を含む)
7.写真機類(写真機、光学器等)
8.事務機器類(レジスター、事務用電子計算機等)
9.機械工具類(工作機械、工具等)
10.道具類(家具、楽器等)
11.皮革・ゴム製品類(カバン、靴等)
12.書籍(本、マンガ、参考書等)
13.金券類(商品券、乗車券、郵便切手等)

 車屋の場合、「4.自動車」を選んで申請しますが、品目は複数を選択することが可能なため、中古バイクも取り扱うような場合には「5.自動二輪車及び原動機付自転車」も併せて選択すると良いでしょう。

 なお、法人の代表者が個人で古物商許可を取得していたとしても、その古物商許可は法人では利用することはできません。法人を新規設立した場合には特に問題になることはありませんが、個人事業から法人化(法人成り)したような場合には、新たに法人として古物商許可の申請手続きを行う必要があるため注意が必要です。また、許可申請書に添付する書類も、次のとおり個人事業主と法人では異なります。

(1)個人事業主の添付書類
1.略歴書(本人と営業所の管理者のものが必要)
2.本籍が記載された住民票の写し(本人と営業所の管理者のものが必要)
3.誓約書(本人と営業所の管理者のものが必要)
4.身分証明書(本人と営業所の管理者のものが必要)
5.URLの使用権限があることを疎明する資料(プロバイダ等からの資料のコピー、インターネット上で古物営業を行う場合)

(2)法人の添付書類
1.法人の定款
2.法人の登記事項証明書
3.略歴書(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
4.本籍が記載された住民票の写し(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
5.誓約書(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
6.身分証明書(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
7.URLの使用権限があることを疎明する資料(プロバイダ等からの資料のコピー、インターネット上で古物営業を行う場合)

 個人事業主の酒井くんも、法人を設立した相川さんも、自分自身で許可申請書と添付書類を準備し、所轄の警察署で無事に申請手続きを終えました。そして40日ほどで無事に「古物商許可証」の交付を受けることができました。

【今回のまとめ】
 車屋を始めるにあたって、古物商許可の申請手続きは必ず行わなければなりません。許可を得ずに営業を行うと罰則があるだけでなく、創業融資を受ける際やオートオークションに加盟する際にも不都合が生じます。

 許可申請書の作成や添付書類の準備などは難易度の高いものではありませんので、ご自身でチャレンジするのも良いと思いますが、平日に時間が取れない場合などには「行政書士」という専門家に依頼することで、よりスムーズに、より確実に申請手続きを行うことができます。

【著者紹介・取材協力】
税理士 酒井将人。
自動車業界特化型税理士事務所OFFICE M.N GARAGE代表。
税務の枠を超えて自動車販売店の業務改善などを行う「中小企業者の経営サポート」と「相続&事業承継対策」のスペシャリスト。著書に『いまさら人に聞けない「中古車販売業」の経営・会計・税務Q&A(セルバ出版)』『おうちのくるま(乗り物絵本シリーズ)』など。




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