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【連載企画】File45中古車販売店「経営実務」のウソ?ホント?

決算書は厳しいルールに基づいて作成しなければならないってウソ?ホント?

 自動車販売店の経営者や実務担当者が抱く経営・経理・税金に関する様々な疑問について、自動車業界専門の税理士が解説します。

【決算書とは?】
 決算書とは、正式名称を「財務諸表」といい、一定期間の経営成績や財務状態などを明らかにするために作成される書類です。具体的には、「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「キャッシュ・フロー計算書」などから構成されます。なお、いわゆる中小企業では「キャッシュ・フロー計算書」の作成義務がないため、「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」の3つと、これらに係る「個別注記表」を決算期ごとに作成する必要があります。

【決算書は誰に見せる?】
 決算書は、出資者(株主)への運用報告を主たる目的として作成されます。また、金融機関が融資審査の際に活用したり、企業をとりまく様々な利害関係者が対象企業を判断したりするための報告書にもなります。つまり、会社の利益や経営状況を示す、いわゆる「成績表」の意味合いを持つ書類となりますので、その業績を的確に把握でき、かつ適正に開示できる内容でないといけません。

【同族中小企業の場合】
決算書は、株主・金融機関などのために作成するということは前述のとおりですが、同族経営かつ無借金経営を行っている店舗においては、株主は親族であり、債権者も存在しないため、「自店の業績把握」と「税務申告」を主たる目的として、決算書を作成することになります。経理専属スタッフがおらず、従業員や経営者自身が経理業務を兼務している店舗などでは、経理業務に時間を割くことができないというのが実情ですので、同族中小企業の場合には、「税務申告」に焦点を当てて決算書を作成すると良いでしょう。

【税務申告のための決算書】
 中古車販売業においては、損益に帰属しない「アズカリ」や「タテカエ」といった取引が数多く発生し、これらの処理は煩雑です。しかし、税務申告に焦点を当て決算書を作成する場合には、「最終利益」さえ正しく計算されていれば、どのような経理処理を採用したとしても大きな問題は生じません。もちろん、「ヤヤコシイ」会計基準に準拠した「カッコイイ」決算書を作成するに越したことはございませんが、経営者が優先すべきは、車を売るという本業ですから、以前のコラムでもご紹介した「簡便的な経理処理」なども採用しつつ、事務負担の少ない決算書を作成することも検討してみてはいかがでしょうか。

【税理士への事前相談】
 いくら簡便的な経理処理であっても、最低限準拠すべきルールは存在します。また、業績把握という観点からは決して望ましい処理とは言えません。さらに、要点を押さえておかないと、納付すべき消費税額が正しく計算されない経理処理を採用してしまう恐れもあります。よって、簡便的な経理処理は、必ず顧問税理士等に事前に相談し、その指導の下で導入して下さい。また、その際には、経理業務のアウトソーシングなどについても相談されることをオススメします。

【筆者紹介】
税理士 酒井将人。
自動車業界特化型税理士事務所OFFICE M.N GARAGE代表。
自動車販売店などの経営サポートや業務改善に注力する傍ら、自動車業界活性化のための活動を行う。著書に『いまさら人に聞けない「中古車販売業」の経営・会計・税務Q&A(セルバ出版)』など。


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