Web限定【自動車業界特化型税理士新連載企画】「個人事業」で車屋を始めた酒井くんと、「法人」を設…

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Web限定【自動車業界特化型税理士新連載企画】「個人事業」で車屋を始めた酒井くんと、「法人」を設立した相川さん

コラム 2023年09月20日
『第9話:オートオークションを利用しよう!』
会社名:自動車業界特化型税理士 酒井将人

 個人経営と法人経営のメリット・デメリットなどについては様々な書籍が発行されていますが、この連載企画では「実際のところどうなの?」という素朴な疑問に立ち返り、物語形式でその実態に迫ります。

【今回のテーマ】
 「個人事業主」として開業することにした酒井くんと、「法人」を設立して開業することにした相川さんは、本格的に事業を開始すべく、自己資金と創業融資によって得た資金で車屋さんの商品となる中古車を仕入れる準備を始めました。2人が想定している仕入ルートは「ユーザーからの買取・下取」と「オートオークションからの仕入」の2つですが、やはり後者がその主となります。そこで今回は、開業したばかりの事業者がオートオークションを利用する際のポイントを整理したいと思います。
(取材協力:株式会社オートサーバー・ASNET)

【オートオークションとは】
 オートオークションとは、自動車の販売や買取を行っている事業者を対象とした会員制の自動車競り市場であり、一般ユーザーは参加することができないことから「業者オークション」などとも呼ばれています。なお、オートオークション会場は各都道府県の警察署・公安委員会から認可を受けた古物市場であるため、加入するためには古物許可証を有する自動車商であることが最低条件となっており、古物商許可を受けてからの期間や展示場の有無、日本中古自動車販売協会連合会(JU中販連)への加入状況などにより審査し、合格した者だけが会員になることができます。

【オートオークションの利用方法】
 オートオークションの利用方法は、大きく分けて「特定のオークション会場に入会」する方法と、「全国の提携オークション会場が利用できるネットサービスに登録」する方法の2つが存在します。どちらが良い・悪いという訳ではありませんが、それぞれの特徴を理解し、自店に合った方法を選択または併用すると良いでしょう。

(1) 特定のオークション会場に入会
 オークション会場は全国各地で展開されており、特定のオークション会場に加入することで、オークション会場に持ち込まれた数多くの中古車を実際に下見しながら競りに参加することができます。また、昨今ではオークション会場に直接足を運ぶ「現車オークション」に加えて、衛星TVによる専用端末機を使って競りに参加できるサービスやパソコンからインターネットを利用しオークション会場以外の場所からリアルタイムで競りに参加することができるサービスなども展開されています。

(2) 全国の提携オークション会場が利用できるネットサービスに登録
 特定のオークション会場に入会しない場合であっても、全国の提携オークション会場が利用可能なネットサービスに登録し、インターネットや専用アプリからデータ接続を行うことで競りに参加する利用方法があります。利用者は、提携オークション会場の会員となっているネットサービス運営会社を通して競りに参加することで、気軽に全国各地のオークション会場を利用することができます。



【オートオークションの入会要件と料金】
 特定のオークション会場への加入には、前述のとおり一定の条件を満たしたうえで審査に合格する必要があるため、開業して間もない事業者にとってはハードルが高いケースもあります。

<オークション入会要件の例>
・古物営業を開始してから一定期間以上経過していること
・店舗と展示場があり実際に営業活動を行っていること
・連帯保証人を用意するか所定の保証制度を利用すること
・一定の入会金を支払い、保証金を預託すること

 一方、ネットサービスに登録して全国のオークション会場を利用する場合には、営業期間の要件が設けられておらず、また、入会金や保証金といった初期コストや月々のイニシャルコスト(オプションサービス利用料は除く)が発生しないケースが殆どであるため、開業して間もない事業者や、メインで利用しているオークション会場と併用してネットサービスも活用したい事業者にとっては、気軽に利用することができる点でメリットがあると言えます。

【オートオークションでの取引にかかる費用】
 オートオークションを利用して競りに参加する場合には、取引内容に応じて各オークション会場が定めている手数料が発生します。例えば、自動車を落札した場合には「落札料」を、自動車を出品した場合には「出品料」を、出品した自動車が成約になった場合には「成約料」をそれぞれオークション会場に支払うことになります。また、ネットサービスに登録してオークションを利用する場合におけるこれらの手数料は、ネットサービス運営会社の手数料(代行料)が上乗せされた金額となります。

【個人事業主と法人の違い】
 オートオークションの利用に際しては、事業者が個人事業主であっても法人であっても、特に大きな違いはありません。ただ、特定のオークション会場やネットサービスに入会申込を行う際には、個人事業主と法人では準備すべき書類が異なるため、申込時には必要書類をよく確認し、不備なく書類を準備するようにしましょう。
 なお、個人事業主の酒井くんも、法人を設立した相川さんも、開業後間もないということもあり、まずはネットサービスに登録し、1年後を目途に事業が軌道に乗った段階で特定のオークション会場への入会を検討することにしました。

【今回のまとめ】
 今回は「特定のオークション会場に入会」する方法と、「全国の提携オークション会場が利用できるネットサービスに登録」する方法という2つオートオークション利用方法を中心にご紹介しました。それぞれにメリットとデメリットは存在しますが、前者であってもインターネットを活用して競りに参加するサービスが利用できたり、後者であっても、下見代行サービスを活用してオークション会場の車両の気になる箇所を確認できたりと、デメリットの部分はほぼ無くなりつつあると言えます。本文中でも触れましたが、オートオークションを利用する際には、それぞれの特徴を理解し、自店に合った方法を選択することが大切です。また、どちらか一方しか選択できないということではありませんので、「併用する」という選択肢も加えて検討すると良いでしょう。



【著者紹介】
税理士 酒井将人。
自動車業界特化型税理士事務所OFFICE M.N GARAGE代表。
税務の枠を超えて自動車販売店の業務改善などを行う「中小企業者の経営サポート」と「相続&事業承継対策」のスペシャリスト。著書に『いまさら人に聞けない「中古車販売業」の経営・会計・税務Q&A(セルバ出版)』『おうちのくるま(乗り物絵本シリーズ)』など。


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【対象評価点】

4、4.5点

【抽出価格条件】

直近価格が500千円以上

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