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1996年(平成8年)7月設立のピィー・ティー・アイ(大阪府高槻市、赤井敏和社長)は、主にマレーシア市場を中心に世界約10カ国に中古車輸出を展開する。「現地バイヤーやエンドユーザーが満足できるようなビジネス」(赤井社長)を展開し、取引先を拡大する。主な仕向け国はマレーシアやシンガポールといったアジアの新興市場だが、2011年頃からはニュージーランド、オーストラリアなどにも販路を拡大、多い年には年間2500台規模の中古車を日本から世界に輸出する規模に成長を遂げた。
赤井氏が同社社長に就任した11年10月は、東日本大震災発生から約半年、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で、輸出向け中古車輸出市場にも大きな影響が及んだ。とりわけ「放射能検査」の問題に直面、業界唯一の公的団体として日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)が存在価値を示した。赤井社長は「誰もが不安を抱える中で、輸出向け車両への放射能検査の実施コストなどの負担がのしかかった。こうした中で、東電などとの交渉により、検査費用の補償なども速やかに行われ、組合員の経営支援につなげた功績は大きい」と評価する。
JUMVEA加盟のメリットとしては、主に新興国でのブランド価値の高さだという。「新興国ほど、大きな信頼感をもたらし、われわれにとっては商売しやすい環境が整っている」と手応えをつかむ。
同社では、在庫をほとんど持たず現地バイヤーからのオーダーを元にした注文販売が中心だという。高額車を1台1台丁寧に販売するマレーシア、シンガポールに対し、ニュージーランド向けでは台当たりは低いものの、同社トップの仕向け国として、販売ボリュームを稼ぐ。幅広い仕入れノウハウで現地ニーズに対応している。
赤井社長自身、国産車ディーラーでの30年以上の経験も持つことから、中古車輸出業の経営においても「顧客満足」(CS)を根底に置きながら、常に商品が渡る先のバイヤーやユーザーの求める1台を提供するなど、1台1台丁寧に販売、クレームもほとんど発生しない。
赤井社長は現在、JUMVEA理事を務めるが、直近のロシアによるウクライナ侵攻による中古車輸出市場への影響などに速やかに対応、組合主導の問題解決や有益な情報発信の重要性などを説く。「厳しい時こそ、組織の力に期待したい」と大きな期待を寄せる。 (室田一茂)
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