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川崎大輔のアセアン市場まるわかり㉒

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自動車市場の将来を見通すシンガポール

 シンガポールの自動車市場は市場規模が小さい。安価な労働力もないシンガポールでは自動車は生産されていない。2019年におけるシンガポールにおける新車登録台数は約7.2万台。人口割合、そして所得から考えれば、もっと伸びる可能性があるように見える。しかし、限られた国土から政府が車両台数を制限している。

 シンガポールの市場を理解するポイントの1つとして、「需要ではなく政策ベースの市場」というのがある。シンガポール政府が自動車の登録台数の動きをCOEという車両所有権証書の発行枚数でコントロールしている。この証書がなければ車は保持できない。政府が税・法で自動車の総量を管理しているのだ。2つ目として、世界に比べ高い所得の割に自動車普及率が低い。3つ目は、世界で最も自動車保有に対しての価格が高い。COEを含む税金などにより、自動車保有者の大部分が高所得者層だ。高級な自動車ブランドが高いシェアを占めている。アセアン全体での日本車シェアが83%の割合に対してシンガポールは60%と他国に比べても小さい。日本のカローラ(アルティス)のシンガポールでの新車販売価格は約800万円だ。最後に新モビリティサービスなどの先進性がある。モビリティサービスや自動運転サービスが経済的に得であれば自家用車は購入しなくても良いという合理的な消費マインドを持つ人が多いのだ。

 シンガポールは他のアセアン諸国とは全く異なる自動車市場の展望を持っている。自動車の増加を抑制しながらスムーズな移動を目指す。シンガポールでは既に国土面積の12%が道路で、土地の制約やニーズの競合を踏まえると、道路網を更に拡張する余地は限定的だ。そのため公共交通機関やモビリティサービスへの転換が必要不可欠となっている。ライドシェア事業に係る法整備をアセアンの中でもいち早く策定した。また高齢化が進んでおり、シェアドサービスなどの新しいモビリティサービスやEV促進による自動運転による技術をいち早く導入し国が抱える課題の解決を目指している。先進性を実現した新しい自動車ビジネスモデルの導入実験を未来の課題解決のため世界に先駆けて行っている。日本も自動車産業の方向性を示し、早期に実現していく必要があるように感じる。

<川崎大輔 プロフィール>
大学卒業後、香港の会社に就職しアセアン(香港、タイ、マレーシア、シンガポール)に駐在。その後、大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより自らを「日本とアジアの架け橋代行人」と称し合同会社アセアンプラスコンサルティング にてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。2017年に株式会社アセアンカービジネスキャリアを立ち上げアセアン各国からの外国人整備エンジニアを日本企業へご紹介。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。




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