ジャッジメント
株式会社ジャッジメント 取締役 橋本剛
前回ご紹介した『ドアのチェック』の流れで、今回はサイドエリアの骨格部位【各ピラー】のチェックについてお話いたします。
◆サイドエリアの修復歴車は少ない?!
日本の交通事故において、車両のサイドエリアを損傷するケースは、フロントエリアに次ぐものと言われております。しかしながら、私達が車をチェックする際、サイドエリアの修復歴車に遭遇するケースは、そう多くはありません。割合で示すと、
フロントエリア・・・60%
リヤエリア ・・・30%
サイドエリア ・・・10%
と、いったところです。“どうして損傷するケースは多いのに、サイドエリアの修復歴車は、リヤエリアよりも少ないのか?”もちろん、これには理由があります。エンジンルームやラゲッジルームが存在するフロント、リヤエリアと異なり、サイドエリアにはこうした“クラッシャブルゾーン”が存在しません。それゆえ画像①のような側面の損傷程度でも、その内側に位置するピラーが大きく損傷してしまうのです(画像②)。つまりサイドエリアの衝撃というのは、ルーフやセンターフロアパネルといったモノコックボディの“中心的部位”に波及しやすく“修復困難”なケースが他エリアよりも多いということなのです。
◆査定時のチェックが大雑把になっているケースが多い
他エリアに比べて衝撃エネルギーが客室エリアに波及しやすい(修復困難→全損扱い)ということは、“流通しているサイドエリアの修復歴車は、軽微な損傷で済んだ車両が多い”とも言い換えられます。こうした事実を踏まえたうえで、車の査定シーンを想像してみてください。サイドエリアの骨格部位であるピラーをチェックする際、皆様はどのようにチェックをされていますか?弊社が開催している検査研修において実務経験者の動作を拝見させていただくと画像③のように、
【ピラーに装着されているウェザーストリップを外す】という動作をされている方が非常に多くいらっしゃいます。もちろんこの動作は正しいです。しかし残念なのが、この動作だけで済まされている方がほとんどなのです。それでは何が足りないのでしょうか?
ピラーのチェックをする際に想定される状態として、
①正常な状態
②交換されている状態
③交換はしていないが修正されている状態
④未修理の状態(歪み現状)
が、挙げられます。
画像③のウェザーストリップを外して確認するという動作は、
・溶接跡(交換歴)
・マスキング跡(修正跡)
・フレーム修正機跡(修正跡)
これら想定される②③のチェックを主に目的とした動作です。そこには④の歪み現状のチェックが抜けてしまっているのです。歪み現状といっても画像②のように【要修理】のレベルではなく、機能的に未修理でも問題のない【軽微な】レベルの歪みです。サイドエリアの修復歴車は、軽微な損傷で済んだ車両が多いのに、その主なる状態の【歪み現状】のチェックを疎かにしてしまうのは残念でなりません。
◆歪む場所は概ね決まっている
未修理で済むような軽微な歪みを探すのは一見難しそうに思えます。しかしフロントやリヤエリアに比べると、歪みやすい場所には傾向が見られますので、まずはそこに目を向ける動作を習得しましょう。
①ドアヒンジ取付部周辺
ドアとピラーを連結するドアヒンジ(蝶番)は、開閉時の衝撃にも耐えられるよう肉厚な構造で作られています。その頑丈なドアヒンジ自体がピラーを押し込んでしまいます(画像④)。フロントドアに交換歴を含む修理跡が見られる場合にはフロントピラー側を、リヤドア側に見られた場合にはセンターピラーのドアヒンジ周辺をチェックするようにしましょう。
②ゴムストッパー接地場所
ドアを閉めた際、ドア本体がピラーに接触しないようドア側に黒いゴムストッパーが装着されています。このゴムストッパーがピラーを押し込むケースも多く見られます(画像➄)。
日頃ウェザーストリップを外して確認されている方は、この2つを追加されることで修復歴の見落としリスクを大きく低減させることができます。
◆サイドエリアの修復歴車は少ない?!
日本の交通事故において、車両のサイドエリアを損傷するケースは、フロントエリアに次ぐものと言われております。しかしながら、私達が車をチェックする際、サイドエリアの修復歴車に遭遇するケースは、そう多くはありません。割合で示すと、
フロントエリア・・・60%
リヤエリア ・・・30%
サイドエリア ・・・10%
と、いったところです。“どうして損傷するケースは多いのに、サイドエリアの修復歴車は、リヤエリアよりも少ないのか?”もちろん、これには理由があります。エンジンルームやラゲッジルームが存在するフロント、リヤエリアと異なり、サイドエリアにはこうした“クラッシャブルゾーン”が存在しません。それゆえ画像①のような側面の損傷程度でも、その内側に位置するピラーが大きく損傷してしまうのです(画像②)。つまりサイドエリアの衝撃というのは、ルーフやセンターフロアパネルといったモノコックボディの“中心的部位”に波及しやすく“修復困難”なケースが他エリアよりも多いということなのです。
◆査定時のチェックが大雑把になっているケースが多い
他エリアに比べて衝撃エネルギーが客室エリアに波及しやすい(修復困難→全損扱い)ということは、“流通しているサイドエリアの修復歴車は、軽微な損傷で済んだ車両が多い”とも言い換えられます。こうした事実を踏まえたうえで、車の査定シーンを想像してみてください。サイドエリアの骨格部位であるピラーをチェックする際、皆様はどのようにチェックをされていますか?弊社が開催している検査研修において実務経験者の動作を拝見させていただくと画像③のように、
【ピラーに装着されているウェザーストリップを外す】という動作をされている方が非常に多くいらっしゃいます。もちろんこの動作は正しいです。しかし残念なのが、この動作だけで済まされている方がほとんどなのです。それでは何が足りないのでしょうか?
ピラーのチェックをする際に想定される状態として、
①正常な状態
②交換されている状態
③交換はしていないが修正されている状態
④未修理の状態(歪み現状)
が、挙げられます。
画像③のウェザーストリップを外して確認するという動作は、
・溶接跡(交換歴)
・マスキング跡(修正跡)
・フレーム修正機跡(修正跡)
これら想定される②③のチェックを主に目的とした動作です。そこには④の歪み現状のチェックが抜けてしまっているのです。歪み現状といっても画像②のように【要修理】のレベルではなく、機能的に未修理でも問題のない【軽微な】レベルの歪みです。サイドエリアの修復歴車は、軽微な損傷で済んだ車両が多いのに、その主なる状態の【歪み現状】のチェックを疎かにしてしまうのは残念でなりません。
◆歪む場所は概ね決まっている
未修理で済むような軽微な歪みを探すのは一見難しそうに思えます。しかしフロントやリヤエリアに比べると、歪みやすい場所には傾向が見られますので、まずはそこに目を向ける動作を習得しましょう。
①ドアヒンジ取付部周辺
ドアとピラーを連結するドアヒンジ(蝶番)は、開閉時の衝撃にも耐えられるよう肉厚な構造で作られています。その頑丈なドアヒンジ自体がピラーを押し込んでしまいます(画像④)。フロントドアに交換歴を含む修理跡が見られる場合にはフロントピラー側を、リヤドア側に見られた場合にはセンターピラーのドアヒンジ周辺をチェックするようにしましょう。
②ゴムストッパー接地場所
ドアを閉めた際、ドア本体がピラーに接触しないようドア側に黒いゴムストッパーが装着されています。このゴムストッパーがピラーを押し込むケースも多く見られます(画像➄)。
日頃ウェザーストリップを外して確認されている方は、この2つを追加されることで修復歴の見落としリスクを大きく低減させることができます。