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中国でいよいよ中古車輸出が始動

  • 主催者、大会関係者、講演者、海外からの招待客による記念撮影 主催者、大会関係者、講演者、海外からの招待客による記念撮影
  • 日本の中古車輸出の現状と展望について講演する中尾氏 日本の中古車輸出の現状と展望について講演する中尾氏
  • 主催者と講演者による記念セレモニー.(右端に中尾氏) 主催者と講演者による記念セレモニー.(右端に中尾氏)
  • フォーラム午前の部講演時の会場内の様子 フォーラム午前の部講演時の会場内の様子
  • フォーラム午後の部円卓会議で参加者からの質問に答える中尾氏 フォーラム午後の部円卓会議で参加者からの質問に答える中尾氏

来年から青島、北京、広州、天津でトライアルを実施 ~ソウイング中尾聡氏が中国で講演~

 これまで中古車の輸出入を禁止してきた中国が、トライアルとはいえ、来年から輸出に限り解禁に向けて動き出した。同国は2009年以降、世界最大の自動車販売国であり、昨年は日本の5.56倍に相当する2888万台もの新車が販売され、保有台数も16年末現在で日本の2.5倍に達している。一方、中古車流通はいまだ発展途上で、新・中比率は1:0.43と中古車流通先進国の日本(1:1.32)や米国(1:2.23)、韓国(1:2.02)と比較すると極めて低い数値と言える。しかしながら、絶対数で言えば、昨年だけでも1240万台もの中古車が流通されているだけに、今後、日本の中古車輸出に少なからず影響がでそうだ。


■中古車輸出に踏み切った経緯と背景■
 来年、輸出が始まるのは青島、北京、広州、天津の4都市。それぞれ地方政府からライセンスを取得した複数の企業によって、トライアル輸出が実施されることになる。

 中国ではこれまでにも日本の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)で中古車の輸出が発議されていた。3月に開催された今年の全人代で、トライアルとはいえ初めて輸出が認められたのは、次の理由からと観測されている。

(1)自動車の代替需要促進
中国では新車市場の拡大がピークに近づきつつあるとの認識があり、今後は代替えサイクルを短縮する政策が求められる。このため国内流通だけでなく、輸出も一つのチャネルとして捉えなければならないとの認識が芽生えた。

(2)内燃機関車の処理
中国では19年から自動車メーカーに対して、販売台数の10%を新エネルギー車(NEV。EV、PHV、FCVを指しHVは含まれない)の製造・販売が義務付けられる。現在のNEV車比率は自動車保有台数2億1000万台のうち、わずか0・7%(約153万台)。NEVの浸透を推進する一方、将来的に内燃機関式自動車の処分が必要になることを考慮すると、輸出は有効な手段の一つ。

(3)一帯一路政策の一環
現在、中国政府が力を入れているアフリカなどを中心とした開発途上国などへの経済支援や一帯一路の経済圏構想を展開する上で相乗効果が期待できる。

(4)中国商務部の実務者トップの交代
今年、中国の貿易を司る商務部の実務者トップが交代したが、その新しいトップは中古車流通の発展にとても理解があり、取り組みが変わった。


■トライアルを前に「中古車輸出国際フォーラム」を開催■
 トライアル輸出を前に10月16日、山東省青島市で中央および地方の政府関係者、政府系企業、自動車メーカー、新車および中古車ディーラー、さらには日本、マレーシア、ロシアからの関係者を含む総勢210名が集まり「中古車輸出国際フォーラム」が開催された。日本から参加したのは、先頃、中国オークション協会全国自動車オークション専業委員会と業務提携したオークネット(藤崎清孝代表取締役社長)と同社子会社で現地法人のAIS China、そして同社アドバイザーの中尾聡氏(株式会社ソウイング代表取締役社長)。

 フォーラムで「日本の中古車輸出の現状と展望」と題した講演を行った中尾氏には、参加者から多くの質問が寄せられた。その多くは日本の中古車輸出に関する質問、そして中国が中古車輸出をスタートした場合、どのように展開すればよいか提言を求めるものだった。主な質問は次の通り。

・現時点では中国国内における中古車流通はまだ発展途上。新車販売台数の割には中古車発生量が少なく、取引金額も高い。このような状況で他国に対して競争力はあるだろうか。

・来年からの中古車輸出を前に、今やっておかなければならないことはなにか。

・仕向け国としてはどのような国がターゲットとして挙げられるか。

・輸出前検査は自主的に行っているものなのか、それとも仕向け国の要請によるものなのか。

・右側通行左ハンドルの国で、例えば日本車のように、ハンドルをコンバージョンしなくても右ハンドルのまま輸出し登録できる国はどこか。またコンバージョンする場合、それはどこでするのか。また、コストはどの程度かかるか。
……など。概して現地の関係者が日本の中古車輸出を意識し、研究していることをうかがわれる内容といえる。


 中尾氏は「中古車輸出を成功させるには、競争力のある価格、車両品質の透明性、また空中戦が展開できる環境(インターネット環境)が整っていなければならない」と前置きした上で、「正直に言わせてもらえば、現状の中国では、まだ改善の余地は十分にあると考えられる。どこをどう改善すれば良いか端的に言うと、それはオークション流通の活性化にある。先頃、中国AA協会とオークネット社は業務提携を締結したが、これをさらに発展させることによって一歩近づくのではないか」と語った。そして改善されることを前提として最後に「仮に中国が中古車輸出を本格化した場合、日本にとっても韓国にとっても大きな『脅威』となる可能性がある。しかし、WIN-WINを前提に、インターネットを媒体とした在庫共有やバイヤーの共有、あるいは航路などロジスティック面で『パートナー』となることは可能だと考える。『競争』という考え方ではなく、日中両国に韓国をも巻き込み、東アジア発信のワールドワイドな中古車輸出の一大ネットワークを共に構築する『協調』の道筋を模索してみたらどうか」と提言した。

 中国の中古車輸出は緒に就いた段階に過ぎず、そもそも国内の中古車流通自体がまだ確立されているとは言いがたい状況であるため、輸出が本格稼働するまでには相当の時間を要すると観測される。だが、巨大な新車市場が生み出す大量の中古車、日本やドイツ、韓国といった自動車先進国のメーカーによる大規模な現地生産、世界でもっとも厳しいEV導入の義務化に象徴される新エネルギー車普及への取り組みを考えると、中古車輸出のライバル国として、決して侮ることのできない国であることは間違いない。

 中国で売られている車が基本的に左ハンドルであることを考えると、手始めは日本からの中古車(右ハンドル)輸入を禁止したミャンマーやカザフスタン、そして日本の中古車のハンドルをコンバートして販売されている中南米諸国や中東各国、さらに右側通行のロシアやモンゴルといった国へ、いずれ中国から中古車が輸出される可能性は、十分あると見るべきだろう。

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