ヤナセ(東京都港区・井出健義社長)は４月１日、都内にて「２０１６年度　新入社員　入社式」を開いた。
　当日はヤナセグループ１８７名の新入社員が出席。井出社長より新入社員に向け訓示が贈られた。

以下、井出健義社長　入社式訓示要旨

　入社おめでとうございます。最近は、国内外でいろいろな事件や問題が日常的に発生し、心が休まらないビジネス環境が続いています。また、２０２０年の東京オリンピック以降を展望しても、国内の自動車ビジネスに大きな影響を与えるリスクと脅威が予想され、経営環境の厳しさが続くと予想しています。

　晴れの入社式でこのような話をすると暗くなってしまうかも知れませんが、皆さんは、「失われた25年」といわれる低成長・デフレ経済下で育って来た世代です。それだけに、国内外の政治経済の混乱や、自然災害に対しての耐久力およびＩＣＴ（情報通信技術）分野をはじめとする技術進歩への受容力・対応力が、先輩社員より勝っているはずです。現実は現実としてとらえ、「だからこそ自分は頑張るぞ」と、笑顔と気概を持って己を鍛えてください。そして、皆さんの力で今後もヤナセ丸が順調な航海を続けられるよう、強力なエンジンになってください。

　そもそも人類の歴史にリスクと脅威が無かった時はありません。当社も「関東大震災」「太平洋戦争」「バブル経済の崩壊」「輸入・卸売権の喪失」「リーマンショック」など、先述した将来のリスク・脅威と比べて、同等もしくはそれ以上の大きな危機をいくつも経験してきました。それでも社員が一致団結して立ち向かい、乗り越えてきた実績があります。

　企業寿命30年説が唱えられる中、１９１５年創立の当社は、昨年５月に１００周年を迎えることができました。そして１２月には、国内輸入車市場発展への貢献が評価され、「日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会特別賞」を受賞しました。このように当社が危機を乗り越え、存続できたのは、社員が「素晴らしいお客さま」「メルセデス・ベンツなどの素晴らしい商品」「士気の高い社員と強い現場力」「高い知名度とブランド力」「全国販売・サービスネットワーク」の５つの貴重な財産をしっかりと守り、お客さま・ステークホルダー・社会の支持を得てきたからです。中でも「素晴らしいお客さま」と「士気の高い社員と強い現場力」が当社を支える両輪であり、それらをつなげる車軸（アクスル）は、当社社員が伝統的に共有し、経営・仕事の“軸”となる「お客さまへの感謝の心」です。

　皆さんは、次の２００ 周年を目指し、新たに出港したヤナセ丸の2 年目の新入社員です。今後、ヤナセ丸が順調な航海を続けられるかどうかは、皆さんの成長と頑張りにかかっているといっても過言ではありません。スポーツでも実業の世界でも、真剣かつ必死の練習・修行を経験しないで、一流になった人はいません。これから５～10 年は、指導を受ける立場として、諸先輩から教わり、自分で学び・経験して、大いなる成長を遂げてください。