大阪府南部エリアの大規模ベッドタウンとして開発された泉北ニュータウンは、堺市南部から和泉市にかけての広大なエリアに住宅地を形成し、現在も宅地開発などが活発に行われるなど、成長性の高いエリアとして大阪府下でも屈指の注目度を誇る。泉北ニュータウン内の一角に、ガソリンスタンド（ＳＳ）併設型工場として、地域密着型営業とともに、リピーターを中心とした広域集客が特徴の小浦石油赤坂台車検センター（堺市南区）がある。　　（室田一茂）

【安定的な車検台数】
月平均１７０台の車検台数をこなす民間車検工場（指定工場）として、短時間車検や各種整備、鈑金・塗装（ＢＰ）、カーコーティングなどを幅広く展開し、最近は新車・中古車販売にも乗り出す。ＳＳ併設型の車検センターの場合、給油をきっかけとした顧客固定化が想定されるが、同センターの場合、ＳＳ店頭からの車検入庫は１０～１５%程度に過ぎないという。一方で、リピート率が５２％に上り、その大半が同センターへの直接客が占める。泉北ニュータウンエリアにおいて、「車検センター」としての認知度が非常に高く、地域コミュニティー誌への広告掲載や近隣のカー用品量販店との業務提携などで、車検入庫を確保する。新規客として来店したユーザーがその後も固定化し、高いリピート率に貢献している。

【顧客固定化のポイント】
　チラシなどで来店したユーザーへの車検の事前説明に重点を置く。指定工場ならでは短時間車検が特徴だが、車検整備前の立ち会い説明や事前来店の際の乗り換えシミュレーションなど、ユーザーニーズに応える親身な姿勢が「安心」と「信頼」を高めている。最近は車検時の新車・中古車への乗り換えによるコストシミュレーションを実施。リース販売の提案などにも注力し、車検半年後の乗り換え事例なども見られるという。

【油外収益確保により強固な営業基盤】
　ＳＳ事業はガソリン・軽油の出荷量などを見ても厳しさを増しているのは明らか。こうした中、車検・整備事業はもとより、車販（新車・中古車）や鈑金・整備（ＢＰ）、カーコーティング、ドライブスルー洗車などを展開。特にコーティングは高い付加価値とともに、顧客固定化の手段としても大いに活用する。３カ月～１年周期で訪れる再施工のタイミングはあらゆる提案のチャンスでもある。
【最新ＩＴ技術を駆使】
　同社の手掛けるＳＳでは、最新の「ナンバープレート認証システム」を導入。給油などで来店する車両の車検証記載情報（個人情報除く）が瞬時に分かるもので、その車両の車検時期などの固有データの蓄積にもつながり、顧客情報との統合により、ピンポイントのカーライフ提案を可能とする。

【グループの総合力を生かした企業戦略】
　同センターのある大阪南エリアでは、自社のＳＳネットワーク６店のほか、いずれも大手フランチャイズチェーン（ＦＣ）加盟によるレンタルショップ「ＴＳＵＴＡＹＡ」６店、コンビニエンスストア「ファミリーマート」６店の自社ロードサイド店ネットワークを構築する。業態の違う各店舗間で、グループの総合力を生かすための連携強化を推進する。

<店舗情報>
会社名：小浦石油㈱赤坂台車検センター
住所：大阪府堺市南区檜尾３６５４-１
電話：０７２-２７５-１００５
店舗代表者：木村充宏センター長
設立：２００１年７月（ＳＳ開設：１９９８年）　
工場種別：近畿運輸局指定工場　近指大第２０４６号
スタッフ数：２３名（車検センター１０人、ＳＳ・ＢＰ工場など１３人）
設備：リフト×２、検査ライン×１
敷地面積：８８０坪
塗料：デュポン社