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【バディカ連載 Ver.2.0】008アイスブレイク後半「信用の壁」

バディカ代表取締役・中野優作氏による新連載

 【共感する】
 
 アイスブレイクの最後は共感だ。これは営業を始めると誰でもが教えられている事だと思うが勘違いしている人が多い。共感ではなく同意で終わっている人が多い。違いが分かるだろうか。
例を出してみよう。

 お客様が乗ってきたクルマにゴルフバッグが乗っていた。アイスブレイクのチャンスだ。ゴルフが趣味だと言われてどうするか?
 まずは同意だ。僕もゴルフが趣味なんです。
 これは「リフレティング」というテクニックだ。「リフレティング」とはいわゆるオウム返しのことで、相手の言ったことをこちらも繰り返して発現する。これにより相手の共感を多少得ることができるが、ここで終わるとただの同意で本当の共感ではない。
 本当の共感とは自分が共感するだけではなく、相手に共感してもらう事だ。
 つまり、同意して乗っかり、会話の流れを止めずに相手にパスを出すイメージだ。先ほどの会話でもう少し踏み込んでみよう。
 僕もゴルフが趣味なんですよ。毎週休みには会社のメンバーでラウンドします。下手なんですけどね。とパスを出す。
 すると、どれぐらいで回るの?と会話が続く。
 そしてスコアの話しから、どこで回っているのか、おすすめのコースなんかを聞いて、じゃあ次のクルマはゴルフバッグが入るサイズで探さないといけないですねとう流れで進めていくといいだろう。
 イメージできるだろうか。これはゴルフをやらない人だとしてもできる。
 例えば、ゴルフを好きだと言われたら、「ゴルフをする人楽しそうですもんね、余裕のある大人って感じがします」と褒める。そこから、僕も体を動かすのは好きなんですけど、ゴルフは全然うまくいかなくて、●●さんは初めからうまくできたんですか?とパスを出す。
 すると、ゴルフは訓練が必要だ、仕事に通ずることが多い、ゴルフは性格が出る、といったゴルフ哲学を語ってくれだろう。
 そうですか、やはり練習通ったんですか。すごいなぁ、僕もまた練習してみようかな。という雰囲気で話せば、気持ちよくなってくれる。アドバイスしたがるお客様も多いだろう。
 僕の経験上では今のところ100%、「ゴルフ練習しなよ。一緒に回ろうぜ」と言われてきた。僕はゴルフは正直やらないと思うが、この状況は、ここからかなり有利に進めていけるだろう。

 大切なことなので何度も言う。ここでの目的は「不信の壁」の破壊だ。

 【アイスブレイクの入口】

 このような初対面からアイスブレイクに関することをしっかりロープレした事があるだろうか?
 恐らくやってない。やったとしてもちょっとかじった程度で、およそ現場では誰もやってないレベルの事をやらされた人がほとんどだろう。そもそもロープレの講師が感じの悪い人も多い。だから売れるようにならない。
 僕に言わせればクルマの知識を入れたり、話す練習をするより先にやるべきだ。これができるようになってから、次をやるべき。第一印象からアイスブレイクまでがうまくできない人を接客に立たせるべきではない。
 商談は「傾聴」が大切だ。ここまでの段階はすべて「聞く事」が先行する。順番がある。お客様に気持ちよくなってもらいつつ、「不信の壁」を破壊し、その感にお客様のライフスタイルや好みやこだわり、解決したい課題などの情報を集めて、それから「話す事」が重要だ。
 では現実に現場の教育ではどうしている?「聞く事」から初めているか?
 おそらくやっていないだろう。「話す」練習から始めている筈だ。それも、会社が大きくなる程、セリフの詰め込み型。その上で商品知識を詰め込みまくる。そうすると、間違ったカタログ説明型の営業が完成する。
 初めに手に入れた武器が「商品のスペックを話す」という事だからだ。
 その武器しか持たない人間が現場に出て営業したらどうなるか?愛嬌も元気もない、相手に合わせられない営業が、商品説明を延々と始める。
 想像するだけで地獄だが、こういう営業は現実の現場にはかなり多い。クルマがまともに売れるわけがない。 
 
 【外見の特徴から褒めていく】

 ここからはアイスブレイクのコツだ。相手の話したい事を話してもらうには、パッと見の相手の特徴からパターン分けして対応しよう。まずは外見で他人と差別化している人は、褒めて欲しそうな特徴に触れてあげればスムーズに会話が進むだろう。


 ✓現行アルファードに乗ってきた、ブランドに身を包んだ夫婦
 ✓ローバーミニに乗った、オシャレ眼鏡のアパレル風20代後半
 ✓色黒マッチョでハイラックスに乗ってきた男性1人
 ✓スリーピースのスーツで色黒ツーブロックの現行黒ハリアーの男性
 ✓パステルカラーのラパンに乗ってきた今風OL2人組
 
 どうだろう?このあたりの人は外見にお金をかけて自己投資している。
 僕なんかでも人前に出る身として外見には気を使っている。トレーニングで体を鍛えたり、髪型やファッションには気を遣っている。褒められて悪い気はしない。更に同じようなトレーニーとはやはり打ち解けるのが早い。僕はこの能力を「キャバ嬢力」と言っているが、彼女たちはお客様の外見を見て即座に褒めたり、いじったりして瞬時に打ち解ける。我々も真似しよう。

 【乗って来たクルマの特徴から入る】
 
 外見に特徴がある人の場合は話が進めやすい。だがこれらの人は全体の2割程度。そういった特に特徴がないお客様の場合には乗って来たクルマの話しをしていけばいい。
 ✓ミニバンに乗って来たファミリー
 ✓SUVに乗って来たカップル
 ✓スポーツカーに乗って来た男性1人
 この辺りは用途が明確だ。ミニバンは家族でのお出かけに最適だしそういった家族構成での来店も多い。SUVに乗る方はアウトドアをするか、見た目が好きか、4WDが必要か、リセールを考えて買っているし、スポーツカーの人は運転が好きなんだと思う。これらの方々はコンパクトカーにはない価値を見出しその分のコストを払っている。そこを起点に話していこう。
 
 ではコンパクトカーや軽自動車の場合はどう考えるべきか。
 前述したクルマと比べてコンパクトカーの方が維持費は安い。軽自動車はさらに下がる。つまり、そちらの方がお得と判断して購入している堅実な人か、予算的に無理があるか、いずれにせよ余分なコストを抑えたいという前提にある。その前提の中でも3種類に分けて考えればいい。
 ✓SUV系 ライズ、ジムニーシエラ、キックス、ハスラー、ジムニー
 ✓スライド系 ルーミー、ソリオ、エブリィ、NBOX、タント
 ✓カスタム系 エアロやAWなどのカスタム系やスティングレーなど
 これらは維持費を抑えた前提でも、何らかの価値を感じてクルマを選んでいる。そこから始めればいい。ジムニーならアウトドアが好きかオシャレか。スライドドアの車なら広いクルマが好きなのか、子供を乗せるか、荷物を載せるか、カスタム系なら好みだろうし、ターボ付きなら走りだろう。そこを、いいですね、最高ですと乗っかるところからスタートすれば「話の分かるやつだな」となる。
 

 ここまで初対面からアイスブレイクまでを書いてきたが、営業が一番練習すべきで、やっていないのがここだ。一番重要なのに、練習していない。ここで「不信の壁」を破ろう。そうすれば、お客様の方から課題を打ち明けたり、相談してくれる。それに、こちらの話しも聞いてもらえる。
アイスブレイクを制する者は営業を制する。まずはここを徹底的に取り組んでほしい。

【プロフィール】
中野優作(なかの・ゆうさく)氏。1982年3月香川県さぬき市生まれ。バディカ代表取締役社長。中古車小売り大手で数万台を超える実戦経験で手腕を発揮したのち、2017年同社創業。最大手業販サイト、オートサーバーで「5ツ星認定」を受け、21年度「販売台数ナンバー1」(全国会員7万社中)に。「車の流通をもっと自由に、なめらかに」というミッションを持ち、圧倒的な努力と情熱で挑戦する。地元・香川の3店舗と千葉、兵庫、岡山、福岡の直営店に加え、初のフランチャイズ店を茨城と香川に2店舗オープン。趣味は「筋トレ」というストイックな側面は、事業への熱意や意識の高さにも通じる。

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