グーネット自動車流通

メニュー

バディカ書籍案内

Web限定【自動車業界特化型税理士新連載企画】「個人事業」で車屋を始めた酒井くんと、「法人」を設立した相川さん

『第11話:オートローンの加盟店になろう!』

 個人経営と法人経営のメリット・デメリットなどについては様々な書籍が発行されていますが、この連載企画では「実際のところどうなの?」という素朴な疑問に立ち返り、物語形式でその実態に迫ります。

【今回のテーマ】
 「個人事業主」として開業した酒井くんと、「法人」を設立して開業した相川さんは、「第10話:自賠責保険の代理店になろう!」で、自店で自賠責保険を取り扱うことができる環境が整ったため、引き続き中古車を販売するための準備として、オートローンの加盟店になるための手続きを進めることにしました。そこで今回は、オートローンと銀行ローンの違いや、オートローンの加盟店になることのメリットなど、自店でオートローンを取り扱う場合のポイントについて整理したいと思います。

【オートローンとは】
 オートローンとは、自動車やオートバイなどを購入する際に、手持ちの自己資金だけでは賄えない場合に利用する融資・ローン商品全般を指す言葉です。主には、銀行や信金などの金融機関が「マイカーローン」「自動車ローン」という名目で取り扱っている融資商品(以下、「銀行ローン」)、「ディーラーローン」と呼ばれる自動車メーカー系列のファイナンス会社が提供する分割払い商品、そしてオリコやジャックスのような信販会社が提供する分割払い商品の3つに分類されますが、今回のコラムでは、信販会社が提供する分割払い商品のことを「オートローン」と表現しています。
 
<オートローンを取り扱っている主な信販会社>
□ オリコ(株式会社オリエントコーポレーション)
□ ジャックス(株式会社ジャックス)
□ アプラス(株式会社アプラス)
□ SMBCファイナンスサービス(SMBCファイナンスサービス株式会社)
□ プレミア(プレミア株式会社)
□ イオンプロダクトファイナンス(イオンプロダクトファイナンス株式会社)

 信販会社が提供するオートローンを利用することで、お客様は自動車等を購入する際に「分割払い」で代金を支払うことができます。具体的な仕組みは、まずお客様が販売店を通じてオートローンの申し込みを行います。そして所定の審査を経て、信販会社がお客様に代わって代金を販売店へ「立替払い」をし、お客様は信販会社が立替払いした代金と「分割手数料(※)」を合計した金額を、毎月分割で信販会社に支払います。

(※)分割手数料は、通常「実質年率○.○%」という形で表示され、「金利○.○%」といった呼び方をされることが一般的となっています。



【オートローンのメリットと銀行ローンの違い】
 自動車販売店がオートローンを取り扱う目的は、お客様との商談円滑化と成約率の向上に他なりません。それでは、オートローンには具体的にどのようなメリットがあるのか、銀行ローンとの違いを比較しながら見ていきましょう。

(1)ローン申し込み時
 銀行ローンを申し込む場合には、必要書類を準備して金融機関の窓口まで足を運ぶ必要があるため、平日に仕事を休むことが困難なお客様にとっては、ハードルが高いものとなっています。一方、オートローンの場合には、事前の書類準備の必要はなく、販売店を通じて申し込むことができるため、信販会社に来店する必要はありません。

(2)必要書類
 銀行ローンを申し込む場合には、所定の借入申込書に加えて、本人確認資料・所得証明資料・自動車売買契約書といった書類を準備する必要がありますが、オートローンの場合には、販売店に備え付けてある所定のオートローン契約書に記入するだけで、事前の書類準備の必要もなく自動車等の購入と同時にオートローンの申し込みをすることができます。
(別途、運転免許証等の本人確認資料や印鑑証明書が必要になるケースがあります。)

(3)審査までの期間
 銀行ローンを申し込んだ場合には、ローン審査の結果が出るまで数日かかることがありますが、オートローンの場合には、原則として当日中に審査結果が販売店に伝えられます。

 このように、オートローンの最大のメリットは、その申し込み手続きが簡単で、かつスピーディーである点です。また、ローン契約が成立した後は、信販会社から販売店に代金が入金されるため、販売店はすぐに登録手続きを進めることができるため、結果的にお客様への納車スケジュールが早くなります。そして、こうしたメリットがお客様との商談を円滑にし、成約率の向上へと繋がる訳です。



【オートローンの加盟店になるためには】
 オートローンの加盟店になるためには、加盟を希望する信販会社の最寄りの営業所に連絡するところからスタートします。手続きや必要書類についても、担当者の方が丁寧に案内して下さるため、決して難しいものではありません。信販会社とは、これから長きにわたってお付き合いをすることになるため、積極的にコミュニケーションをとって、信頼関係を築いておくと良いでしょう。
 なお、個人事業主の酒井くんも、法人を設立した相川さんも、信販会社によって審査基準や金利条件などが異なるケースがあるとのことだったので、それぞれ2社の信販会社と加盟店契約を締結し、オートローンの取り扱いを開始しました。

【オートローンとキックバック】
 オートローンの加盟店となった販売店が、信販会社の取り扱い商品であるオートローンの拡販を行うことに対して、信販会社がオートローン契約を通じて得られた分割手数料の一部を加盟店である販売店に還元する仕組みのことを「キックバック(バックマージン)」と言います。信販会社によって取り扱いの違いはありますが、販売店にとっては「販売促進費」として受け取るこの手数料収入も、オートローンの加盟店となるメリットの1つと言えます。

【今回のまとめ】
 今回はオートローンの取り扱いについて、そのメリットと銀行ローンとの違いを中心にご紹介しました。お客様は、オートローンを利用することで車両代金を分割払いにすることができる訳ですが、車両価格の一部を据え置いて月々のお支払額を少なく設定する「据置型」や、ライフスタイルの変化に応じて支払方法を設計する「自由返済型」など、その返済方法についても信販会社ごとに豊富なプランが用意されているため、多様化するお客様にニーズに応えることができます。そして、こうしたオートローンがお客様にもたらすメリットが、そのまま販売店側の商談円滑化や成約率の向上といったメリットへと繋がります。なお、本話の後半でキックバックについてもメリットの1つとしてご紹介しましたが、オートローンを取り扱うことの最大のメリットは手数料収入への期待値ではなく、お客様との商談円滑化と成約率の向上にあるということ念頭に置いておくことが重要です。
 前回の「第10話:自賠責保険の代理店になろう!」で自店で自賠責保険を取り扱うことができる環境を整備したことで、登録業務の効率化を図ることができましたが、今回のオートローンの加盟店となることは、売上に直結すると言っても過言ではないほどの効果が期待できますので、ぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。


【著者紹介】
税理士 酒井将人。
自動車業界特化型税理士事務所OFFICE M.N GARAGE代表。
税務の枠を超えて自動車販売店の業務改善などを行う「中小企業者の経営サポート」と「相続&事業承継対策」のスペシャリスト。著書に『いまさら人に聞けない「中古車販売業」の経営・会計・税務Q&A(セルバ出版)』『おうちのくるま(乗り物絵本シリーズ)』など。

オークション

企業・団体

店舗情報

ひと

相場・統計

新製品

新車ランキング

中古車ランキング

年頭所感

整備

板金