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【バディカ連載 Ver.2.0】営業の新時代  001

バディカ代表取締役・中野優作氏新連載がスタート

●トップセールスになるには?

 「中卒の未経験から初めて、なぜトップセールスまで最短でいけたんですか」とよく質問される。こういう質問を受けると決まってこう答える。だれよりも考え行動したから。すると具体的には何をやればいいんですか。と次の質問がくる。何百回、何千回と繰り返してきたやりとりだ。

 今度は僕が聞く番だ。「あなたの課題は何ですか?理想の自分と何が違う?」。

 これが、そもそも営業現場でやるべきやりとりだ。課題によってアプローチが違えば対処法も違う。だからまずは聞く事から始めるべきで、話すことじゃない。だけど実際の現場では何を教育している?トークスクリプトを作って商品説明のロープレばかりしていないか?聞く練習はしたか?話す練習ばかりでセリフを暗記してないか?それ以前に、そもそもお客様が話す気になるような、身なりや立ち振る舞いを、君はできているのか?

 クルマに限らず物を売るには不変の法則がある。何十年も前から言われているような事で時代が変わろうとも本質は変わらない。それをまずは受け止める事から始めよう。言い方は変わっても本質は同じ。魔法のような必殺技など存在しない。稀に生まれ持った特殊な才能を持った変わった売り方をするトップセールスもいるが、誰にでも転用可能な技はほとんどない。

だから大切なのは、自分の課題を把握し、正確に対処する事だ。

これから僕が書いていくことは26歳、全くの未経験で入社したところから41歳まで15年の間に経験し、乗り越えてきたことだ。自分の成長ステージに合わせてぶつかった壁は違う。これまでいくつもの壁を破壊してきた。その壁の破壊方法や、それを仲間に共有して効果が高かった事を、順を追って書いていく。

僕が全て正しいというつもりは全くない。

それでも今までこの業界において、自分の持ち場では常に誰よりも挑戦と失敗を繰り返してきた。失敗を発見と捉え、成功に変わるまでやってきた。誰よりも結果を出してきたつもりだ。その過程を時系列で書いていく。今の自分に課題があれば現状やっている行動との「間違い探し」をしてみて欲しい。

ここまでくどくどと書いたが必要なことだ。近道はない。トップセールスになる為の一歩目は、正しく問題を把握する事だから。
 
●営業職を間違えている

多くの人が営業という仕事を勘違いしている。そこから初めていきたいと思う。僕は新人の頃、先輩が決まらないと判断して「捨てた」商談によくアタックしていた。商談が終わり、この店では買わないと結論が出たお客様だ。帰り際に展示場を回って、もう少しだけクルマを見て帰ろうとする人がいる。打席に立つチャンスが限られた新人にとってこれは貴重な機会だ。捨てた商談だから行っても怒られない。新人の僕は先輩が見切りをつけたこういったお客様にもガンガンアタックしていた。

すると同じ店で、少し前に「今日は買わない」と結論が出たお客様なのに契約になることがある。それもかなりの頻度だ。そういったことが一年の間に何十回もあった。これはどういうことだろう。

僕は今でもそうだがクルマに疎い。クルマの持つスペックやグレード、装備などは未だに覚えられない。百戦錬磨の先輩、それこそ毎年表彰台に上がるようなベテランの先輩が決まらず、後に行く素人の僕がバンバン契約を取っていく。当時はこの時に起きていることを正確に把握できていなかった。若くて感じがいいからだと言われて、そういうものかと思っていた。

では世の中の感じのいい新人は売れているのか?いいや売れない。商談はそんな簡単なものじゃない。僕も新卒を採用して教育する立場になって理解した。感じがいいことは必要だが、それは営業のほんの一要素に過ぎないし、当時の先輩だって今考えれば十分若くて感じのいいイケメンだ。

ではなぜ素人の僕が売れたのか?それは、「クルマを売ろうとせずに、クルマのある生活を売ろうとしていた」からだ。商品説明をせずに、お客様がクルマに求めることを一緒に考えて、相手の立場になって一緒に探していた。

これが営業の本質だと思う。
「ドリルを売るには穴を売れ」はマーケティング業界ではよく言われる言葉だが、お客様にとってのクルマとは、移動手段以上の「何か」が必ずある。その「何か」を引き出して、限られた制約条件の中で選択を提供し、最適解に導く。そこにはもちろん楽しさも必要だ。

ここには血の通った人と人のコミュケーションがあり、自分が経験してきたことや見てきたこと、その時の感情やこれからの希望や不安、いろいろな要素が複雑に絡み合ってくる。だから、あなたがいるから安心してこのお店で任せると言われることこそが営業の役割だ。どんなにテクノロジーが進化しても営業は代替不能と考えられている一番の要因だ。現場でやっていれば分かる。こんな高度な事は人間にしかできない。

●営業力は「個」の時代に突入

営業は「個」の時代に突入する。
それも、これまでとは全く比べ物にならない程にだ。
これはクルマ業界に限った事ではないが「どこの誰から買うか?」が大きなファクターになってくることは間違いない。要因はスマホの普及だ。消費者はスマホを開けば瞬時に欲しい情報が手に入る。気になる車種を絞り込み、価格順に並び替えるまでに数分もかからない。20年前までは考えられなかったが、この情報革命を制した覇者が今現在、全国展開している大手の数社だろう。
スマホで安い店を調べて、買いに行く。今では当たり前の事だが20年前は月に1回発売される雑誌だった。そこからインターネットに素早く以降した大手は徹底的に安く表示した。検索上位に来る店にお客様が集中し、マーケティング勝負を制した大手に圧倒的な数のユーザーが流れていった。ここ10年の動きがそんな感じだろう。総額表示義務が無かったこともあり本体価格をいかに下げるかがポイントになった。下げた分を諸費用やオプション、オートローンや保証、付帯サービスでいかにうまく稼ぐかが現在の勝負になっている。

大手を筆頭に色々なサービスが生まれた。オイル交換永年無料。車検付きパック。1万円リース。返品保証。10年保証。残価設定。新車のサブスク。一時的には差別化できるだろうが、集客できるサービスはすぐにマネされて流行ってしまう。そして当たり前になり、いずれは古いサービスになる。そもそもが、お得なサービスではなく、お得に見えるサービスでユーザーを呼び込んで、キャッシュポイントをズラしているだけだということに、大半のユーザーは気付き始めている。

それでも、この流れに乗り遅れた人たちはかなり苦しめられたと思う。当時仕掛けた側の人間として申し訳なく思うが、それももう終わる。2023年10月からは中古車の支払総額表示が義務化される。安価な車両価格でユーザーを集客し、保証や整備の購入を強制するという販売手法が厳罰化されるようになった。    

これまでのような小手先のマーケティング勝負から、クルマの品質と営業「個人」の信用の勝負になる。これからが本当の闘いだ。

【プロフィール】
中野優作(なかの・ゆうさく)氏。1982年3月香川県さぬき市生まれ。バディカ代表取締役社長。
中古車小売り大手で数万台を超える実戦経験で手腕を発揮したのち、2017年同社創業。最大手業販サイト、オートサーバーで「5ツ星認定」を受け、21年度「販売台数ナンバー1」(全国会員7万社中)に。「車の流通をもっと自由に、なめらかに」というミッションを持ち、圧倒的な努力と情熱で挑戦する。地元・香川の3店舗と兵庫県、岡山県、千葉県に合計6店舗を構えるほか、福岡南店の出店で九州エリアにも進出したばかりの成長企業。趣味は「筋トレ」というストイックな側面は、事業への熱意や意識の高さにも通じる。

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