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川崎大輔のアセアン市場まるわかり㉓

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飽和するベトナム二輪マーケット

 ベトナムに初めてきた日本人がまず驚くのがバイクの洪水だ。朝や夕方の通勤ラッシュ、車と車の間の空間を無数のバイクが埋め尽くす。バイクのクラクションで街が目覚めてしまう。ベトナムでは、道路を走っている8割以上がバイクだ。アセアン最大のバイク普及国となっている。昔の日本とは異なり自動車を購入してもバイクを手放すことはない。4輪の自動車が普及しても、2輪から4輪への乗り換えではなく、2輪から6輪(4輪+2輪)へのシフトになっている。

 ベトナム市内に地下鉄がないため移動はバスかタクシーになる。しかし、道路インフラの整備が遅れているため渋滞がおこり移動に時間がかかる。そこで職場や学校にいくためには車と車の間を走行できるバイクが欠かせない乗り物となるわけだ。バイクに乗ることで生活の幅は広がる。また、自動車用駐車スペースも少ないベトナムの道路事情からバイクが極めて重要な庶民の移動手段、荷物運搬手段となっている。

 タクシーはトヨタのビオス(セダン)とイノーバ(ミニバン)が目立つ。ベトナムではトヨタのシェアがトップだ。また思った以上に韓国勢の車も多く見かける。高級車はメルセデスやアウディ、BMWなどのドイツブランドだ。その中を、二輪のホンダやヤマハ、スズキが車の間を泳ぐように走り抜けていく。この日系二輪3社でベトナムのバイク市場の80%を占める。特にホンダの知名度は高く、バイクの代名詞だ。スズキに乗るベトナム人は自ら所有するバイクを「スズキのホンダ」と呼ぶほどだ。

 ベトナムでのバイクの乗り換えは4年から6年がもっとも多い。また2年から6年で70%が乗り換えをしている。ローンが少なく現金で購入することが多いため、短期間で乗り換えが生じているようだ。ベトナムのバイク流通は、友人や親せきなどから中古バイクを購入する個人間売買の割合が40%以上とかなり高い。それ以外では、中古バイクのディーラーとブローカー(紹介)がマーケットの主導権を握っている。

 バイク普及率が飽和状態となったベトナム。飽和市場には変化が求められる。変化があるところには常にビジネスチャンスが生まれる。今までになかったIT技術を活用した透明性あるバイクビジネスの仕組みが、一気に市場を変える日も近いかもしれない。


<川崎大輔 プロフィール>
大学卒業後、香港の会社に就職しアセアン(香港、タイ、マレーシア、シンガポール)に駐在。その後、大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより自らを「日本とアジアの架け橋代行人」と称し合同会社アセアンプラスコンサルティング にてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。2017年に株式会社アセアンカービジネスキャリアを立ち上げアセアン各国からの外国人整備エンジニアを日本企業へご紹介。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。


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