奈良県北西部の平群町で車検・整備や新車・中古車販売、鈑金・塗装（ＢＰ）、二輪車事業などを幅広く展開する松江自動車販売。「最低限の人数で最高のサービスを提供」を合言葉に、奈良県自動車整備振興会（多賀政博会長）の下部組織にあたる西部自動車整備協議会の会長も務める松江秀和社長が地域に根ざした営業展開を行う。一方で、業界全体のスキルアップを図るべく、さまざまな提言を行う。「自分の会社だけでなく、業界の底上げを」（松江社長）と、利他の精神を持ちながら、少子高齢化などに悩む自動車整備業界をけん引する。

■２２歳で社長に就任
　先代社長から事業を引き継いだのは２２歳の時。当時は個人経営のモータース店が主流の中、ＢＰ部門の内製化などにいち早く取り組み、２０代後半の時に「来店型営業」と「ブランド戦略」の象徴として斬新な新車ショールームをオープンした。「大変厳しい時期の設備投資。ただ、モータース店への来店が難しくなることが想定され、その必要性を強く感じていた」（松江社長）と当時の決断を振り返る。

■敷居を低く、「押し売りをしない」姿勢
　同社が目指すところは、新車ディーラーと個人事業主の中間的立ち位置。専門的知識を有しながら、街のモータース店のような、きめ細やかな対応だ。出来るだけ敷居を低くし、決して「押し売り」をしないことが強固な信頼関係に基づいた「人対人」の密なつながり、すなわち「心」の入ったお付き合いにつながるという。商売の原点を見つめながら、自店の「ファン作り」を推進する。

■顧客との深いつながりを生かした入庫管理
　同社では約４年前から整備入庫のスケジュール管理をスタートした。予約制による入庫管理で作業効率は飛躍的に向上するとともに、ユーザーの意識も変化しているという。約５０メートル離れたショールームと整備工場の距離を埋める仕組みとして、入庫予約システムを統一。どちらからでも入庫車両の状況を共有でき、顧客管理システムにもリンクすることで、利便性を飛躍的に高めた。

■次の一手は社外でのタブレット端末活用
　現在、スケジュールや入庫予約などの管理と合わせ、鈑金見積りなどを総合的に行うことが可能なシステムの導入を控える。「ｉ-Ｐａｄ（アイパッド）」を携帯し、ユーザー宅などに出向いた際もその場で入庫スケジュールの確認や予約管理、各種見積りなどを瞬時に行えるようになり、昔ながらの整備工場の良さを持ちながら、しっかりとしたＩＴ対応により、次世代の整備需要に対応する。

■バランスの取れた全社収益
　大きく分けると、車販（新車・中古車）と車検・整備、鈑金・ＢＰの３事業で均等の収益を上げているという。「外的要因による変動に左右されず、リスクを分散することが可能」（松江社長）とし、ショールームを活用した車販と指定整備工場を生かしたコンスタントな車検・整備入庫、内製化したことで、全社収益に貢献するＢＰ事業がバランス良く展開され、今後はこれらをつなぐ、管理システムがさらに確立され、安定的な経営基盤を作り上げる。

■地元業界の振興にも大きく貢献
　会長を務める西部自動車整備協議会では、少子高齢化などによる整備需要の減少などを想定し、さまざまな取り組みを推進する。「２代目、３代目の経営者を支援し、各社の架け橋となることで、業界全体のレベルアップを図りたい。自社のことだけを考えていては、これから先の厳しい時代では立ち往かない」（松江社長）と考える。同協議会の会長就任時には、青年部メンバー主体の理事で固め、若手主体の活動を推進する体制を整えた。「組織のスケールメリットを生かし、時代にあった取り組みを推進したい」（松江社長）と、業界の生き残りをかけた連携にも注力する。

《店舗情報》
社名：松江自動車販売
住所：奈良県生駒郡平群町椿井２３８
電話：０７４５-４５-１３１３
代表者：松江秀和社長
創業：１９７２年（昭和４７年）
法人設立：１９７４年（昭和４９年）
工場種別：近畿運輸局指定工場
従業員数：７人