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【バディカ連載 Ver.2.0】Vol.011 欲望の壁を破壊せよ

バディカ代表取締役・中野優作氏による新連載

 お客様はどうやったら、車を契約したくなるだろうか。

 ここを、間違った指導をしている会社が多い。間違った教育を受け、売り方を根本的に誤解している人も多いだろうから、一旦これまでをリセットして、僕の話を聞いてみて欲しい。

 売れる営業スタイルを想像するときに、ジャパネットたかた創業社長の高田明氏をイメージする人が多い。僕も経営者の先輩として大変リスペクトしているし、物売りの天才だと思う。高田明社長の「伝える事から始めよう」は僕にとって起業時にとても感銘を受けた本だ。高田社長が営業の天才という事に誰も異論はないと思う。だが、高田社長の何が「売れる」要因だろうか。考えてみてほしい。

 あの高い声と流れるように話すトーク力か?
 そして値段を安く見せる天才的な演出か?

 違う。それももちろんあるが、我々営業が真似すべきはそんなところじゃない。どうしても営業は値段の見せ方や、今買わないと売れるとか、小手先のテクニックに頼りがちだ。そんなのは僕に言わせれば2流の営業。クルマ選びの主役はどこまでいってもお客様で、われわれ営業はそのサポート役。そこを勘違いしてはいけない。お客様にクルマ選びを楽しんでもらおう!

 購入後の想像をすると欲しくなる

 高田社長がICレコーダーを紹介する場合はどうするか。
 「私はベッドの横にこれを置いて、アイデアを思い付いたらすぐに録音するようにしています。アイデアって寝る時によく思い浮かびますよね」といった具合だ。これを聞いた視聴者はその情景を想像する。中には、同じような経験をしてアイデアを忘れてしまった経験のある人もいるだろう。その商品を買ったら便利だろうなと想像してしまっている。
 
 このように想像して「欲しくなる」。それが最初の出発点だ。ユーザーが考えているのは機能や性能じゃない。その商品を買ったら自分の生活がどのように豊かになるかをイメージしている。

 もちろん、この後に驚くほど安い価格設定や、値段の見せ方、限定数量や締め切り時間という天才的な売り方がセットになっているんだが、こちらに注目し過ぎている気がする。購入後を想像して気持ちが上がらない商品はいくら安かろうが今だけの限定だろうが絶対に買わないだろう。

 第三の壁。「欲望の壁」の破壊条件は「欲しくなる」だ。そのために必要な手段はお客様に購入後のカーライフをイメージして、テンションを上げてもらうこと。商品説明や値段の話はその後。先に説明から入ると途端につまらない商談になってしまう。

 では、具体的な商談方法について説明してこう。
 ポイントは今との比較だ。
 今乗っているクルマから乗り換える人は必ず生活に変化が生まれる。

 われわれ営業からすると当たり前の事でもお客様からすればうれしいポイントが多いし、乗っている自分をイメージしてテンションが上がる。僕でも初めてミニバンを買ったときは感動した。広い。今年の冬はこのクルマで友達とスノボに行こうと思った。それにクルマの中でDVDが見られるなんて最高だと思った。欲しくなった。この気持ちを広げていくのが基本のスタンスだ。

 僕が売れなかった時の話しに少し触れてみよう。
 営業時代、ボイスレコーダーに自分の商談を録音して毎日聞いていた。商談を振り返って復習する為だ。そこで初めて自分の商談を聞いたときに愕然とした。商談しているのが自分だと信じられなかった程、相手の話を聞いていない。とんでもない数の機会損失をしていた。
つまり、お客様が車を見てテンションが上がり始めているのにスルーの連続。例えばドアを開けた瞬間、可愛い!とか、乗った瞬間、広―い。とか、プッシュスタートを押して、おおお!とか、お客様がリアクションしているのに、相槌もそこそこで話を全く広げていなかった。
本当にもったいない事をしていると地団駄を踏んだのをよく覚えている。
話を広げていれば、お客様にとっての課題や「あったらいいな」を聞き出せた筈だし、それによって提案の幅はかなり広がった。何よりテンションが上がって買ってくれていたお客様も多かっただろう。

 この章で破壊すべきなのは「欲望の壁」。それを突破する為に今のクルマにはなくて、新しいクルマにある装備、この違いを軸に商談していくといいだろう。


 今のクルマと比較して、乗っている自分を想像してもらう

 いくつか代表的なものを上げてみよう。お客様がパッと見て食いついた瞬間に、メリットを言語化して妄想の手助けをしてあげる必要がある。

 ✓室内空間が広い
 ✓電動スライドドア
 ✓カーナビ、TV、DVD、Bluetooth
 ✓HIDやLEDヘッドライト
 ✓プッシュスタート、キーフリーシステム
 ✔バックモニター、全方位モニター
 ✓シートヒーター、シートエアコン
 ✓収納、ドリンクホルダー、助手席アンダーBOX
 ✓燃費
 ✓外装や内装が好き

 お客様が車に乗って、見て、触っているうちに、自分が気になる装備を片っ端から操作していくだろう。そして、今の車には備わってない機能を触ってみたときには少しだがテンションが上がる。その小さな『おおお!』を、積み重ねていくイメージだ。

 シンプルに、広い!すごい!気持ちいい!うれしい!かっこいい!かわいい!に勝るものはない。これで彼女とドライブしたら最高ですね。これで通勤したら気分上がりますよね。これがゴルフ場に泊まっていたらシブいですね。このクルマで海沿いドライブしたいですよね。このクルマでスノボ行きたいですよね。こういったシュチュエーションを想像して「欲望の壁」を一撃で破壊できることもある。

 代表的なものを上げたが、欲しくなるポイントは様々だ。
 これまでのクルマに不満がある人はそれを解消したい。友達や職場の同僚に自慢したい人もいるし、ランニングコストを抑えたい人もいる。彼女や家族と旅行に出かけて思い出を作りたい人もいる。 

 クルマに乗っている自分を想像し、今との違いを連想してもらおう!

【プロフィール】
中野優作(なかの・ゆうさく)氏。1982年3月香川県さぬき市生まれ。
バディカ代表取締役社長。中古車小売り大手で数万台を超える実戦経験で手腕を発揮したのち、2017年同社創業。最大手業販サイト、オートサーバーで「5ツ星認定」を受け、21年度「販売台数ナンバー1」(全国会員7万社中)に。「車の流通をもっと自由に、なめらかに」というミッションを持ち、圧倒的な努力と情熱で挑戦する。今年1月には「バディカダイレクト」を発表したばかり。趣味は「筋トレ」というストイックな側面は、事業への熱意や意識の高さにも通じる。

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