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【特集】2022年自動車流通市場の展望

 いまだ新型コロナウイルスの感染拡大は日本、世界の経済に多大な影響を与えている。国内においては、感染者数は落ち着きを見せているが世界的には収束している状態とは言えない。国内経済に目を向ければ、日経平均株価は30年ぶりに3万円台の高値をつけるなど明るい話題もある。国内の自動車流通業界においては、半導体不足により新車の減産など、影響を大きく受けた一年だった。中古車流通市場はタマ不足で相場は高騰、16カ月連続で前年同月比を超えているという状況だ。今後もこうした傾向が続くのか、昨年を振返りつつ今年の展望を市場関係者に聞いた。

 まず、新車市場に目を向けると、昨年11月時点の累計では、約411万台(前年比約97・5%)で12月が昨年並だとしても2020年の約460万台には届きそうにない。昨年の9月以降、半導体不足と部品調達難の影響により納車遅れが多く発生しているからだ。新車ユーザーが高年式中古車に流れ、販売台数減少が加速した。今年は、相次いで人気モデル車のフルモデルチェンジが予想されている。車種にもよるが、納期がかかることは消費者も承知しており、早めに注文しようという動きにつながっている。新車販売が戻れば中古車流通市場も活性化される。メーカー系ディーラーでは各営業スタッフが多くの受注残を抱えている状況だ。新車が少しずつ納まり始め、2、3月にはこれによる下取り車の確保も期待できる。首都圏ディーラーの営業責任者は「生産も徐々に回復してきており、減産の影響も年央には解消できるのではないか」と予測を立てている。コロナの影響により、ユーザーがクルマに求める役割が確実に変わってきている。既販車を含め、ニーズが高まっている今だからこそ、一台一台丁寧に販売していくことが求められる。

 オークション市場関係者の話を聞くと「新車生産が元に戻らない限り現状と同じ。集荷が厳しい状況に変わりない」という。国内外の需要、鉄相場の高騰で車不足が起きている。将来を見据えて、会員への付加価値や利便性向上のための投資を行っている状況だ。昨年10月以降、タマ不足が顕著になり、出品台数の確保に動いた。現時点でも状況は変わらず、新車製造の回復次第という。「今年度末には新車製造も回復すると聞いている。その新車が納まって代替車がいつ出てくるか。今年は出品台数については昨年より良くなると思うが、成約率がどうなるかが気がかり」と話す(AA市場関係者)。メーカー系AAでは、新車の供給も少しずつ回復、2月頃から中古車供給にも好影響が出てくるのではないか。現在のタマ不足、相場高騰の状況が年度末には少し緩和されると見ている。一方企業系AAでは、昨年後半はディーラー出品が激減した。メーカー系AAなどでは年明けからディーラー出品回復の話も聞くが、企業系にこうした影響が出始めるのは春先以降になりそうだ。現在のタマ不足、高成約率、高成約単価の状況はある程度続きそうだ。

 中古車販売(登録台数)については、昨年10月時点で約570万台を超え前年比約98・6%と比較的堅調に推移しているが、新車製造の遅れにより、中古車相場も上がり、仕入れも難しい状況が続いている。昨年上半期は販売は好調であったが下半期は厳しい状況であった。小売向けの車は大手が独占しているとの声もあるが、新車生産の影響を受けることに変わりはない。小売りや業販で売れれば売れるほど、在庫車が不足する状況が続く。近畿地区中古車販売店は「昨年秋口から小売りが鈍ってきた。10月はまさに「底」という状況だった」と振り返る。11月後半から復調の兆しが見え始めたばかりなので、今年は初売りから年度末商戦にかけて、盛り上がってくれることを期待する声も。大手専業販売店では、顧客接点強化を目指したレンタカーやサブスク事業の展開や整備事業拡大による入庫率向上への取り組みに注力、付帯品の提案強化も行い、利益確保を推し進めている。買取店の単独出店や併設も積極的に展開し、仕入れ強化を行う。中古車の支払総額の表示義務化の対応にも準備が必要になる。大手販売店ではシステム改修をはじめプロジェクト化を進めている。

 中古車輸出市場は、取り巻く環境として、発展途上国を中心とした日本からの中古車需要の更なる伸びを期待するが、コロナ禍による新車減産の影響から中古車相場の高騰、船賃やその他輸出周辺コストの負担増など、輸出事業者側にとっては厳しい経営環境が続くことが予想される。オミクロン株の感染拡大や新たな変異株による不測の事態を考慮して、自動車販売業にとっては、国内・海外双方に販路を持っておくことで経営のリスクヘッジを行うことも求められる。輸出台数は、昨年同様の仕向先のコロナ禍の状況や物流状況で引き続き見通しは立てにくい。物流回りでは引き続き、北米での滞留が原因の慢性的なコンテナ不足や新車輸出台数の増加に伴う、中古車向け船腹スペースの確保が難しくなることが年初から予想されている。今年も船に積めない問題は続きそうだが、相場安定に伴い仕向国への輸出台数も増加となるだろう。



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