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【特集】コロナ禍で自動車販売の現場に拡大するオンラインツール

  • プレミアム中古車の現場でもオンライン商談は加速(写真は奈良日産・中古車登美ヶ丘店) プレミアム中古車の現場でもオンライン商談は加速(写真は奈良日産・中古車登美ヶ丘店)
  • 今年2月、ジーライオングループが展開した「GLION39フェア」の特設サイト 今年2月、ジーライオングループが展開した「GLION39フェア」の特設サイト
  • ホンダカーズ野崎のYouTubeチャンネル ホンダカーズ野崎のYouTubeチャンネル
  • JU福島郡山支部のYouTubeチャンネル JU福島郡山支部のYouTubeチャンネル
  • JU福島郡山支部の公式サイト JU福島郡山支部の公式サイト
  • オンライン販売専任のスタッフを配置(アペルタ) オンライン販売専任のスタッフを配置(アペルタ)
  • オンライン販売と相性の良い輸入車を取り扱う(アペルタ) オンライン販売と相性の良い輸入車を取り扱う(アペルタ)
  • スマホを使ったオンライン商談でエンジンルームなどの詳細を伝える(奈良日産) スマホを使ったオンライン商談でエンジンルームなどの詳細を伝える(奈良日産)
  • GT―Rの品揃えが特徴の奈良日産中古車登美ヶ丘店 GT―Rの品揃えが特徴の奈良日産中古車登美ヶ丘店
  • 非接触型に注力する一方で、店頭では万全のコロナ対策を実施して来店客を迎える(ジーライオングループ) 非接触型に注力する一方で、店頭では万全のコロナ対策を実施して来店客を迎える(ジーライオングループ)

マーケティングや商談の有効な手段として注目

 新型コロナウイルス感染拡大の影響から、自動車販売店のマーケティングやユーザーへのアプローチ、個別での商談手法などが急速にインターネットを介したオンラインに転化している。もともと時代の流れとともに拡大している手法だが、ユーザーからコロナ禍での非接触型のアプローチが望まれる中、すべてがオンラインで完結するなど、ツールも急速に発達、インターネットに対して高感度のユーザーだけでなく、老若男女問わず、幅広いユーザー層が抵抗なく、急速にオンラインに対応し始めたのはコロナ禍での副産物と言える。今号の特集では、こうしインターネット媒体を有効活用する企業・団体を取材・レポートする。

 自動車販売業でのインターネット活用は主に、マーケティング分野と実際の商談や契約といった実務的分野での活用が主体だ。
中古車の場合「グーネット」などのいわゆるポータルサイトからの集客などが主だったが、最近では「Google(グーグル)」やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「Facebook(フェイスブック)」、「instagram(インスタグラム)」、動画共有サイト「Youtube(ユーチューブ)」などを活用したダイレクトマーケティングの重要性も高まりを見せている。個々のユーザーの嗜好性や購買意欲をダイレクトに捉える手法で、限定したユーザー層に直接リーチできるのが大きなメリットだ。コロナ禍で外出自粛の傾向が強まる中、インターネット通販などへの依存度は急激に上昇、自動車販売の現場においても例外ではなくなった。

 こうして集客したユーザーとの商談には、従来からの電話やFAX、メールの活用などとは別に「LINE」などのツールの活用が当たり前となった。ポータルサイトから誘導したユーザーに対し、希望の連絡手段を選択させ、ユーザーの要望に応える形で、あらゆる商談方法を用意できるか否かが自動車販売業界に求められている。この1年で「オンライン商談」という手段が急速に拡大した。リモート会議ツール「ZOOM」を代表格に、コロナ禍を背景に急速に一般化していった。最近ではZOOMのようなアプリ入手を必要としない簡易型のオンライン商談ツールも発達、見積もりやプレゼンテーションを画面共有しながら進める商談も一般的で、電子署名(サイン)などの発達により、オンライン上で契約書を交わすケースも増え、全てをオンラインで完結するケースも多く見られるという。こうした動きは自動車販売のみならず、不動産業や百貨店などにも拡大しており、非接触型の商談という意味では、LINEや電話、メールを介した商談も年々増加している。

■デジタルマーケティングにも大きな手応え、WEB上に仮想オートモールを構築(ジーライオングループ)
 いち早くデジタルマーケティングに取り組むジーライオングループ(神戸市中央区、菊地秀武社長)では、コロナ禍でリアル開催を断念したグループ謝恩イベント「GLION EXPO」をオンラインモール形式で開催、店舗への集客に活用するなど、先進的な取り組みで、リアルイベントに匹敵する成果を上げている。昨年11月の同イベントのほか、今年2月には「GLION 39フェア」を展開、仮想オートモール形式での集客ノウハウを構築している。ユーザーは各種インターネット媒体を介して同社の特設サイトにアクセスし、グループ内の各販売会社の特設ランディングページ(LP)にアクセスし、特選車などの情報を見て、近隣店舗への来店予約やオンライン商談などに誘導される。こうしたデジタルイベントはグループ内のマーケティング会社「マースト」(神戸市中央区、湊善行社長)が企画・運営する。次回のイベントは6月に予定。5月のゴールデンウィーク明けからティザー(予告)広告を開始、情報拡散先も多岐に渡る。ユーザーへの「感謝」を形にしたもので、オンライン手法の積み上げは現場のレベルアップにつながり、アフターコロナでも有効な手段となることは間違いない。

■コロナ禍でインターネット活用を加速する企業・団体の取り組みをご紹介
【ケース1】SNSは究極のマーケティング、大事なのは「Do!Do!Do!」、やり続けること!(ホンダカーズ野崎)
 目的はホンダのファンづくり。ファンづくりをする上で遠回りな取り組みにも思えるが、そこに出口を用意している。動画を制作するにあたってはユーザーがYouTubeを見て、ユーザーにどう行動してほしいかを意識している。再生回数も大事だが、ホンダのファンを増やす意味でも登録チャンネル数を増やしたい。告知の費用対効果もわかりやすい。何よりも双方向のコミュニケーションができ、マーケティング的にも活用できる。

 先日、チャンネル登録者数5万人到達記念としてイベントを催し、YouTubeで告知したが全国から参加者が集まり、ユーザーの興味や関心を掴むこともできた。YouTubeはSNSとマーケティングの融合。見てもらうことも大事だが、それだけではダメだと考えている。自動車販売店としては販売に繋がらないといけない。
 YouTubeの良い点は視聴ユーザーの興味、関心に応じてお勧めで出てくる点。大手検索サイトも閲覧履歴に則して表示されるが、ページの上部は広告となっており、自社ページは下部に表示される。自分が考えるにはYouTubeは潜在ニーズを発掘してくれる。大手検索サイトは顕在ニーズを勧めてくれる。YouTubeの優れた点はそこにある。その点からもYouTubeは視聴されやすく、制作する際にもどうすれば関連性を持って表示されるかを常に考え臨んでいる。
 YouTubeを始める前は、広告の効果、効率を考えホームページによる集客に取り組んできた。その後、facebook、YouTubeを活用した集客に力を入れている。紆余曲折を経て得た経験をもとに、個人として住宅工務店や中古車販売店のコンサルティングも行っている。このコロナ禍の中、住宅工務店のコンサルティングを行い、売上200%を達成できた。
 YouTubeに限らずだがSNSで大事なのは「Do、Do、Do」。やると決めたらやること、そしてやり続けること。そうすれば理想のお客様だけが来てくれる、言わば究極のマーケティングと言える。
 ホームページ、facebook、YouTubeと続けてきたが、今はコミュニティーの時代。人との交流が情報交換を活発にし、販売へと繋がる。YouTubeは自分の思いが伝わるメディア。

【ケース2】webは無限の可能性、ユーザー目線に立った取り組みに注力(JU福島・郡山支部)
 JU福島(福島市、橋本一男理事長)の郡山支部はYouTubeやwebを使った小売促進に取り組んでいる。その取組みについて、昨年度はJU福島の小売振興委員長を務め、今期は同組合の副理事長兼金融委員長を務める郡山支部長のインパルス安藤真樹社長に話を聞いた。

~時代が変わった~
 今までの小売販促は、ちらしに頼る部分が大きかった。今でもちらしの効果を訴える人もいるが、費用対効果を考えるとwebの活用になる。ちらしはエリア限定であり特定のユーザーにしか届かない。しかも効果は長続きしない。一方のwebは自分達が伝えたいことをいつでも発信できる。加えて全国のユーザーに見てもらえ、クリック数や閲覧数を通じて反応がわかる。昔は販売店にユーザーが合わせてくれていたが、今は販売店である自分たちがユーザー目線に合わせた対応が必要。その意味でもwebを活用したプロモーションに重点を置いて取り組んでいきたい。
 YouTubeでは郡山支部に本社を置く8社を動画で紹介。各店舗の外観をはじめ、スタッフが登場し、自社のアピールポイントを伝えている。その他にもJU福島の公式webサイトには全7支部の公式サイトも開設しており、中でも郡山支部はYouTube動画や各店舗のニュースを配信するなどユーザー目線に立った取り組みに注力している。

~まずは知ってもらうことを最優先~
 YouTubeでは各店舗を紹介しているが、今後は内容の充実を図っていきたい。webはタウン情報サイト「ぐるっと」とグーネットに繋げている。その他にも市役所の封筒や免許センターでの告知など、地元の人々にJU福島を知ってもらう、郡山支部の店舗を知ってもらうことを一番に考え告知している。地元民の入口には身近なwebや広告から、クルマ目的のユーザーはグーネットからと、店舗からクルマ、クルマから店舗への導線づくりに取り組んでいる。ユーザーからはwebを見た、広告を見たとの反響もある。その声をもっと増やすべく、JUとは何か、郡山支部の店舗はどんな店かをしっかり伝えていきたい。YouTubeと支部公式サイトを開設して3年経過したがアクセス数も順調に伸びている。今後は情報更新、情報発信を支部単位でしっかりできる流れを作っていく。webは無限の可能性がある。紹介方法や表現の仕方を追求していく。


【ケース3】車両動画と提案書で安心を訴求、今後の通信販売を視野にノウハウ蓄積(アペルタ)

 アペルタ(愛知県清須市、岡田和久社長)は総合商社の双日と愛知県の中古車販売店大手、三和サービスグループのミリオンオートサービスが共同で設立した双日オートグループ東海のプレミアム中古自動車車販売ブランドとして2019年4月に開業した。

 同社は開業時よりLINEによる商談を導入。20年4月には新型コロナウイルス感染拡大にあわせて、LINEのビデオ通話やフェイスタイムを使用した動画によるオンライン商談を活用するようになった。この取り組みは安心を求める消費者の支持を得て急速に拡大、来店に変わる商談の手段として広まりを見せた。同時に同社では、時間があわないなどビデオ通話に対応できない消費者に向けて、「車両動画」と「提案書」の作成に注力。その結果、高いクオリティのサービスを提供することが可能となり、オンライン商談のほとんどが、ビデオ通話ではなく、より手軽なLINEによる商談に変化した。
 
 現在、同社が提供している車両動画は1台につき約5分、制作には1時間を費やしている。内容は高画質カメラを使用、消費者が目の前にいることを想定して、スタッフが外装、内装を丁寧に説明する流れになっている。また、提案書は「店舗・スタッフの紹介」「車両情報」「保証」「第3者による鑑定書」「納車までの流れ」など消費者が知りたい情報をほぼ網羅している。関係者は「車両動画と提案書は『わかりやすい』『安心できる』など、高い評価をいただいている。問い合わせから納車まで一度も来店されない通信販売による販売方法は全体の4割にまで増加している」と述べている。

 同社はこの「通信販売」に2つのメリットを見出している。1つは「店舗展開のしやすさ」。通信販売は消費者が来店することが無いため、幹線道路沿いなどの好立地でなくてもよく、比較的地代が安い場所に出店をすることができる。2つめは「接客の平準化」。質の高い車両動画と提案書を活用することで、同じレベルの接客をスタッフ全員が提供することができる。また、来店と比較してSNSによる問い合わせは、手軽にできることから、接客の経験を数多く積むことが可能となっている。

 今後について関係者は「SNSを活用した販売は増えていくと思うが、活用方法で結果は大きく変わってくると思う。同社では、現在のやり方を日々改良し、お客様がより安心して購入できる方法を模索していきたい」と話した。


【ケース4】コロナ禍でインターネット販売が急速に拡大、オンライン商談を有効活用し商談効率も向上

 奈良日産(奈良県大和郡山市、田代雄亮社長)の中古車部門では、以前からインターネット活用が進んでいて、コロナ禍で更にその流れが加速したという。「インターネットでクルマが買える時代」(神田智一取締役)と販売現場が体感するように、この1年間で「オンライン商談」のニーズは急速に高まっていった。

 コロナ禍が顕在化した当初は、営業スタッフからの提案で何とかオンライン商談をセッティングするようなケースが大半だったが、コロナ禍の長期化で各企業のテレワーク普及が加速、これを背景としたオンライン会議のスタンダード化やプライベートでのいわゆる「オンライン飲み会」などで、オンラインツールが身近な存在として認知されるようになった。中高年層にもスマートフォンが普及する中、コロナ禍で外出を控える高齢者までもがオンライン商談を望む傾向が強まっているという。最近では、営業スタッフが提案する以上に、ユーザーからの要望が強まっている状況だ。

 販売店側のメリットは①感染リスクの軽減、②時間効率の向上、③商談スピードアップ、④他商品への目移りが少ない―といった点だ。これまでの商談の場合、午前と午後にそれぞれ1件ずつの商談しか取れない状況も多かったという。現在では、オンライン商談を含め「時間枠」を設定することで、商談の効率性は飛躍的に高まったという。直近の4月で前年同月比較を行うと、オンライン商談の件数は2倍近い増加だという。長くて1時間程度の商談時間に集約、ユーザーとの商談準備はメールなどを活用し、限られた商談時間を有効利用する。

 同社の中古車部門の場合、県外からの問い合わせの比率が約6割に上るという。この中の約3割はオンライン商談からスタートするという。「ユーザーが安心して商談できる環境を提供するのが販売店の使命。実物が見たいというニーズはもちろん存在するので、ユーザーが望む商談方法を臨機応変に提供し、対面商談とオンライン商談を組み合わせて完結するケースもしばしば」(神田取締役)という。

 同社では、さまざまなオンライン商談ツールを活用しているが、アルファ・ゴリラ社(神戸市中央区、山路司義社長)が展開する「インスタントLIVE」もその一つだ。インスタントLIVEの特徴は専用アプリ不要でインターネットブラウザのみの利用。販売店からはスマートフォンにショートメッセージなどでURLを送信するのみ。幅広いユーザー層に容易にオンライン商談を提案できる。
 新車部門においても、こうしたオンラインツールの普及拡大で、商談のセカンドアプローチ手段などでオンライン商談を有効利用しているという。

■デジタル化はユーザーニーズに対応したツール活用
 今号の特集取材を振り返ると、インターネットを活用した集客や非接触型の商談などは、ユーザーニーズから生まれているという点だ。コロナ禍で外出を自粛せざるを得ないユーザーが出来るだけ、リアルな店舗への来店や商談の1つの手段として抵抗なく、オンラインツールを受け入れているということ。決して販売店側からの押し付けではなく、さまざまなニーズに合わせて、最良の方法でユーザーに対応することが販売店に求められている。今回の取材で訪問したマーストの湊社長の言葉が特に印象に残った。「非接触型の商談という意味では、電話やFAXも有効な手段。お客様が真に求める方法で、販売店側が対応することが正解」。電話やFAXは「時代遅れ」という偏った考え方を廃して柔軟にユーザーニーズに対応すること、オンライン商談1つ取っても、ユーザーが求めるツールは多岐に渡る。今回のコロナ禍でこうしたユーザーのホスピタリティーをいかに高められるかを考えることが一番重要なことだ。「コロナが無くなっても、蓄積された手段やノウハウは営業スタッフに蓄積される」(湊社長)とするように、現場のスタッフたちは今回のコロナ禍で着実に成長を遂げていることは間違いない。

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