画像A:フロントクロスメンバーは ここからチェック

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前号にてワンボックス車のフロントエリアは、2か所“要所”が存在すると紹介しました。その2か所をどのようにチェックすればよいのか。今回はその続編です。
【要注意エリア①フロントクロスメンバー】
バンパーから入力される衝撃エネルギーは、その取付け部であるフロントクロスメンバーを損傷させます。バンパーにへこみや大きな傷跡、あるいは修理跡を発見したら疑いましょう。
フロントクロスメンバーのチェックは、
①バンパー正面のダクト側(画像A①)
②ボディ下面側(画像A②)の2通りとなります。
やってみるとわかるのですが、下側からの確認は、かなり無理な姿勢となり体に負担をかけてしまいます。査定時に使用するバインダーを地面に敷き、その上に膝をついた姿勢で確認しましょう。ポジションは、バンパー両端付近にすると腰の負担を抑えられます。また、最近フロントクロスメンバーは、ボルト留めタイプとなり、骨格というよりも“バンパーホースメント”色が濃くなっています。ご存知のとおり、ボルト留めフロントクロスメンバーは、【骨格部位扱い】になりません。しかし、その取り付け部となる“サイドメンバー先端”は、いまだ骨格部位扱い、しかもフロントクロスメンバーと同程度で損傷しやすいエリアとなっています(画像B)。
【要注意エリア②フロア先端部】
高さがある物に衝突した場合、フロントパネルを介してフロアパネルに衝撃が波及します。フロントパネルに修理跡を発見したら、フロアパネルまで波及している可能性があります。特に先端部分に注意してください。パネル自体が開閉するボンネットタイプと異なり、フロントパネルが溶接留めされているワンボックス車は、確認できる場所が限られます。 フロアパネルについては、客室側(画像C)、またはボディ下側(画像A②)からフロアとの接合部分(溶接跡)を確認することができます。特に客室側からの確認は、室内チェックで乗り込む直前に行える効率的な方法です。
【“定番”が多いフロントエリア】
見慣れないが故に苦手意識をもってしまうワンボックス車ですが、検査の視点から見ると、
①フロアパネルに衝撃が入りやすい→確認部位が絞り込める
②フロントエリアにエンジンや補機類がない→死角が少ない
③ボディと地面の間にスペースがある→下側からの確認が容易である。
等、他のボディ形状よりずっと確認がしやすいことがわかります。
フロントエリアで修復歴扱いとなってしまう症状のほとんどが、今回紹介した“定番エリア”で発見されています。ぜひ参考にしてみてください。(次回へ続く)