中輸協・佐藤博理事長(左)と塩田豊専務理事(右)
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東京電力の原発事故による放射線問題の補償について、日本中古車輸出業協同組合(東京都品川区・佐藤博理事長)は8月に東京電力と会談を行い、ロシアに輸出した車が放射線を理由に日本に返送された場合の賠償について道筋をつけた。
原発事故後、中輸協は東京電力と話合いを重ね、賠償に向け一定の合意を得ていた。しかし7月に東京電力から「ロシアから返送された車は補償の対象としない」と判断が下された。理由は、「返送の原因が、放射線なのか、輸入に適さない車なのか判別がつかない」というもの。このため、中輸協は同組合の管轄官庁である経済産業省に相談・協力を得て、東京電力と話合いを行い、賠償を得られることとなった。
賠償条件は、基準値の0.3マイクロシーベルト(以降、μSv)を超えた場合に ①ロシア行政府の基準値の証明書がついていること。②日本で再検査を行い、基準値を超え場合のどちらかに当てはまること。賠償内容は、船賃と再検査費用、そして逸失利益となる。
ロシア向けの輸出は道筋がついたが、新たにモンゴルで放射線が問題になっている。同国には、現在毎月3,000台強を輸出。基準値はロシアより厳しい0.25μSv。基準値を超える放射線が検出され日本に返送される場合、内陸の高い輸送費用を誰が負担するのかも決まっていない。
放射線以外にも政治力による日本車の締め出しが問題に。ペルーは中国・韓国の政治攻勢が凄まじく、日本車の輸入は12月でストップする予定。カザフスタンの前例もあり、現在輸出が好調なミャンマーでも同じことが起きないとは限らないと中輸協をはじめ会員は危機感を抱いている。
中輸協・佐藤博理事長と塩田豊専務理事は、「世界に対して声を上げていくことが大切。引き続き中古車輸出を円滑に進めることができるように働きかけていく」と語った。