消費税10%以後のAA流通を懸念するJU中販連・澤田稔会長
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10月21日、民主党の税制調査会が11月中の2011年度第3次補正予算案と、関連法案の成立をにらみ「消費税率の引き上げ準備」の党内議論を今後本格化させると発表、消費税10%に向けて議論が本格化している。
この動きにJU中販連の澤田稔会長は、「中古車業界として何も対策を講じないまま消費税が10%に上がれば、オークション会場、中古車小売店、新車ディーラー、買取店など、『激動』と言っても過言ではない大変革が確実に起きる」と危機感を強めている。
‐消費税10%時代への対応を考える‐
「先日、ある会議で諸外国の事例についてレポートが提出され、韓国と欧州において10%以上の付加価値税が導入された後、各国の中古車流通の衰退と個人間売買の急増した状況を知った。特に韓国で付加価値税が10%に引き上げられた時、自動車メーカーが日本のAA会場を視察しモデルとしたオークション会場の取り扱い台数が激減し、斡旋行為を通じた中古車の個人間売買の横行、個人事業者として売買を行う仲介人の存在などで、全中古車流通の42%が個人間売買による取引が行われていると知り、驚いている。
結果、中古車の不透明性が高まり、消費者に信頼されない中古車市場が形成されているようだ。
‐他国の歴史に学ぶ‐
このように消費税の増税は、中古車販売店の廃業を加速させ、業界の衰退を招く可能性が極めて高い。幸い今は5%なので消費者に浸透しているが仮に10%となった場合、オークション会場で100万で仕入れた小売店は、消費税10万円、その他、落札料、陸送費などの経費、販売店の利益を加えた140万を超える総額を表示することになる。
現在のように外部ネットで接続され消費者にも情報公開が常態化しているオークション会場の取引金額が外税表示のまま10%になった場合、消費者が感じる店頭価格とのギャップは中古車業界全体の信頼を損ねイメージを悪化させる。2004年4月より、値札に消費税額を含めた総額表示を行うことが義務づけられたが、業者間売買は除外されたため、内税表示の会場は1会場も無い。しかし、今の5%でも異業種の参入が相次ぎ、点検も整備もせず仲介する代行販売が急増している。
この状態に業界は手を拱いて見ていてはいけない。あるAA会場がシステム会社に依頼し、現在の外税表示を内税表示にした場合のソフト改修見積りを依頼したところ、約130万円だったと聞いている。
‐健全な流通を守るために‐
AAの内税表記は中古車業界にとって、「大変重要な問題になる」との共通認識を持ち、消費税の10%増税が迫る中、オークション業界関係者間で議論を深め、会員・業界にとって「あるべき姿」を追求していく。