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車両のチェックをしていると『どうしてこうなっているの?』と疑問に思える部分に遭遇することがあります。よく見かけるけどその理由までは意外と知られていない『これは何?』今回が最終回となります。
◆これは塗装不良?
ピラーやリヤフェンダーの溶接跡を確認するには、そこに取り付けられたウェザーストリップを外す必要があります。その際、並んだ溶接跡に混ざって“車体色の塗り残し”のような跡が確認できることがあります(画像①②)。査定検査研修時に、この部分について記事タイトルどおり『これは何?』 と質問をいただくこと、実は多いのです。普通に考えると、本来しっかりと車体色が塗られるべき場所が、部分的に塗り残しがある・・・不自然ですよね。
◆新車の塗装工程に秘密あり
この疑問は新車製造工程を知ることで解決できます。各車体パネルを溶接やボルトで接合してできた通称“ホワイトボディ”は、次に塗装工程に移ります。 ボディの細部まで塗装する必要のある『下地塗装』と異なり、車体色の塗装は『視界に入るエリア』を中心に施されます。 ボディ外側はもちろんですが、乗降がされる『ドア開口部廻り』も車体色で塗装されます。
しかしこの段階では、ドアの取付位置を保持する『キャッチ部』がまだ取り付けられていません。 その為、ドア開閉時にボディ側とドアが接触してダメージを受けるのを防ぐ必要があります。 その方法として“ドア位置を保持する冶具“を取り付けます。こうして冶具を取り付けた状態で塗装をすると、画像①②のような跡が残るわけです。
この冶具が取り付けられる場所は、各モデルで微妙に異なりますが、
・センターピラーの前ドアキャッチ部周辺
・リヤフェンダーのドアキャッチ部周辺
・リヤエンドパネルのリヤゲートキャッチ部周辺に多く見られます。
◆新車状態・製造工程を理解する
査定経験が浅い方は、少しでも不自然に思える部分を見つけると、『これって事故?』『もしかして修理しているのでは?』
と、不安に感じる場面に多く出くわします。これは“新車状態”の理解不足が原因であり、車両チェック時間の長期化、さらに“誤認”を招く可能性もあります。車のチェックは“新車状態との間違え探し”です。不自然さに気づくには、正しい状態をまず理解することから始めることが大切です。
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