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新年あけましておめでとうございます。令和7年の新春を迎えるに当たり、所感の一端を述べ、新年のご挨拶とさせていただきます。
世界の経済状況は、コロナ禍、紛争、インフレーション、金融引き締めなどによる混乱を乗り越え、経済活動と貿易が持ち直していることから、景気は堅調に推移しています。また、近年の世界情勢は、米中対立やロシアによるウクライナへの侵攻の長期化、混迷を深め続ける中東情勢など国家間対立が激しくなっており、地政学的な目的のために経済を手段として使うことで世界経済への悪化が懸念され、国内志向の政策や世界規模の気候変動などのグローバルな課題に対処するため、多国間協調に向けた努力が求められています。
我が国の経済に目を転じてみますと、コロナ禍の影響から脱した後、企業収益が過去最高を更新し、設備投資も大幅に増加したことから、企業部門が堅調さを維持しており、基調として緩やかな回復が続いています。しかしながら、家計部門においては、名目賃金の伸びが物価上昇に未だ追いついていないことから、個人消費は力強さを欠いており、景気の回復力は弱い状態が続いています。この中において政府は、デフレーションから完全に脱却し、成長型の経済を実現させるチャンスを迎えているとして、令和6年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024 ~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」に基づき、安定的な物価上昇の下で賃上げに支えられた消費の増加と企業の投資拡大が持続的な経済成長への好循環をもたらす「成長型の新たな経済ステージ」へと移行させていくことが示されました。
国内の景気は、賃金上昇率の高まりなどを背景に個人消費の緩やかな増加が見込まれ、企業では人手不足対応やデジタル関連などの設備投資の増加傾向が続くことで潜在成長率を上回る成長が続くとされており、更なる成長が期待されます。
自動車については、急速な技術革新が進んでおり、地球温暖化を抑えるため脱炭素や環境に配慮した電動車の普及が進み、少子高齢化社会における交通手段の確保や交通事故の削減を図るため、先進技術を活用して安全運転を支援するシステムや限定した環境下において自動運転を行うシステムが車両に搭載され、最新の電子部品や装置が採用されています。このため、自動車の検査や点検・整備の際にもOBDを活用することが欠かせないことから、自動車の電子化への対応が重要となっています。加えて、継続検査OSS(ワンストップサービス)の更なる利用促進につながる自動車検査証の電子化が導入され、自動車本体だけでなく、自動車の検査・登録や点検・整備制度、事務手続きなどについても急速な電子化への対応が求められています。
このような整備業界を取り巻く環境下にあって、自動車の整備技術の高度化に向けた対応や、一層厳しさが増している少子高齢化の影響で後継者難や若年労働者の採用難への対応も同時に求められ、整備業界は引き続き厳しい状況にあります。
このように、整備業界が抱える課題は山積しておりますが、日整連・整商連としましては、自動車ユーザーの皆様が安全で快適にクルマをお使いいただくためのお手伝いをするという、整備業界としての社会的役割を十分に果たせるよう活動していくとともに、急激に進む自動車の新技術への対応、継続検査OSSの利用促進、OBD検査、自動車検査証の電子化などへの対応等に加え、整備士の人材不足や後継者難への対応を整備事業者の健全な経営の徹底を図りつつ取り組み、将来に向けて業界の持続的な繁栄を目指し、業界全体の活性化と経営基盤の確立に取り組んで参る所存であります。
日整連の取り組みの一端を申し述べます。業界振興・活性化対策については、「自動車整備業のビジョンⅡ」に示している整備事業者の取り組みを引き続き推進するとともに、整備作業の工数の明確化とそれに見合った適正な料金の収受方策を検討し、自社の経営状況を簡易に自己診断できる「経営自己診断システム」を活用した適正なレバーレートの設定等、整備事業者にその必要性の周知を行い、健全な経営の実践を推進します。また、令和6年度に新たに構築した、点検・整備委託先を自動車ユーザーのニーズに応じて検索可能な整備工場検索システムの内容を充実させるとともに、自動車ユーザーへの利用促進を図っていきます。
整備士確保対策については、職場体験の実施推進等による自動車整備の仕事のPR、二種養成施設のPR活動に加え、イベント等で活用できる小学生以下を対象とした自動車整備士体験ツールを作製して、自動車整備士の仕事をPRするなど、国土交通省及び「自動車整備人材確保・育成推進協議会」との連携を図りつつ、自動車整備に携わる人材の確保・育成対策を進めていきます。
業界健全化対策については、指定整備事業者における厳正かつ公正な事業運営の徹底を図るとともに、不正改造車の排除の徹底を図って参ります。また、令和6年から導入されましたOBD検査の円滑な実施のための情報収集に努め、その周知徹底を図って参ります。
法制・税制対策については、自動車整備事業の喫緊の課題克服に関する要望や税制改正等要望の実現に向け、積極的に活動して参ります。
ICT化促進対策については、登録情報処理機関として電子保安基準適合証システムを円滑に運用するとともに、自動車情報利活用促進協会が運用する申請共同利用システムを活用した継続検査OSS代理申請業務についても円滑な運用及び利用率の向上に努めて参ります。
環境保全・省資源対策については、国の方針に基づき新たに策定した温室効果ガス削減の数値目標の達成に向けた地球温暖化防止対策に係る整備業界の対応方策を検討するとともに、リサイクル・リユース部品の利用促進を図って参ります。
自動車使用者対策については、国土交通省が実施主体となる「自動車点検整備推進運動」に参画し、同運動の一環として「マイカー点検キャンペーン」を実施して参ります。また、前検査車両対策について、点検・整備の必要性や点検・整備を実施しないことの危険性等を説明した自動車ユーザー向け啓発用資料等の活用を推進し周知して参ります。
整備技術の向上対策については、整備主任者技術研修の一層の充実を図り、スキャンツール基本、応用、ステップアップ研修及びフォローアップ研修を含む再教育を推進することにより、自動車の電子制御装置などの新技術への対応力の向上を図るとともに、自動車整備士資格制度等の見直しに対応して、自動車整備士養成課程教科書の改訂作業を進めて参ります。
自動車整備技能試験対策については、各試験を各地方委員会の協力を得て厳正かつ公正に実施するとともに、自動車整備技術に対して専門性・技能を有し即戦力となる外国人の受け入れ・就労を目的とした自動車整備分野特定技能評価試験について、試験の確実な実施と国外試験実施国の拡大等について検討を進め、円滑な実施に努めて参ります。
一方、整商連におきましては、「これからの商工組合事業のあり方に関する新たな提言」を進めるために策定した「商工組合事業推進計画」を基に、組合員の事業の改善発展、また公正な経済活動の機会の確保を目指して、日整連及び各組合と密接に連携しつつ業界の近代化を促進し、経営基盤を強固にしていくため、経営支援事業、情報収集・提供事業、調査・研究事業等の諸事業を積極的に推進して参ります。
経営支援事業の人材養成事業については、商工組合及び振興会の事務局職員の資質向上を図るために、ステップ別教育として新人職員、管理職員を対象とした研修会を実施して参ります。
業界振興・活性化対策については、日整連事業への協力及び大変革期に対応した整備事業のあり方の検討を行うとともに、整備作業の工数の明確化とそれに見合った適正料金の収受や整備人材の確保に係る方策などについて日整連と協力して検討を進めて参ります。また、事業承継支援対策を推進するための方策として、事業承継マニュアルを最新の情報に改訂して活用の促進を図るとともに、信金キャピタル株式会社と提携したM&Aに係る紹介・連携事業を推進して参ります。
加えて、自動車整備業の活性化方策の活用推進のため、具体的な取り組みを実施している地域、整備事業者への取材を引き続き行い、事例の収集を図って参ります。さらに、経営革新等支援機関として、生産性の向上等を目指す自動車整備事業者のために、関係補助金等の申請、経営力向上計画及び先端設備等導入計画の策定に関して、地方各商工組合等と連携してサポートするとともに事例の収集・紹介を行って参ります。
情報収集・提供事業については、当会と組合事務局との電子情報(デジタルデバイス情報等)化の推進、活性化を図るとともに、関係法令、自動車整備関係諸情報の収集・提供を促進して参ります。
調査・研究事業については、新たな受発注システムの円滑な運用に努めるとともに、適用品目の拡充に努める等、活用の推進を図るとともに、「外国人材の受入制度に係る監理団体・登録支援機関との連携」について、引き続き調査・研究を進めて参ります。
商工組合事業のあり方に関する新たな提言については、「新提言に基づく事業推進計画」の実施状況の把握として全国組合への調査を実施して参ります。
自動車整備近代化資金については、引き続き「残存求償権処理要領」等に基づく自動車整備近代化資金残存求償権の適正な回収及び整理に努めて参ります。
共同経済事業対策については、各組合との意見交換を通じて組合の実態把握に努め、購販担当ブロック代表者会議を活用して組合の組織力とスケールメリットを生かしつつ諸事業を推進して参ります。
整備事業者の課題とされる自動車新技術に対応する機器やOSS関連ツールなどについては、指定工場におけるOBD検査及び認証工場におけるOBD確認に必要となるスキャンツール、VCI(車両通信インターフェース)の供給に努めるほか、OSSの普及・促進への対応として開発した楽楽OSSについて、電子自動車検査証の車検証閲覧アプリとのシステム間でのデータの連携(API連携)による入力作業の効率化を図るなど、利便性の向上と利用拡大に努めて参ります。
ETC及びETC2.0車載器セットアップ登録店の募集と適正な運営の推進については、新たなセットアップシステムへの円滑な移行に協力するとともに、新規登録店の募集及びセットアップ業務の適正な運用に努めて参ります。
大規模災害等を踏まえたBCP(事業継続計画)については、日整連と共同して適切な実施体制の確保に努めて参ります。
以上、本年の取り組みの一端を申し上げましたが、日整連・整商連としましては、業界全体の活性化と継続的な繁栄のため諸事業を推進して参りますので、会員・組合員の皆様には本年も当会事業に一層のご理解とご協力をお願い致しますとともに、関係ご当局をはじめ関係各位のご指導並びにご支援を切にお願い致しまして、年頭のご挨拶と致します。
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