上田常務(中央)とベトナム人高度人材ズン氏(右)、技能実習生ヴァン氏(左)
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岐阜日石(和田隆社長、岐阜県)では、ベトナムから3名の技能実習生を受け入れた。外国人の受け入れを決めた背景として人手不足というのがあった。スタンド業界は、特に厳しい状況で、若手の整備の希望者が少なく高齢化も課題となっていたためだ。
「技能実習生を受け入れるにあたっての不安は言葉の壁でした。受け入れ先の工場は初めてのことでしたのでどう対応したら良いのか?言葉が通じないので技術指導をするにはどうやったら良いかの不安を持っていました。しかし最終的に、通訳的な人も必要なのではないかということで、大卒の高度人材を採用。その方がN2レベルでしたので通訳翻訳の不安は無くなりました」(上田常務)。
外国人の採用で最も重要なことは、自社内における受け入れ体制構築を行うことだ。技能実習生に限らず、外国人の活用には、体制構築スケジュールを考えながら、余裕を持って進めることが重要だ。
ベトナム人たちがきて社内が明るくなったという。現在、岐阜日石では合計4名のベトナム人が働いている。「受け入れ前は心配してましたが、みんな真面目、そして明るいです。そのため、暗かった工場の雰囲気が明るくなりましたよ。ベトナム人の意識は非常に前向きで、技術の飲み込みは早いですね」(上田常務)。更に「高度人材は日本語も堪能で、スタッフ同士のコミュニケーションもとれて、にぎやかになりました。彼が中心になってくれているので技能実習たちの通訳もできて本当によかったです」と語る。
ベトナム人が入社してきてから、社風が変わったという経営者は多い。人材不足の解消の目的で採用した彼らだが、新しい異文化も受け入れることになる。新しい風は社風を変える。会社にとって人材不足解消以上の大きな資産となるのではないだろうか。
時が経つにつれ国際的な人材獲得競争は激しくなるだろう。少しでも日本にきてくれる外国人がいる間に、日本の自動車整備業界として積極的な外国人活用の道筋をつけておくことが重要だ。すべての自動車屋が外国人の受入れ問題に真正面から向き合う時代がきたと言える。
<川崎大輔 プロフィール>
大学卒業後、香港の会社に就職しアセアン(香港、タイ、マレーシア、シンガポール)に駐在。その後、大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより自らを「日本とアジアの架け橋代行人」と称し合同会社アセアンプラスコンサルティング にてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。2017年に株式会社アセアンカービジネスキャリアを立ち上げアセアン各国からの外国人整備エンジニアを日本企業へご紹介。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。