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【特集】2020年度の振返りと2021年度の見通し

新車販売は前年比10.6%減の465万台水準に

 2020年度(2020年4月~2021年3月)の新車販売台数(含軽、日本自動車販売協会連合会発表)は、前年度比7.6%減の465万6627台だった。新型コロナウイルス感染の影響拡大により、春先から新車供給が停滞したことで、5月は前年同月比で44.9%減とほぼ半減にまで需要は落ち込んだ。

【新車販売は前年比10.6%減の465万台水準に】

 新車販売の回復傾向が見られたのは7月に入ってから。コロナ禍での移動手段として自動車の価値が見直されたことに加え、生産体制も整い始めた。ただし、前年同月比で数値として回復が見られたのは10月から。昨年度は消費税引上げの影響で10月の新車販売は31万台に留まり反動減に見舞われた。一方、2020年10月は41万台を販売、前年同月比で29.2%増と一転し、大幅なプラスに転じた。愛知県のトヨタ系販売店店長は「昨年春先の緊急事態宣言時は、イベントなど来店を誘致する活動が全くできず新車販売は大きく苦戦したが、8月を境に一転、本来であればレジャーに使われるお金が緊急事態宣言により使われず、給付金とあわせて新車購入の資金となった。以降、新車販売台数は増加傾向となり、年明けを待たずに春先のマイナスを上回る台数確保ができた」とし、「ただし、緊急事態宣言前から続いている「売れ筋車種」の偏りは顕著となっており、ハリアーなどのハイブリッドグレードでは半年待ちが当然のように発生、契約はできても登録に結び付かないケースが多い」という。

10月以降の新車販売に関しては、11月は6.7%増、12月は10.2%増、1月は6.8%増、2月は0.5%増、3月は5.4%増と6カ月連続で前年を上回っており、堅調に見える。今年度については、新型コロナウイルスの影響次第ではあるが、昨年ほどの影響は無いと考えられている。新車の需要としては、これまで同様高まることが予想される。ただし、世界的な半導体不足に加え、生産工場出火による大幅な減産、コロナ変異株の影響で不安定な状況が続くことが想定される。

 新車販売について、今年度を振返ってみたが、コロナ禍においては外部環境の影響は非常に大きく、例年と比較して非常に見通しが立てづらいことに変わりない状況だ。今回の特集では、中古車販売や中古車輸出、オークション市場についても昨年度を振返るとともに、今年度の見通しについても業界関係者からのヒアリング結果を紹介していきたい。



【中古車販売実績は堅調に推移】

 2020度年の中古車登録台数(日本自動車販売協会連合会調べ)は、前年度比0.5%増の385万6863台だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響から、4月は前年同月比8.2%減、5月は前年同月比18.0%減の24万6117台と大きく減少したが、その後の6~8月と10〜12月では、それぞれ3カ月連続で前年同月実績を上回り、コロナ禍でも中古車販売実績は堅調に推移した。軽自動車でも全国軽自動車協会連合会発表による20年4〜21年2月の軽四輪車中古車販売台数を見ると、前年同月比3.3%減の261万4457台という前年同期実績にあと一歩まで迫る内容だった。

(中古車販売市場)
 2020年度の中古車販売市場は、コロナ禍ににもかかわらず、しっかりとした実績で推移した。
関西地区のディーラー関係者は「中古車部門の収益はコロナ禍にも関わらず高水準。年度末の3月も買取り、下取り入庫は堅調で、このアドバンテージを今年度に持ち越す形で良いスタートが切れた」と話す。中国地区の中古車販売店では「今年に入っても中古車小売りは堅調。1月から目標値をクリアしており、高級車の販売も堅調に推移している」という。一方で、九州地区の中古車販売店では「1月の初売りで少し躓いたが、月末までに巻き返しを見せるなど、小売りはある程度、活発に推移している。コロナ禍で厳しい2020年度を乗り切ることができたが、コロナ感染の再拡大など、今年度の見通しは不鮮明」と慎重な声も聞かれた。

 また、愛知県の中古車専業店の社長は「昨年は繁忙期後半に新型コロナウイルスが一気に拡大。繁忙期に売れた車の下取りが入ってきた4月以降はオークションの動きが止まったことで、店頭に並べることができる小売り向けの以外の車両の処分に戸惑った」、「オークションの相場が続落する中、緊急事態宣言下において、売却はできず、仕入も将来の不安から積極的に行うことができないジレンマに陥った。しかし、7月ぐらいから状況は上向きとなり、購入目的の来店が増加した。ただし、仕入を一時的に止めていたこともあり、販売車両が一気に減少、補うためのオークションについても、相場が一気に上昇したため、仕入困難となった。こうした状況も秋口には改善したが、年を明けた今年の繁忙期は、緊急事態宣言ということもあり、繁忙期感が無いまま静かに終わった」と振り返る。

 今年度については「まったく予想がつかない。昨年度のようなこともあるので、設備投資や過度な仕入れは抑え、できる範囲でやっていきたい」と慎重な見方を示す。東京都の中古車販売店では「7月から11月までは、仕入れれば売れる状況にあったが、年末から販売数は減少しはじめ、足もとの市況は厳しい」と話す。

(中古車輸出市場)
 日本中古車輸出業共同組合発表の中古車輸出台数を見ると、昨年度(2月まで)の中古車輸出台数は、前年同期比20.4%減の93万6063台。3月が10万台を少し上回る程度で推移したとしても年間110万台には届かない低水準で止まる見通しだ。こうした中、今年度の中古車輸出市場は「中古車の海外需要は昨年度と比べて鈍くない。ただし、海外通関港で、コロナ感染症対策のための港作業員の配置不足による荷揚げスピードの鈍化やコンテナ不足などをで日本国内の通関港で車が滞留している。ストレージ(港のでの保管料)発生による想定利益の減少や、海外バイヤーとの支払い条件で船積み後に回収する場合も多いため、輸出事業者にとって環境は厳しい。

 今後の海上輸送については、コンテナ不足、中古車のRo-Ro船スペース不足は9月頃までは続く見通し。アフリカ向けの配船に関しては、海運大手が大型船をチャーターして、通常よりも高い船賃で枠を用意している。想定している利益が目減りするも、輸出事業者のスペースの確保は必要となっている状況。(中古車輸出コンサル事業者)


【AA市場はタマ不足の影響で相場は高騰】4月、5月は苦戦するも6月以降は一転して活況に

 2020年度の国内オートオークション(AA)実績(主催者発表速報値集計、プロトコーポレーション調べ)は、総出品台数が前年度比1.6%減の707万9191台、成約率が同1.6ポイント増の64.9%という実績だった。前年度実績に対して、出品台数がおよそ48万台の落ち込みとなったが、成約率は4月、5月を除き、6月以降は前年を上回るという状況が続いた。新型コロナウイルス感染拡大が市場全体に大きく影響した。オークション平均成約単価も4月、5月は前年を下回ったが、自動車が移動手段としての価値を見直されたことにより、市況は一転、新車の供給不足も相まって需給バランスが崩れ、成約価格は高騰した。出品台数は前年を下回る状況が続き、タマ不足の影響で7月以降は平均成約価格が60万円を超えるなど、中古車販売店、輸出事業者など仕入れる側からみると、仕入れ単価の面では厳しい状況が続いた。

(昨年度の振返りと足下の状況)
 オークション市場関係者に足下の状況を聞くと「1~3月の年度末も成約率こそ少し下降気味だったが、成約単価は高水準を持続している。ディーラー各社が年度末を跨ぐ形で出品を持ち越すなど、4月前半の出品台数も高水準を持続している(関西地区AA会場関係者)と話す。九州地区のAA会場関係者は「前年度はディーラー出品が大きく減少しているが、一般会員からの出品が増加傾向にある。落札相場も高位安定しており、活発な「売り」「買い」が見られた。年度を跨ぎ、出品台数が大きく膨らんでいる。年度末からの持ち越された車両が多く出品されており、この流れがいつ頃まで続くか、観察している」と期待感を込める。

中部地区のAA市場関係者は「コロナウイルス感染拡大により春先に発令された緊急事態宣言により、AA業界も打撃を受けたが、6月後半から回復に向かった。年度を通じて、出品台数計画はほぼ達成に近い数字となった」と振返り「新型コロナウイルスにより感染対策費用が増加したものの、出張や会議などの費用が大きく減少した。手数料収入の減少を上回ることで利益増加につながった」と増益基調は続いている。 東日本地区では、新型コロナウイルスの影響により4月、5月は厳しい局面を迎えたが、7月以降は空前の中古車需要を受け、通年で前年同様の実績近くまで出品台数が回復した会場は多い。成約率も同様に7月以降に回復。中古車需要を受け、高成約率を記録した。

(今年度の見通し)
 今年度の見通しについて、中部地区AA会場関係者は「先行き不透明感が強いもの昨年までの落ち込みは無いと思われる。会員向けの経費は抑えながら、感染対策については取り組めることはやっていきたい。ただし、感染対策については、現状できることはやっているので、これ以上過度なことはやる必要はないと思っている」と話す。東日本の中古車市場関係者は「半導体不足による新車製造のストップを受け、新車の納車が遅れ 代替車が出ないため、中古車不足は深刻な問題になる可能性がある。少なくとも今年度の上半期は各会場が出品車集めに苦戦する場面が出てくる」と危機感を示す。


※記事詳細は自動車流通新聞755号(4月25日発行)にて








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