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川崎大輔のアセアン市場まるわかり⑰

タイにおける中古自動車部品の流通

 まずは、タイで流通する自動車部品のカテゴリーをご紹介する。大きく正規純正部品、市販部品、中古部品、と呼ばれる3つのカテゴリーで自動車部品が流通している。

 1つ目の整備純正部品とは、自動車メーカーを通じて系列カーディーラーや大手部品商へ流通していく部品だ。新車ディーラーの整備工場で取り扱われる自動車部品で価格も最も高い。そのため、整備純正部品を好むユーザー層は、新車ユーザーや高年式車のユーザーに限定される。

 2つ目の市販部品は、デンソーやボッシュなどのOEMメーカーの良品と、発展途上国などで作られる無名ブランドやイミテーションなどの粗悪品に分けられる。これら市販部品は、自動車部品専門商社や卸売商を経て中小部品商へ集約されたのち、各地の整備会社へと流れていく。純正部品に比べ価格がやすいため低年式車のユーザーや中古車ユーザーに好まれている。

 最後の中古部品は、タイではシエンゴンと呼ばれる中古部品市場が流通の中心だ。バンコクで流通する中古部品については90%以上が日本からのもので、残りが欧州からと言われている。日本からコンテナで鉄クズとして低関税で輸入してきたものを取り扱っている。中古部品市場内にある各中古部品商は、機能性部品や外装品などのある程度の専門化が進んでいる。また、輸入された部品以外にタイ現地で発生した部品も流通している。現地で発生する部品は、修理工場や現地のスクラップ工場からのものだが、スクラップ業者が各地から集めてこのシエンゴン(中古部品市場)へ売りにきている。中古部品は、様々な部品があるため、超低年式車のユーザーやエンジンやミッションの乗換を行う改造車ユーザーなどからの需要だけではない。安かろう悪かろうを好む中古車ユーザーにとっても貴重な部品商品となっている。

 タイの中古部品市場はまだまだ開拓の余地が残されており、巨大で高いポテンシャルを持つという魅力がある。市場の90%以上が日系自動車ブランドであるタイにとって、自動車部品流通の健全化は、日本の自動車メーカーの更なる発展につながるだろう。

 タイの中古部品ビジネスの市場は、まだまだ薄暗いグレーな市場だ。商品価格や流通の仕組みを透明にしていくことが、この業界のさらなる発展を促すことになっていく。


<川崎大輔 プロフィール>
大学卒業後、香港の会社に就職しアセアン(香港、タイ、マレーシア、シンガポール)に駐在。その後、大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより自らを「日本とアジアの架け橋代行人」と称し合同会社アセアンプラスコンサルティング にてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。2017年に株式会社アセアンカービジネスキャリアを立ち上げアセアン各国からの外国人整備エンジニアを日本企業へご紹介。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。


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