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【連載企画】File27中古車販売店「経営実務」のウソ?ホント?

新型コロナウイルスの影響等で赤字になった企業は前期の税金を返してくれるってウソ?ホント?

 自動車販売店の経営者や実務担当者が抱く経営・経理・税金に関する様々な疑問について、自動車業界専門の税理士が解説します。

【青色欠損金の繰越控除】
 会社の業績というものは毎年一定ではなく、特に中古車販売業は他の業種と比較して業績の波が大きい業種といえますので、場合によっては赤字になる事業年度もあります。そうして生じた赤字を将来に繰り越すことができる(=将来の黒字と相殺することができる)制度を「青色欠損金の繰越控除」といい、多くの会社が過去に利用したことがあると思います。

 なお、この制度の適用を受けることができるのは、青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金で、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金の繰越期間は10年とされています。

【欠損金は繰り越すだけではない】
 一方、今期に生じた欠損金を翌期以降に繰り越さずに、前期に〝繰り戻して〟既に納付した税金の還付を受けることができる「欠損金の繰戻還付」という制度が存在することをご存じでしょうか。この制度には「青色欠損金の繰戻還付」と「災害損失欠損金の繰戻還付」という2つの種類があります。

 前者は青色申告書を提出する事業年度に生じた欠損金をその前事業年度に繰り戻して税金の還付を請求できるというものですが、現在は「解散等の場合」と「資本金1憶円以下の中小企業」を除き、その適用が停止されています。

 後者は、災害のあった日から1年以内に終了する事業年度又は災害のあった日から6ヵ月以内に終了する中間期間に生じた災害損失欠損金を、その事業年度又は中間期間開始の日前1年(青色申告である場合には、前2年)以内に開始した事業年度に繰り戻して税金の還付を請求することができるというものです。

 なお、ここでいう災害とは、震災、風水害及び火災、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいいます。

【新型コロナウイルスと青色欠損金の繰戻還付】
 この度の新型コロナウイルス感染症の影響により、赤字決算を余儀なくされる中古車販売店も多数あるかと思います。資金繰りも非常に厳しい状況にあると予想されますので、前期に所得が出て税金を納めている場合には、ぜひ「青色欠損金の繰戻還付」の適用を受けて下さい。

 また、本制度は「解散等の場合」と「資本金1憶円以下の中小企業」に限り適用ができるということは前述のとおりですが、新型コロナウイルス感染症に係る経済政策として、「令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度」に生じた欠損金については、「資本金1憶円超~資本金10億円以下の法人」についても拡充して適用を受けることができます。

【新型コロナウイルスと災害損失欠損金の繰戻還付】
 この度の新型コロナウイルス感染症の影響により、次のような損失が発生した場合には、「災害損失欠損金の繰戻還付」の適用を受けられる場合があります。
●感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
●商談ルームや工場を消毒するために支出した費用
●感染発生防止のために配布するマスクや消毒液などの購入費用 など
また、青色申告書を提出する法人の災害損失欠損金は2年前まで繰り戻すことが可能となっておりますので、税務署や顧問税理士に相談のうえ「青色欠損金の繰戻還付」と組み合わせての活用をご検討下さい。

【筆者紹介】
税理士 酒井将人。
自動車業界特化型税理士事務所OFFICE M.N GARAGE代表。
自動車販売店などの経営サポートや業務改善に注力する傍ら、自動車業界活性化のための活動を行う。著書に『いまさら人に聞けない「中古車販売業」の経営・会計・税務Q&A(セルバ出版)』など。

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