社会保険労務士 本田淳也
自衛隊退職者を採用する
今回はあまり知られていない自衛隊退職者の採用を紹介します。年齢的には55歳前後とはなりますが、若者が激減している昨今においては、貴重な戦力として働いてくれるでしょう。
■整備士有資格者もいる
自衛隊は若年定年制を採用しているため、自衛官の多くは55歳前後(任期制は20歳代~30歳代半ば)で定年退職し、厳しい訓練で培った責任感や指導力、職務に応じた技術等を第二の職場で活かしています。陸上自衛隊のパンフレットによれば、そのようなスキルが再就職先で高く評価され、97%が「採用してよかった」と答えているようです。駐屯地には自衛隊車両の点検・整備・板金塗装を担当している部隊もあり、3級整備士や機械関係に強い方もいます。民間とは違い即戦力というワケにはいかないものの、相応の実務経験を有しているため飲み込みの早い方であれば数か月で車検程度はこなせると思います。気になる年齢については年金が支給される65歳頃まで働く方が多く、現在の人出不足においては約10年という勤続年数もさほど支障が無くなりつつあります。筆者の関与先でも若者の応募がなかなか来ないため、きっちり働いてくれる自衛隊退職者へ求人を出している自動車会社もあります。また忍耐力のある方も多いようで、「社員を採用してもすぐ辞めて困る」と感じている会社であれば、なお良いでしょう。
■20代の若い隊員も
そのほか任期制の若い退職者もいます。20代の方が多く、実際に本人の希望により3級整備士の取得を目指し、学科と実技講習に取り組んでいるケースもあります。実務経験は期待できないものの、整備士を目指す意欲ある20代にアプローチできることは魅力的です。個人的にはミスマッチを防ぐため、2日前後のインターンシップを実施するのがお勧めです。ただし、民間会社と自衛隊では異なる点が多くあります。自衛隊では指揮命令が徹底されていたので、自己判断能力が多少劣るという声を聞くこともあります。退職自衛官の再就職支援を担当する援護課では、民間就職のポイントを事前の研修等で説明しているようですが、双方誤解のないようしっかりとした面接を行うことが重要でしょう
。
■民間と公務員の感覚のズレを修正
ちなみに筆者も以前、自衛隊退職者数名と一緒に働いたことがあります。印象としては、真面目で報告・連絡・相談がきちっとしていると思います。ただ、そういった長所の反面、公務員ならではの感覚のズレを感じることもありました。あくまで個人的な感想ですが、数か月程度で改善できる部分かと思いますので、民間に合わせた指導をしていけば、あまり問題にはならないかと思います。自衛隊はほとんどの都道府県に駐屯地があるため、気になる方は地方協力本部の援護課までお問い合わせください。年間で8,800人ほどの退職者がいるようです。
【筆者プロフィール】
社会保険労務士・自動車整備コンサルタント 本田淳也
青森県深浦町生まれ。北海道自動車短大卒業、ディーラーにメカニックとして勤務後、四駆専門誌で数多くの記事を執筆。帰郷後、青森市に本田社会保険労務士事務所を開業。SUBARUだよりに「これからの自動車販売店経営術」を連載中。自動車会社専門の経営・人事労務相談顧問が好評。猫にはまっている48歳。著書「自動車整備業の経営と労務管理」(日本法令)。
■整備士有資格者もいる
自衛隊は若年定年制を採用しているため、自衛官の多くは55歳前後(任期制は20歳代~30歳代半ば)で定年退職し、厳しい訓練で培った責任感や指導力、職務に応じた技術等を第二の職場で活かしています。陸上自衛隊のパンフレットによれば、そのようなスキルが再就職先で高く評価され、97%が「採用してよかった」と答えているようです。駐屯地には自衛隊車両の点検・整備・板金塗装を担当している部隊もあり、3級整備士や機械関係に強い方もいます。民間とは違い即戦力というワケにはいかないものの、相応の実務経験を有しているため飲み込みの早い方であれば数か月で車検程度はこなせると思います。気になる年齢については年金が支給される65歳頃まで働く方が多く、現在の人出不足においては約10年という勤続年数もさほど支障が無くなりつつあります。筆者の関与先でも若者の応募がなかなか来ないため、きっちり働いてくれる自衛隊退職者へ求人を出している自動車会社もあります。また忍耐力のある方も多いようで、「社員を採用してもすぐ辞めて困る」と感じている会社であれば、なお良いでしょう。
■20代の若い隊員も
そのほか任期制の若い退職者もいます。20代の方が多く、実際に本人の希望により3級整備士の取得を目指し、学科と実技講習に取り組んでいるケースもあります。実務経験は期待できないものの、整備士を目指す意欲ある20代にアプローチできることは魅力的です。個人的にはミスマッチを防ぐため、2日前後のインターンシップを実施するのがお勧めです。ただし、民間会社と自衛隊では異なる点が多くあります。自衛隊では指揮命令が徹底されていたので、自己判断能力が多少劣るという声を聞くこともあります。退職自衛官の再就職支援を担当する援護課では、民間就職のポイントを事前の研修等で説明しているようですが、双方誤解のないようしっかりとした面接を行うことが重要でしょう
。
■民間と公務員の感覚のズレを修正
ちなみに筆者も以前、自衛隊退職者数名と一緒に働いたことがあります。印象としては、真面目で報告・連絡・相談がきちっとしていると思います。ただ、そういった長所の反面、公務員ならではの感覚のズレを感じることもありました。あくまで個人的な感想ですが、数か月程度で改善できる部分かと思いますので、民間に合わせた指導をしていけば、あまり問題にはならないかと思います。自衛隊はほとんどの都道府県に駐屯地があるため、気になる方は地方協力本部の援護課までお問い合わせください。年間で8,800人ほどの退職者がいるようです。
【筆者プロフィール】
社会保険労務士・自動車整備コンサルタント 本田淳也
青森県深浦町生まれ。北海道自動車短大卒業、ディーラーにメカニックとして勤務後、四駆専門誌で数多くの記事を執筆。帰郷後、青森市に本田社会保険労務士事務所を開業。SUBARUだよりに「これからの自動車販売店経営術」を連載中。自動車会社専門の経営・人事労務相談顧問が好評。猫にはまっている48歳。著書「自動車整備業の経営と労務管理」(日本法令)。