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【2023年 年頭所感】日本自動車整備振興会連合会・日本自動車整備商工組合連合会 会長 竹林武一

  • 竹林武一会長 竹林武一会長
 新年あけましておめでとうございます。令和5年の新春を迎えるに当たり、所感の一端を述べ、新年のご挨拶とさせていただきます。

 昨年は、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策として医療提供体制の強化やワクチン接種の加速など、経済社会活動回復のための環境整備を行っていた中、歴史的転換点となるロシアによるウクライナへの軍事侵攻が経済社会に大きな影響を与え、原材料の高騰を誘発し、食料品や燃料などの生活必需品の値上がりが相次ぎ、家計への負担が重くのしかかった一年になりました。

 世界の経済状況は、米国や主要欧州諸国を中心に世界全体で物価やエネルギー価格が上昇し、生活水準が圧迫され続け、また、中国ではゼロコロナ政策の継続とそれに伴う経済活動の停滞により、多くの地域や産業に影響を及ぼし景気が予想以上に減速しました。さらに、ロシアの軍事侵攻が長期化することで、地政学的な分断が高まってきており、世界貿易と国際協調を阻害して、更なる世界経済への悪化が懸念される状況にあります。

 我が国の経済に目を転じてみますと、世界経済の不確実性が増す中で強靭な経済構造に向けた改革を進めるため、令和4年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」に基づき、我が国を取り巻く環境変化や国内における資源価格の高騰、人口減少・少子高齢化、潜在成長率の停滞等の構造的課題に取り組むこと、また、成長と分配をともに高める「人への投資」を始め、科学技術・イノベーション、GX、DX などへの投資を柱とする「新
しい資本主義」の実現に向けた重点投資分野についての基本方針が示されました。

 さらに、物価高や新型コロナウイルスの感染拡大の影響が懸念されましたが、行楽シーズンには行動制限が課されず、人流の増加が続き、対面型サービスを中心にリベンジ消費がある程度維持されるなど、経済活動への制約が薄らぎ、個人消費の増加が続き、企業の設備投資は緩やかな持ち直し基調が続く見込みとされています。

 自動車については、CASE と呼ばれる領域で技術革新が進んでおり、少子高齢化社会における交通手段の確保や交通事故の削減を図るため、安全運転を支援するシステムや限定した環境下において自動運転を行うシステムが車両に搭載され、最新の電子部品や装置が採用されています。このため、自動車の検査や点検・整備の際にも、OBD 検査や OBD 点検など自動車の電子化への対応が大変重要となってきています。加えて、継続検査ワンストップサービス(以下、「継続検査 OSS」という。)の更なる利用促進につながる自動車検査証の電子化の導入が令和5年1月から開始されるなど、自動車本体のみならず、自動車の検査・登録や点検・整備制度などについても急速なデジタル対応が進められています。

 このような整備業界を取り巻く環境下にあって、自動車の整備技術の高度化に向けた対応や、一層厳しさが増している少子高齢化の影響で後継者難や若年労働者の採用難への対応も同時に求められ、整備業界は引き続き厳しい状況にあります。

 このように、整備業界が抱える課題は山積しておりますが、日整連・整商連としましては、自動車ユーザーの皆様が安全で快適にクルマをお使いいただくためのお手伝いをするという、整備業界としての社会的役割を十分に果たせるよう活動していくとともに、急激に進む自動車の新技術への対応、継続検査 OSS の利用促進、特定整備、OBD 検査、自動車検査証の電子化などの新たな制度への対応等に加え、自動車整備士の人材不足や後継者難への対応を、健全な経営の徹底を図りつつ取り組み、将来に向けて業界の持続的な繁栄を目指し、業界全体の活性化と経営基盤の確立に取り組んで参る所存であります。

 日整連の取り組みの一端を申し述べます。業界振興・活性化対策につきましては、「自動車整備業のビジョンⅡ」に示された整備事業者の取り組みを引き続き推進することとし、自社の経営状況を簡易に自己診断できる「経営自己診断システム」を活用した適正なレバーレートの設定等、健全な経営の実践を推進します。また、整備士確保対策としまして、自動車整備士の仕事のPR やイメージ向上対策を実施し、関係機関・団体と連携して人材確保・育成対策を推進します。

 業界健全化対策につきましては、指定整備事業者の公正な事業運営の徹底を図るとともに、不正改造車の排除の徹底を図って参ります。また、令和6年から導入予定のOBD検査の円滑な実施に向けて各般の対応を推進して参ります。

 法制・税制対策につきましては、自動車整備事業の喫緊の課題克服に関する要望や税制改正等要望の実現に向け、積極的に展開して参ります。

 ICT 化促進対策につきましては、継続検査 OSS における登録情報処理機関として電子保安基準適合証システムを円滑に運用するとともに、電子自動車検査証に係る継続検査 OSS 及び記録等事務委託制度の運用に対応し、継続検査 OSS 全体の利用促進を図って参りま
す。

 環境保全・省資源対策につきましては、国の方針に基づいて策定されている温室効果ガス削減の数値目標に基づき地球温暖化防止への対応を進めるとともに、リサイクル・リユース部品の利用促進を図って参ります。

 自動車使用者対策につきましては、国土交通省が実施主体となる「自動車点検整備推進運動」に参画し、同運動の一環として「マイカー点検キャンペーン」を実施します。また、前検査車両対策としまして、点検整備の必要性や点検整備を実施しないことの危険性等を説明したパンフレットを作成するとともに、YouTubeを活用した啓発活動を引き続き展開して参ります。

 整備技術の向上対策につきましては、整備主任者技術研修の一層の充実を図り、「スキャンツール基本・応用、ステップアップ研修」及びフォローアップ研修を含む再教育を推進することにより、自動車の電子制御装置など新技術への対応力の向上を図って参ります。さらに、自動車整備技能登録試験を各地方委員会の協力を得て厳正かつ公正に実施するとともに、自動車整備技術を通じた国際貢献や海外事業展開への支援等を目的とした外国人自動車整備技能実習評価試験や、自動車整備分野特定技能評価試験への対応を進めて参ります。

 一方、整商連におきましては、「これからの商工組合事業のあり方に関する新たな提言」を進めるために策定した「商工組合事業推進計画」を基に、組合員の事業の改善発展、また公正な経済活動の機会の確保を目指して、日整連及び各組合と密接に連携しつつ業界の近代化を促進し、経営基盤を強固にしていくため、経営支援事業、情報収集・提供事業、調査・研究事業等の諸事業を積極的に推進して参ります。

 経営支援事業の人材養成事業につきましては、商工組合及び振興会の事務局職員の資質向上を図るために、ステップ別教育として新人職員、管理職員を対象とした研修会を実施します。

 業界振興・活性化対策につきましては、日整連事業への協力及び大変革期に対応した整備事業のあり方の検討を行うとともに、「事業承継マニュアル」の改訂のための調査を実施するほか、事業承継支援対策を推進するための方策として、信金キャピタル株式会社と提携し、M&A に係る紹介・連携事業を実施します。また、自動車整備業の活性化方策の活用推進のため、具体的な取り組みを実施している地域、整備事業者への取材を引き続き行い、事例の収集を図ります。さらに、経営革新等支援機関として、生産性の向上等を目指す自動車整備事業者のために、経営力向上計画及び先端設備等導入計画策定等に係る、担当者への実務研修の実施とフォロー状況を踏まえ、地方各商工組合等と連携してサポートするとともに事例の収集・紹介を行います。

 情報収集・提供事業につきましては、当会と組合事務局との電子情報(デジタルデバイス情報等)化の推進、活性化を図るとともに、関係法令、自動車整備関係諸情報の収集・提供を促進します。調査・研究事業につきましては、「外国人材の受入制度に係る監理
団体・登録支援機関との連携」について、引き続き調査・研究を進めて参ります。
商工組合事業のあり方に関する新たな提言につきましては、令和4年度に実施した「新提言に基づく事業推進計画」実施状況の全国組合への調査結果を踏まえ事業計画を推進して参ります。

 自動車整備近代化資金につきましては、「残存求償権処理要領」等に基づく自動車整備近代化資金残存求償権の適正な回収及び整理に努めるとともに、各組合からの相談等に対応して参ります。

 共同経済事業対策につきましては、各組合との意見交換を通じて組合の実態把握に努め、購販担当ブロック代表者会議を活用して組合の組織力とスケールメリットを生かしつつ、共同購買、出版及び代行等の諸事業を推進して参ります。

 なお、株式会社ベルティスと連携して開発した OSS 連携サービスである「楽楽 OSS」については、自動車検査証の電子化に伴う利便性の向上等を図りつつ、普及・促進に努めるほか、新たな自動車新技術対応機器や OSS 関連ツール等の取り扱いの検討を進めて参ります。

 また、「共済制度活用検討会」を引き続き開催し、各種制度の活用方策の検討を行います。ETC 及び ETC2.0 車載器セットアップ登録店の募集と適正な運営の推進につきましては、引き続きセットアップ業務統括責任者研修を実施し、事業者の責務及び各セットアップ登録店の指導・管理の徹底を図り、各組合による ETC セットアップ登録店主任者講習会
の実施を推進して参ります。さらに、大規模災害等を踏まえた BCP(事業継続計画)については、日整連と共同して、地方における策定状況のフォローアップを行うとともに、対応訓練の実施等により適切な実施体制の確保に努めて参ります。

 以上、本年の取り組みの一端を申し上げましたが、日整連・整商連としましては、業界全体の活性化と継続的な繁栄のため諸事業を推進して参りますので、会員・組合員の皆様には本年も当会事業に一層のご理解とご協力をお願い致しますとともに、関係ご当局をはじめ関係各位のご指導並びにご支援を切にお願い致しまして、年頭のご挨拶と致します。






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