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【検査員はここを見る】EV(電気自動車)のチェック(後編2)

 最近急速に増えている“BEV(二次電池式電気自動車)ですが、査定検査業務ではどのような点にチェックすればよいのでしょうか?前回に引き続いてその注意点をご紹介いたします。

その③車外の確認(前回からの続き)
 車体の外側からは“骨格部位”の確認に注力しましょう。 BEVの各モデルは、大型バッテリーモジュールがセンターフロア部分に設置できるようプラットフォームが専用設計されています(画像①)。直接バッテリーモジュールを目視することは難しいのですが、保護・整流効果を目的として取付けられた“アンダーカバー”の状態から推察してみましょう。BEVのプラットフォームのフロア部分は、フラットな形状で突き上げによる損傷リスクを抑える設計がされています。しかしそのカバー部分に突き上げによるダメージが残っている場合、バッテリーモジュールまで衝撃波及している恐れがあります。

●骨格部位確認はカバーとの攻防
 カバーによる確認作業の弊害は、これだけではありません。リヤエリアは、荷室側・バンパー下側ともにトリムやカバーで全体を覆われているモデルも多く、私達を困らせることがあります。ダメージリスクが低いセンターフロア部分と異なり、リヤエリアは修復歴の遭遇率も高い場所なので、可能なかぎり骨格部分を目視したいところです。BEVのリヤエリアでは、バンパー下側に攻略の糸口が見つかるケースが多くみられます。例えばテスラのBEVモデルは、カバーを留めているピンが数本しかなく、簡易的な工具を用いれば容易に外すことができます(画像②③)。工具を使用する必要はありますが、がっちりと組みつけられた内張りパーツで守られた荷室側よりも現実的といえるでしょう。他にもBMW・i3シリーズは、カバーに打ち抜き穴があるので、そこから覗いて確認することが可能です。面倒な確認作業となりますが、評価落ちを防ぐためには欠かせません。

●次にフロントエリアはどうでしょうか?
 フロントフードを開けるとまず目に飛び込んでくるのは、全体を覆っているカバーの数々。つい虚脱感に襲われてしまいますが、ここで負けてはいけません。フロントエリアのカバーは、工具無しでも外せるケースが多く、リヤエリアほど苦労を感じることはありません(BMW・i3はマジックテープで留めてあります)。工具が必要な場合でも、簡易的な工具があれば留めピンを外せることがほとんどです。カバーさえ外す(または浮かして隙間を作る)ことができればこちらのもの。フロントインサイドパネルやサイドメンバーがしっかり確認できます。 

●製造管理ラベルも参考に
 “カバーを外して骨格部を確認する“BEVのチェックに限らず通常の査定検査でも面倒な作業となりますが、それらを補助してくれるチェックポイントも存在します。テスラのモデルでは、外板部位に車台番号が印字されたラベルが貼られています(画像⑤)。これは以前から一部の輸入車ブランドでも見られますが、①本来あるべきラベルが貼られていない。②実車と異なる車台番号のラベル(中古パネル交換)といった場合、外板交換されている可能性も考えられます。輸入車ブランドではおなじみのヘッドライトユニットに貼られた“製造日ラベル”も有効な情報です。査定時、必ずしもカバーを外せるシチュエーションにあるとはかぎりません。その際、骨格部の状態を推察する為の材料としてこうした情報も見逃さないようにしましょう。

●BEVは最先端技術の集合体
 世界中の自動車メーカーが経営資源をEV開発に集中している現在、次々と新素材、技術が新型モデルに採用されています。実際カバーを外してみたけど、この溶接跡は一体なんだ?(画像⑥)と考え込むケースもあります。製造ラベルの確認、留めピンを外す工具の携帯等、私達自身も査定検査の知識・確認方法をアップデートする努力が求められているのです。

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