ＮＧＰ日本自動車リサイクル事業協同組合（東京都港区、佐藤幸雄理事長 以下、ＮＧＰ協同組合）は１０月２６日、「第１６回通常総会」を都内にて開催した。

　今回の総会はコロナ禍による密回避を考慮し、Ｗｅｂ会議システムによるオンラインにて開催。会場には一部の役員のみが出席し、感染対策に留意しながらの総会となった。

　総会後の記者会見では鈴木専務理事より昨年度の活動と今年度の計画報告がなされた。

　昨年度報告ではＮＧＰ創立以降、最も甚大な水害被害に見舞われたことを受け、千葉県にいち早く水害対策本部を設立。同様に令和２年九州水害においても対策本部を設け、被災車両の回収を通じ、復興支援活動に寄与した旨が報告された。
　またＮＧＰが入口の課題として掲げる「車両仕入の拡大」については、一般カーユーザーからの車買取サービス「廃車王」が好調に推移し、前年比２６％増となった。出口の課題である「リサイクル部品の販路拡大」についても地産地消の考えのもと、前年並みの部品販売を維持したと報告がなされた。
今年度の計画では活動方針に①廃車王のブランディングを通じてリサイクル事業者に直接入庫するための土壌づくり、②廃車王を通じてリサイクル部品の認知向上と利用促進、③ＮＧＰパーツ業界内浸透および個人向け販路の拡大、④組合員会社の事業多角化支援、⑤ＳＤＧｓ取組み強化と組員への浸透を通じて社会的信用の向上の５点を発表がなされた。

　佐藤理事長は総会にて創立３４年を迎えられた感謝を示し、新型コロナウィルスにより引き起こされた全世界的な経済活動の停滞によるリサイクル業界への影響に言及し、 組合員への気遣いを口にした。
　また、リサイクル業界を含めた社会全体が急激に変化した今だからこそ、その変化を受け入れ今までの考え方を変えていかなければならないと、将来を見据えた強い想いを述べた。

以下、佐藤理事長挨拶
　ＣＡＳＥやＭａａＳをキーワードとした次世代車の開発競争は、コロナ禍においても過熱しています。２０２０年４月１日、自動車分野で最も重要な法律が改正され、公道上で「レベル３」の自動運転が解禁になり、一定の条件であればドライバーが周辺状況を監視する義務から開放されます。車両走行中にスマートフォンを操作したり、カーナビの画面を見続けたりすることが可能になるのです。これにより、ホンダは２０２０年内にレベル３の自動運転車を発売するとアナウンスしています。

　今後リサイクル業界を取り巻く周辺環境も、自動車産業が変革していく中で、技術革新による事故減少・事故車減少が、リサイクル部品の販売機会を減少させ、我々の事業への影響に直結することは間違いありません。また、短期的に見ても新型コロナウィルスによる消費の停滞が新車販売の減少を招いており、それにより使用済自動車の発生も減少しています。我々の事業の根幹である入庫台数への影響は必至です。このような市場環境、社会環境がある中で、事業基盤である入庫の確保、部品販売の販路拡大をこれまで以上に推し進めていくことが非常に重要であると考えています。

　佐藤理事長は「時代が変化しても変わらないのは“お客様第一”という ＮＧＰの理念だ。お客様の利益を最大限追求し、お客様に喜ばれ、頼りにして頂ける存在であり続けることが、組合活動において最も重要視すべきことだ。」と述べています。今後も厳しい事業環境が想定される中だからこそ、既存事業に捉われず、環境の変化に合わせてお客様満足度を高めるための、本業を生かした新たなサービスの拡充を検討する必要があると考えています。

　本年度は、我々の事業の根幹である車両の確保が、今まで以上に困難になることが想定されます。一般カーユーザーからの車買取サービス「廃車王」を近年強化しておりますが、同じような戦略をとっていても、これまでのような好調な結果は得られないと考えています。ＴＶＣＭで培った認知を、今まで以上にＷＥＢを活用した積極的なＰＲ施策により、「廃車といえば廃車王」を認知するための活動をしていきます。
　また、「ＳＤＧｓ」に基づいた社会・経済の発展と環境保護の両立に貢献するための活動を推し進めていきます。ＳＤＧｓ を組合で宣言してから２年目となる今年度は、各組合員企業がＳＤＧｓを宣言することをサポートしていきたいと考えています。組合員、従業員、従業員の家族にまで活動を波及することこそが、ＳＤＧｓの目指す「地球上の誰一人として取り残さない」という理想の社会を実現することだと考えています。

　困難な事業環境が想定される中、創立者である大石一彦氏が掲げた三大信条「お客様第一」の理念に基づき、諸先輩方が作り上げたＮＧＰグループを、より強固なグループに発展させる為に、全組合員が一致団結し新たな時代を切り拓いて参りたいと考えています。