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【特集】コロナ感染拡大から1年 実績を上げている販売店の戦略とは

コラム 2021年02月25日

 2019年12月に中国武漢市付近で初めて確認され世界規模での流行となった新型コロナウイルス感染症。その感染拡大から1年が経過しようとしている。日本国内の社会・経済に与える影響も大きく、2020年の経済損失は数十兆円規模とまで言われている。自動車関連業界においても、同様に大きな影響を受け、2020年の新車販売台数(含軽、日本自動車販売協会連合会発表)は前年比11.5%減の約460万台と大幅な減少だった。そのような中、中古車登録台数(日本自動車販売協会連合会調べ)は、前年比0.3%減の約383万台とほぼ横ばい。新型コロナウイルスの影響が新車販売とは逆に追い風になった側面もありつつ、オンライン商談の普及など業界全体での取り組みや中古車販売店独自の新たな販売手法の確立などにより、堅調に推移した1年だった。

 中古車販売堅調の背景には、新型コロナウイルス感染拡大による経済の先行き不透明感と感染対策によるユーザーの行動変化に起因する部分が大きい。昨年4月に発令された緊急事態宣言下では、経済活動の縮小とともに中古車登録台数も激減。前年同月比18.0%と大きく前年を下回った。ところが、緊急事態宣言解除後の6月より反転、経済活動の活性化に比例するように、中古車登録台数は前年を上回る回復をみせた。

 緊急事態宣言解除後の消費者動向は、解除前とは大きく変化し、感染対策をあらわした「三密回避」が前提になった。それにより、接触機会の多い公共交通から自動車利用による通勤手段の見直しが需要の後押しになった。また、レジャーも大きく変化した。アウトドアが三密を避けるレジャーとして脚光を浴びたことにより、キャンピングカーやスポーツ用多目的車(SUV)の販売が増加。それにあわせて販売店側も販売に留まらず、ユーザーとの接点を強化、リピートや紹介による業績向上事例も数多く見られた。

 また、緊急事態宣言下では、接触機会を避けるため来店誘致をともなうイベントが自粛、ユーザーの足が販売店から遠のいた。そのような中、感染リスクの高い来店による対面販売から、オンライン商談による自動車販売の新しい仕組みが登場した。オンライン商談とは、パソコンやスマートフォン、タブレット端末を使用して、オンライン上でユーザーと商談をする仕組みである。オンライン商談は非接触の商談のため、感染リスクが無いほかに、ユーザーが来店をする必要がないため、商談スピードの迅速化などのメリットも大きい。また、車両販売以外での活用も広まっており、特に整備でオンラインを活用されるケースが増えている。この場合、修理点検箇時での不具合箇所の説明やパーツ取り付けの確認など、ユーザーが来店されなくても説明、確認が可能となる。

 このように、新型コロナウイルス感染拡大により、わずか1年の間に中古車販売を取り巻く環境は激変を遂げた。次ページからは、そのような環境下において、独自性を出しながら、環境に合わせた経営で、着実に実績を出している販売店を紹介していく。


■ガリバーワオタウン幕張店 (千葉県習志野市)
「累計販売台数1万台を突破 ワオタウンはクルマ選びのテーマパーク」

 IDOM(東京都千代田区、羽鳥由宇介社長)の運営する「ガリバーワオタウン幕張店」はオープンして6年目となるが、同社の中でも全国トップクラスの好業績店だ。昨年11月23日には累計販売台数で1万台を突破したという。好業績の要因、取組などを聞いた。

【コロナ禍でも好況】
 昨年を振り返ると、コロナの影響で一時的に来店数の減少に見舞われたものの6月緊急事態宣言が解除されて以降は、通勤や通院などの目的にプライベート空間での移動の安全面や納期の早さ、経済的理由から中古車の需要が高まりを見せた。それ以降についても、車の購入が必要となった世帯ニーズをキャッチアップでき、7月~9月は特需効果もあり前年比大幅増、10月の販売台数においても前年同月比で25%増となった。
 外出自粛中には、ネットアプリのガリバーオート(AI査定)やおうちでガリバー(オンライン商談)の利用が加速したことも大きかった。
買取面においても販売同様で、来場者の急回復により活況となった。同社では、買取車両を店舗で直販する自社流通を基軸とするビジネスモデルのため、相場高騰の影響を受けることなく安定した取引ができた。

【ワオタウン幕張店取組】
 同店では、広大な敷地を活かした展示車両の多さのみならず、地域のユーザーのマイカーライフの拠点となるような運営を目指している。整備工場併設はもとより、無料で利用できる「洗車コーナー」は、日に80~100組ものユーザーが利用する。待ち時間もゆったりくつろげるカフェコーナーやキッズコーナも用意されており、来場者は土日ともなると200組を超える。
 こうした利便性だけでなく、より一層ユーザーに寄り添えるような取り組みとしては、当初5名で始まった花火イベント(敷地内で開催)は、口コミが広がり、近年では700名を越えるようになるなど、地域の方にどうしたら喜んでもらえるのか工夫を凝らす。SNSを使ったコミュニケーションにも力を入れる。店舗サービスやおすすめ車両などを紹介するほか、店舗の日常も配信し親近感を持たせている。

【店長からのコメント】
 二宮慎太郎店長は「これまで購入してくれたお客様は500名ほどですが、全員の顔と名前を憶えています。お客様との関わり合うことが本当に楽しい。ワオタウンはクルマ選びのテーマパークです。楽しんでクルマを選んでほしい」、「将来は「お客様専用のリゾート施設をつくりたい。専用キャンプ場も用意したい」と話してくれた。


■ビップオート (千葉県木更津市)
「オンリーワン市場をターゲット 軸を変えるブルーオーシャン戦略が奏功」

 ビップオート(千葉県木更津市)井上寿夫社長は「貴方の個性をカタチにする」を掲げ、ビップオートグループとして事業を展開している。
同グループはエムズスピード(本社:大阪府東大阪市、松本徹社長)のフランチャイズに加盟をして、千葉・埼玉・静岡のエムズ3店舗、正規輸入車・シボレー袖ケ浦店スズキ正規ディーラー・スズキアリーナ富津店、トラック市加盟・トラック市袖ケ浦店の6店舗を展開している。
 昨年はコロナ禍による厳しい市況の中、同グループは対前年を上回る売上実績を挙げ、業績は堅調に推移しているという。その理由に井上社長は「オンリーワン商品の提供」と「次の展開を考え進化し続ける意識」の二つを挙げる。

【唯一無二の価値を提供する】
 「オンリーワン商品の提供」ではエムズスピードが大きな役割を果たしている。エムズスピードは新車ベースのコンプリートカーを扱いエムズスピードオリジナルの製品や純正パーツを取付け、オンリーワンの一台を提供している。
井上社長は「新型コロナウイルスにより新車の納期が遅れるなど少なからず影響を受けたが、コンプリートカーは唯一無二の商品。その一台を求め、商圏は全国と言っても過言ではない。これはコンプリートカーならではの強み」と話す。
 また「エムズスピードは常に新しいデザインを追い続けてくれており、顧客満足度も高い。現に新規ユーザーの来店はもとより、リピーターも多く半数以上を占めている。コンプリートカーのラインアップも増えており、ハイクラスの国産車だけではなく、対象は軽自動車まで広がっている。結果、ユーザーの選択肢も広がり、よりオンリーワンの車を求めやすくなったのも良い点。エムズスピードはユーザーニーズに応え、刺激を与えながら進化していると実感している」。

【次の展開を考え進化し続ける意識】
 ビップオートとしてオンリーワン市場の開拓として特殊車両の扱いも始めた。井上社長は「エムスピードと同様にオンリーワン市場を目指す上で欠かせないのは、他社には無いもの、また他社と軸をずらした展開が必要。今後は既存車の販売だけではなく、販売側にも多少なりともメーカー的な動きが必要」と話す。

【ユーザー目線を意識した取り組みを実践】
 加えて井上社長は「サービス面でもユーザー目線を大事にしている」と話す。事例を挙げると納車費用目安一覧の提示や低金利による購入支援など、ユーザーがわかりやすく購入しやすい環境提供している。また、スタッフ教育にも力を入れており、挨拶をはじめとした来店時のスタッフ対応はユーザーに気持ち良さを感じさせるものがある。
井上社長は「売れるスタッフには理由がある」と話すように、スタッフ各人がユーザー目線を意識し細やかな目配りと気配りが行き届いた対応も好業績に繋がっている。


■オートスタイルプラス (岐阜県岐南町)
「差別化の徹底で業績向上 ユーザーの満足度を高めることに注力」

 オートスタイルプラス(岐阜県岐南町、森本哲司代表)は2018年に開業、今年で3年目を迎える。代表の森本氏は昭和55年生まれの40歳、サラリーマンを経て、自分の可能性を試すために、中古車販売の世界に飛び込んだ。森本氏は様々なことを試行錯誤しながら、他店との差別化を徹底、コロナ禍において、着実に業績を伸ばしている。

【ユーザーの満足度を高める差別化が必要】
 同店では、限定車や希少なグレードや装備が付いている車両を仕入れることで他店との差別化を図っている。また、車の仕上げにもこだわっている。来店したお客様の購入意欲を高めるためにも、内外装の仕上げは徹底して行っている。森本氏は「オートオークショである程度、状態の良い車両を仕入れることで、仕上げ作業の工程が楽になる」と話すように、普段の仕入れから気をつかっている。また、中古車検索サイトへの掲載方法も差別を図っている。一般的な販売店の場合、写真は外装や装備などを撮影したものを掲載することが多いが、同店では、使用状況がわかるものを中心に掲載している。例えはヘッドライトの汚れ、ドアノブの傷、ステアリングやシフトの擦れやへたり、タイヤの溝の残りやアルミホイールの傷などである。森本氏は「車の装備についてユーザーは良く知っている。そこに注力するのではなく、お客様が本当に知りたいと思っている車の状況を教えてあげることが重要であり他店との差別化になっている」としている。

【来店されたお客様に安心感を与える】
 来店されたお客様は購入意欲が高くなっているものの、初めてのお店の場合、お店と車に不安を持っているケースが多い。それを解消するために、接客時では距離感と品質、そしてアフターケアを重要視している。接客時はお客様に納得いくまでゆっくり車を見てもらう。決してあせらせないことを気にかけている。また、同店の展示車両は第三者による品質鑑定を受けている。接客時はその鑑定書を見せながら説明を行うことや、販売車種の大半が輸入車のため、修理費用を気にするお客様も多く、必ず保証を提案している。

【挑戦する気持ちを忘れない】
 今後について森本代表は「昨年は売上利益それぞれ約20%程度伸長することができた。今年もコロナの終息が見えない中ではあるが、足踏みすることなく、常に前を向いて挑戦していきたい」と抱負を語った。


■カーショ ップアシスト (大阪府門真市)
「軽自動車に特化した新車・中古車販売で堅実経営 ぷちキャン 知名度拡大で顧客基盤は更に拡大」

 軽自動車専門店のカーショップアシスト(大阪府門真市、藤原栄二社長)は、地域密着の新車・中古車販売と合わせ、7~8年前から展開する軽キャンパーのオリジナルブランド「ぷちキャン」の全国エリアでの認知度拡大がコロナ禍での販売増に大きく寄与しているという。新車販売においては、2018年12月にスズキの副代理店契約を行い「スズキ門真販売」として看板を掲げ、近隣ユーザーを中心に認知度向上につなげ、自社のブランド価値を高める。

【市場性を理解した中古車ラインアップが奏功】
 同社が店舗を構える大阪府門真市周辺には、大規模な団地や住宅街と町工場などが混在するエリア。以前から商用を含め軽自動車の需要が高かった。創業から間もなく、軽自動車に特化した中古車販売で順調に事業を拡大、現在も販売の主役は軽自動車に他ならない。長年、良質かつ手頃な中古車を取り揃え、ユーザーに対して親身な接客とアフターフォローで顧客基盤を拡大していった。こうした顧客基盤からの安定的な代替えがコロナ禍でも大きく実績を落とすことない販売環境を支えている。

【近年はスズキ車販売に特化した経営を推進】
 18年のスズキ副代理店契約が象徴するように、ここ数年はスズキ車への特化で価値を高めている。新車販売の比率も徐々に拡大、スズキ副代理店というブランド力とともに、新車販売の利益率向上が同社の経営に大きく寄与する。店舗運営は最低限の人数で行い、コロナ禍では「来店予約」の積極活用により、万全のコロナ対策を実施しながら、密度が濃く、効率的な商談を確実に行い、成約台数を伸ばしているという。

【「ぷちキャン」の展開で「物売り」からの脱却】
 軽自動車専門店のノウハウを凝縮した軽キャンパー「ぷちキャン」の全国展開が同社の知名度を大きく引き上げた。「単なる『物売り』ではなく、ユーザーとの接点を強め、強固な顧客基盤構築につながっている」(藤原社長)という。グッドデザイン賞受賞なども契機となり、着実に認知度や信用度を高めた。「昨今のキャンプブームの中、敷居が低く、幅広く対応できるキット販売の軽キャンパーがユーザーニーズに合致した。新車コンプリートは全体の9割を占めるまでに成長した。『ニッチトップ』としてニッチな分野でトップを目指した」(藤原社長)という。昨秋には自社客の入門キャンプを支援する「ぷちキャンベース」を岡山県美作市にオープンした。







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4、4.5点

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毎月50台以上の流通が過去6ヶ月連続していること