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- 山川博功コラムVOL002 2024年11月26日 ビィ・フォアード
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保険金水増し請求が発覚した大手中古車販売店の調査報告書が発表されてから1年が経過した。国交省の立ち入り検査実施など問題は大きくなり、社長と副社長は辞任、会社の存続が危ぶまれた結果、大手商社に事業を引き継ぐこととなった。また、別の大手中古車販売店では、保証金の不正請求が発覚、直後に社長が辞任。東海エリアを中心に展開している大手中古車販売店でも不適切な会計処理が行われ、その後、他の企業に買収されることとなった。一方、自動車メーカーにおいても、トヨタ自動車グループを始めとする不正が発覚、生産の一時停止に至り、経営に大きく影響した。このように企業の不祥事、不正は事業の根幹を揺るがし、最悪、会社の存続に関わる。そのような中、自動車公正取引協議会や日本中古自動車販売協会連合会などの業界団体、各販売店が信頼回復に向け、さまざまな取り組みが行われ、改善の動きが活発化している。(福井伸幸)
■ユーザーは中古車選びに安心を求めている
グーネットマガジン24年4月掲載のアンケートによると、中古車販売店への今後の要望・改善点について、中古車販売店利用者は「中古車業界全体の健全化と信頼性の向上」が30.9%でトップ。続いて「走行距離、事故歴、修復歴の明確な表示」(28.1%)、「価格設定の基準や評価方法の明確な説明」(27.7%)となった。このアンケートから、中古車販売店の不正を知ったユーザーは安心して中古車が購入できる販売店を求めていることがわかる。
また、中古車購入未経験者を対象とした中古車購入に対する不安についてのアンケートでは、「販売店(業界)への不信感」が29.4%で圧倒的トップ。続いて「経済的不安」(17.6%)、「故障の不安」(11.8%)となった。中古車購入3回以上経験者においても、「性能・状態に関する不安」(20.7%)に次いで、「販売店(業界)への不信感」が18.5%と上位に入った。以上のことから、中古車購入の経験に関わらず、ユーザーは販売店への不信感を持っていることが明らかになっている。
■信頼を得る取り組みは広がっている
ユーザーの不安を取り除く取り組みの一例として、23年10月1日から、自動車公正競争規約・同施行規則改正が施行、中古車販売価格の「支払総額」表示が義務化された。従来、安価な価格を表示しながら、実際はその価格で購入できず、保証や整備などのサービスが余分に請求されるといった事例が見受けられ、ユーザーの不信感を招いていた。この義務化により、表示された支払総額で車を購入することができるため、不信感を招く原因の一端を取り除くことができている。
また、JU埼玉(添野健会長・理事長)は、6月28日、JU埼玉適正販売店向けに同店認定中古車制度説明会を開催。同制度は、生活者が安心・安全な中古車を購入できる環境を提供することを目指し、JU埼玉とプロトコーポレーションが共同で進める。認定車両は第三者機関による鑑定を基にした評価書の発行や車両状態が一定の基準を満たしていることが条件。さらに、点検・整備を実施し、認証番号入りの記録簿を発行する必要があるなど厳しい条件がある。このような取り組みは、業界団体や販売店単位で徐々に広がってきている。次からは全国での取り組みを紹介する。
【カーロテック】(埼玉県草加市)
信頼性と品質を兼ね備えた中古車販売会社の革新
充実したアフターサービスで安心を実現
シンガポールに本社を構えるカーロテック(以下CARRO)は、日本法人として昨年8月に設立され、信頼性と品質にこだわり続ける中古車販売会社である。顧客に「安心」と「安全」を提供するため、同社は徹底した車両検査、透明な情報提供、充実したアフターサービスを実施している。また、環境への配慮を考慮した取り組みも行っており、持続可能な未来の実現にも貢献している。CARROの取り組みが、なぜ多くの顧客に支持されるのか。
■「CARRO」日本法人設立と信頼の背景
信頼性と品質を重視した中古車販売を行い、顧客に「安心」と「安全」を提供することを最優先としている。同社は厳格な車両検査、透明な情報提供、充実したアフターサービスを柱に業務を展開している。
■徹底した車両検査と透明な情報提供で安心を実現
エンジンやブレーキ、タイヤ、電子システムといった主要部分はもちろん、車両の細部に至るまで厳しくチェックが行われる。この厳格な検査体制によって、購入後のトラブルを未然に防ぎ、顧客が安心して利用できる車両を提供している。
さらに、同社は透明性を重視しており、車両の履歴や過去のメンテナンス記録を顧客に公開している。これにより、購入者は車両の状態を正確に把握し、信頼を持って購入を決定することができる。この取り組みは顧客からの高い評価を受け、リピーターの増加にも繋がっている。
■充実したアフターサービスと環境への配慮
また、同社は購入後のアフターサービスにも力を入れている。保証期間中の無償修理や定期点検を通じて、顧客の安全なカーライフをサポート。万が一のトラブルが発生した際にも、迅速な対応ができる専任のスタッフが常に待機している。
同社は環境への配慮も忘れない。低燃費車やハイブリッドカーの取り扱いを増やし、廃車時のリサイクルや廃棄物の適切な処理にも注力している。これらの取り組みは、社会全体への貢献を意識したものであり、持続可能な未来の実現に向けた一歩である。
同社は今後も、顧客に安心と安全を提供することを最優先に考え、さらなる成長を目指していく。特に、日本市場での新たな取り組みやサービスの充実を図り、より多くの顧客に満足してもらえるよう努力している。その結果、顧客からの信頼を一層深め、業界内での地位を確立していく予定である。
【サクセスオート湘南】(神奈川県鎌倉市)
“三方よし”のもとユーザーに安心と安全を提供
自動車販売店の在り方を追求
昭和62年に創業し37年を迎えるサクセスオート湘南(神奈川県鎌倉市、丹野快一社長)。社是に「傍楽(はたらく)の心を真に据え、三方よしを基に営み、循環型車社会を創造する」を掲げ、地元の鎌倉をはじめ藤沢・横浜を中心に新車中古車販売・買取・整備・板金塗装・レンタカーと事業を行い地域に根差した営業をしている。また、同社は「循環型車社会」を提唱し自動車が寿命を全うできるよう取り組んでいる。商工会議所青年部や異業種交流を通じ見識を高め、地域社会の発展にも尽力する丹野社長に同社の安心と安全の取り組みについて話を聞いた。
■「自動車ソムリエ」としてユーザーに最適の一台を
異業種交流会に参加した際に自動車販売業にどうすれば興味を持ってもらい、より理解してもらえるかを考え「自動車ソムリエ」を名乗ったのが始まり。JU中販連は「JU適正販売店」と「中古自動車販売士」の認定制度を設け、安心と安全の業界づくりに取組んでいる。当社も適正販売店であり、販売士の資格も有している。販売士は、言い換えればまさに「ソムリエ」のようなもの。料理に合うワインをセレクトするのがワインのソムリエなら「自動車ソムリエ」はユーザーのライフスタイルに合うピッタリな一台をセレクトする仕事。「自動車ソムリエ」に興味関心を示す人も増え、異業種の人やユーザーも親しみをもって相談してくれる。その意味でも「自動車ソムリエ」は業界や自社の安心と安全の取り組みを伝える上で一役買っている。
■「コアラクラブ」で高齢者に安心と安全を提供
既存ユーザーの年齢が上がるとともに車を使用する頻度が減り、低額車を求める声が増えている。近所の買い物なら足代わりとして低額車はその役割を十分に果たせるが、一方で低額車は最近の安全装備が付いていない車がほとんど。ユーザーニーズに応え低額車の販売を考えたが、マネージャーから「安全装備が無い車を売るのは良くない。車屋としてどうなのか」と車屋の在り方を問う意見が上がった。昨今、高齢者の誤動作による事故が散見している状況を踏まえ、高齢者ドライバーにどうすれば安全と支払額を抑えた車を提供できるか考えコアラクラブに加盟した。コアラクラブの「かえせーる」は65歳以上を対象とした免許返納解約特約付きカーリス制度であり、最新の車を低額のリース料で提供できる。お客様のニーズに応え、さらに安心と安全の提供もでき、当社が掲げる“三方よし”の実現に利用している。
タカハタ(名古屋市中川区)
顧客のニーズを把握することが安心につながる
安心できるカーライフを提案することが全て
業界の常識にとわれず、販売を始め顧客管理において従来の手法とは一線を画しているタカハタ(名古屋市中川区、髙垣雅仁社長)。SNSに頼ることなく、互いに信頼関係を構築した管理顧客と紹介者にしか販売を行わない方法は、安定した経営とユーザーの安心のカーライフにつながっている。16年前に先代社長から経営を引き継いだ高垣社長。部門ごとの法人設立や少数精鋭による効率化を図るとともに、安心の訴求を常に考え具現化している。ユーザーからの中古車不信感が依然としてぬぐい切れない今、「安心」と「信頼」に徹底した同社の経営方針は、他社との大きな差別化になっている。
■ニーズチェックと性格分析で顧客を知る
同社の経営は管理顧客との信頼関係で成り立っている。その為に信頼関係構築は経営においての最優先事項となる。信頼関係を構築するために髙垣社長がもっとも大事にしているのが「顧客を知ること」であり、具体的には、「ニーズチェック」と「性格分析」になる。顧客が何を望み、どのような人物かを徹底的に把握することで、その人にもっとも適した提案を行う。これが顧客の安心につながっている。また、顧客からの紹介者においても同様だ。紹介者の人間性(生活スタイル、家族構成、趣味など)を把握したうえで、二人の会話の内容などから、紹介してもらう人間も同時に把握することができる。このように顧客を徹底的に知ることが顧客づくりの基礎となる。
■「大手百貨店の外商」が目指す販売方法
髙垣社長の目指す販売方法は「大手百貨店の外商」。顧客を把握したうえで、顧客にあった商品を提案するスタイルは信頼関係とニーズの把握が必要不可欠となる。髙垣社長は「会社が提供するのは顧客が安心できるカーライフであり、車そのものでは無い」とも話す。同社の販売は外商と同じで、「来店型」ではなく「訪問型」。そのため、中古車の在庫は1台もない。車両販売は顧客のニーズにあわせて、新車、リース、中古車を提案する。中古車の場合は、自社リースアップ車両やオークションから仕入れるが、重要なのは徹底的に整備を行い、少しでも故障する可能性を低くしている。髙垣社長は「顧客の思いを踏みにじることは絶対にできない。自社で納得できる車両しか販売しない。その結果が顧客の安心につながり、多くの紹介につながっている。今後は将来のビジョンをしっかりと描き、常に方向修正を行っていく」と話す。
関西オート(大阪府八尾市)
スタッフ全員が「整備士」「査定士」「保険募集人」資格を取得
カーライフ全般にわたり、的確な説明・アドバイス
関西オート(大阪府八尾市、大川博正社長)は1922年の会社設立以来、「地道に、確実に」を会社理念に掲げ、ユーザーとの「永いお付き合い」を通じて、着実に会社規模を拡大してきた。八尾店には指定整備工場を併設するなど、車販からサービス、保険などカーライフサービス全般にわたって、幅広い知識とノウハウで顧客との強固な信頼関係を構築する。営業、サービスに関わる全スタッフが自動車整備士資格を保有する。大川社長をはじめ、各スタッフが「整備士」「査定士」として、カーライフ全般にわたって的確なアドバイスを行うことで「安心」と「信頼」を提供する。損害保険(自動車、火災、傷害)取り扱いにおいても特級代理店資格を有し、全スタッフが「保険募集人」として、クルマに関するあらゆる相談に対応する。
■2022年4月には「平野店」を新たにオープン
2022年4月には、同社創業の地でもある大阪市平野区に平野店を新設した。新店舗は大阪中央環状(府道2号)沿いにディーラーのような雰囲気の店舗。「女性客にも安心してご来店いただける。大きな投資だったが、長期的視野で考えた『店作り』で、次代につなげていきたい」(大川社長)という。新店舗を足がかりに、更なる店舗展開にも意欲的だ。
■スタッフ全員が「整備士」「査定士」資格を保有
同社の営業、サービススタッフ全員が「自動車整備士」「自動車査定士」資格を有する。八尾店には指定整備工場を併設し、日頃の点検・整備入庫から車検、鈑金塗装まで、アフターサービス全般に対応する。メンテナンスパック商品も展開、定期的な入庫促進でユーザーとの接点を拡大する。営業スタッフであっても「整備士」「査定士」の立場で、的確な説明、アドバイスを実践する。
■展示車は全て第三者機関による鑑定済み車両
同社では、常時在庫350台以上を保有し、全車両が第三者機関による
鑑定済み。内外装や機関、修復歴などを厳正に見定め、良質車だけを厳選している。指定整備工場には最新の整備機器を揃え、軽自動車からファミリーカー、高級輸入車まで、幅広い車種に対応する。
特級代理店として、スタッフ全員が保険募集人
いざという時の相談窓口として、ワンストップのカーライフサービスを展開する上では保険取り扱いは不可欠。同社スタッフは全員が「保険募集人」資格を取得、幅広い知識で、ユーザー1人ひとりに合わせた提案を可能とする。
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