【B U D D I C A連載】V o l .6「他社との差別化」 - グーネット自動車流通

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【B U D D I C A連載】V o l .6「他社との差別化」

コラム 2023年02月27日
バディカ代表取締役・中野優作氏によるコラム連載
会社名:BUDDICA

 営業における差別化とは一体何なのか?クルマ屋における差別化とは一体どうやったらできるのか?
 こう考え始めたときによく陥る罠が個人で奇をてらったキャラ作りをする事です。
 そして、お店も何かの専門店化に振ってみたり、奇抜なデザインやタレントを起用してCMを打つ企業も多いですよね。もちろん一定の効果はあるし変化を求めるうえでは瞬発力は高く即効性があるでしょう。何もしないよりははるかにいい。それはそうだとしても、差別化という意味で言えば違う方法も考えた方がいいかもしれません。

 営業を全面的に出し、若くてイケメンや、美女を出すのもとても瞬発力があるし、会社の雰囲気を明るくする。でも本質的にはそういった人を雇用し続けて、前に出し続ける事の出来るだけの組織運営力や採用する力、組織のカルチャーが差別化になっていると言えるでしょう。
 例えば、今たまたまキャラの立つ、前に出てくれて受けの良い営業社員がいたとしましょう。その人を全面的に出して、個人で設定したそのキャラ設定はいつまでもつでしょうか?20代後半の今はよくても10年後も通用しますか?年齢とともに変化していきますか?そもそもその人は辞めないですか?

 芸能人を見ていれば無理だと分かります。奇抜なキャラはその場目を引いても継続がとても難しい。それに、こういった方が辞めて独立してお客様を全部持って行かれたという話はよく耳にしますね。そうなるのは明らかです。

 これはお店作りも同じです。ランチェスター戦略やブルーオーシャン戦略で差別化をという話を業界でよく話し合われていると思います。もちろん、選択と集中という意味で必要な事はありますが、○○専門店や、○○リース、などは先行で逃げ切るサービスだと僕は考えています。

 コンサルタントやFC(フランチャイズチェーン)の得意な領域は集客です。真新しい事でユーザーの目を引くのは天才的にうまいと思います。ただ、それをあらゆる会社が真似してしまいます。

 僕は大手に長く勤めて実際の店舗運営や出店、マーケティングにも現場の第一線で携わってきました。その立場から言わせてもらうと、ランチェスターやブルーオーシャンは規模の前には無力です。同じサービスならデカいところが勝つようにできているのが商売の原理原則です。
 つまり中小のヒット商品が出れば、大手はしばらく放置して様子をみて、いい商品だなと思えばパクればいいんです。もっと大きな規模で。これはミート戦略と言ってランチェスター潰しに最も有効とされています。アマゾンのジェフベゾスが得意とする戦法です。

 もちろん、かなり効果は高いし何もやらないよりはるかにいいと思います。ただし、それだけでは本当の差別化にはならないという話です。新しい商品やPRだけではユーザーに飽きられるたびに、次々真新しい商品を数年ごとに出し続ける必要があります。
じゃあそれだけじゃなく何をやればいいんだと言われそうなので例を上げます。
とてもうまくいっている例もたくさんあります。そこの企業はキャラや商品が当たっている訳じゃありません。本質は別のところにあります。

 僕の知っている未使用車専門店で成功しているな、すごいなと思う店舗は、未使用車を売る為の「組織作りと、品揃え」で圧倒的な地域のポジションを取っています。圧倒的に安くて、品揃えがいい。
 そして、それを成立させる為の、圧倒的な仕組み化とカルチャー作りに成功しています。お金なんかよりもライフワークバランスを充実させよう。お客様に感動してもらおうという人を採用し、教育しています。だから若いスタッフで感じのいい人が低賃金で働いてくれる。そういう知識の浅い人でも売れるようにする為の、未使用車専門店です。

 さらに、薄利になるので粗利率は圧倒的に中古車を売るより低いでしょう。でもそれを補うために数を売ります。その品を揃える資金力と展示場サイズもセットで必要になります。しかも彼らはバックエンド商品として車検や板金でマネタイズしていくことをはじめから設計しています。完璧です。ここまでやられるともう戦う気がしません。試合に勝っても勝負に負ける。儲からない。
 後発で入っていこうという気が全くしないほどに完成されています。これが本当の差別化で、地域でポジションを取るという事でしょう。

 あんな儲からない事して何になるんだと地元の人たちが様子見している間に、彼らは圧倒的に売りまくり、ユーザーを獲得していきました。その間に展示台数も、スタッフの数も、展示場すら大きくなり、何万ものユーザーの囲い込みに成功しました。これが、先行逃げ切りの差別化です。
 差別化はアイデアではありません。そんなものはこの情報革命以降の時代では即座に追随されて真似される。賞味期限はすぐに切れます。そのたびにまた新しいことにチャレンジするのも良いですが、ユーザー目線でどう思われるか考えればあまり得策ではないように思います。

 差別化とは組織そのもののカルチャーやユーザーから見た信用や信頼で考えていくといいでしょう。つまり、それを発信するのはお店で働くスタッフです。彼らは自分を発信していくべきでしょうか?やはりそれはユーザー目線で考えるといいでしょう。
 どういった人から未使用車を買いたいか?色々な考え方があるとは思いますが、未使用車を買って、乗っていて、信用できるレビューを教えてくれる人。商品知識が圧倒的に高いクルマ好きではないでしょう。
 軽の未使用車を買うユーザーの多くは、見た目と予算で決めます。クルマの違いは知りたくともスペックやうんちくには興味ないですよね。知りたいのはそのクルマを買った人の感想です。つまり個人としては、それを選んだ理由と乗ってみた感想を正直にSNSで発信していくといいでしょう。

 ユーザー目線で未使用車を買おうと思った時に、その専門店で働くプロの意見は気になって仕方がないです。絶対に見ます。
 そこでカタログでは分からないような情報を書いてくれていればこの人信用できるとⅮM(ダイレクトメッセージ)が届くでしょう。
 これを読んでいる方が30代の営業だとしましょう。
 あなたの住む地域でそういった発信をしている人がいるでしょうか?

 もし居なければ、そのポジションを取りにいくべきです。
 同年代は丸取りできるでしょう。ライバルがいたとしてもその人以上の手数と質で勝負してもいいし、別のポジションを探してもいい。いずれにしてもユーザーはプロだったらどうするの?が知りたいものです。
 営業のあなたは、もうその道のプロというだけでコンテンツになっています。
 あとは自分のどこをどう切り取って出すか。他の人とどういう差別化を図って自分だけの信用を勝ち取っていくかという事を考えていけばいいと思います。
 
 今回は差別化について書きました、本当の差別化はリーダーである社長がどこの会社よりも強くなる事だと思います。僕は、自分自身がまだまだこの業界で弱いのは重々承知した上で、他の大先輩方にはかなわない所で戦うつもりは全くありません。自分が圧倒的に商品に強くなり、リーダーとして他社とは全く違うカルチャーや組織作り、それをどこよりも、自分が率先してSNSで発信する事により差別化を測っています。これは「良い」「悪い」、「強い」「弱い」という事ではないと思います。BUDDICAの社員は口を揃えてみんな言います。「うちの社長は他とは違う」と。

<プロフィール>
中野優作(なかの・ゆうさく)氏。
1982年3月香川県さぬき市生まれ。バディカ代表取締役社長。
中古車小売り大手で数万台を超える実戦経験で手腕を発揮したのち、2017年同社創業。最大手業販サイト、オートサーバーで「5ツ星認定」を受け、21年度「販売台数ナンバー1」(全国会員7万社中)に。「車の流通をもっと自由に、なめらかに」というミッションを持ち、圧倒的な努力と情熱で挑戦する。地元・香川の3店舗と兵庫県、岡山県、千葉県に合計6店舗を構えるほか、福岡南店の出店で九州エリアにも進出したばかりの成長企業。趣味は「筋トレ」というストイックな側面は、事業への熱意や意識の高さにも通じる。

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