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タイの自動車整備工具市場には大きく3つのプレーヤーが存在する。1つ目のプレーヤーはチャイナタウンの工具屋、特徴として、チャイナタウンの工具屋は、陳列されておらず商品や価格が不明でグレーな市場だ。一般顧客にとっては怖くて敷居が高い。きちんと必要な整備専用工具やナットサイズを自分で把握していないと購入するのが難しい。最近は模造品などに対する政府の厳しい規制によって、市場規模が縮小してきている。
2つ目のプレーヤーは、ホームセンター。ホームセンターでは商品が安価で手に入る。しかし専門性が低く品揃えが少ない。これらの課題を克服できるのは、3つ目のプレーヤーの工具専門販売店だ。日本からタイに進出している企業にはアストロプロダクツなどがある。このように専門性の高い自動車専門工具を取り扱う工具専門店は、チャイナタウンやホームセンターの顧客とはバッティングはしていない。
タイには専門的な工具販売店は少なく、新しい顧客の獲得が必要だ。タイでは自動車工具は値段が高く種類もない。しかし、機能性を兼ね備えた高品質、高付加価値の工具がタイの市場に出てきた。今まで自分で工具を使っていなかった人でも、使いやすい環境になってきた。
数十年前の日本でも、車が普及すると今まで整備工場に持ち込んでいたワイパーやオイル交換くらいは自分でやってみようという人があらわれた。オイル交換でも自分でやるようになると、不思議と様々な修理やパーツに興味が出てくる。ワンストップで揃うお店があればタイ人にとって便利になるだろう。ユーザーが車に興味を持つ事で整備工具業界は活性化する。自動車が普及し、地方都市の所得向上によって趣味も多くなってきている。今、タイの自動車整備工具市場に興味を持つ新顧客は着実に増えてきている。
タイの自動車市場は新車販売のみを行う時代から、整備やパーツなどアフターマーケットビジネスへと変化してきている。そのアフターマーケットにはまだまだ伸び代が残っている。整備工場などの専門業者に持ち込む人々だけでなく、自分で軽いメンテナンスを行ったり、自分で自動車を磨いたりする新しい市場だ。これらの新しいユーザーを趣味層として増やしていくことが、自動車整備工具市場の拡大につながる。タイでは専門的な工具販売店はまだまだ少ないが中間層の勃興と共に、今までなかった自動車整備工具業界には大きなチャンスがある。
<川崎大輔 プロフィール>
大学卒業後、香港の会社に就職しアセアン(香港、タイ、マレーシア、シンガポール)に駐在。その後、大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより自らを「日本とアジアの架け橋代行人」と称し合同会社アセアンプラスコンサルティング にてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。2017年に株式会社アセアンカービジネスキャリアを立ち上げアセアン各国からの外国人整備エンジニアを日本企業へご紹介。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。
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