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自動車販売店の経営者や実務担当者が抱く経営・経理・税金に関する様々な疑問について、自動車業界専門の税理士が解説します。
【業務中の交通反則金】
交通反則金(以下、「反則金」)は、道路交通法に違反した人が刑事手続を免れる代わりに金銭を国庫に納付する制度であることはご存知の通りですが、業務として自動車を運転することの多い中古車販売店においては、経営者や従業員が業務中に交通違反をした際に発生する反則金をお店のお金から支払うケースも珍しくありません。
一見すると、こうした場合の反則金は、経費として認められそうですが、実はこの反則金は法人であれば損金不算入、個人事業主であれば必要経費の対象外となります。反則金の経費性を認めて税金を圧縮させることにより、違反者に対する反則金の効果が減殺されてしまうことを避けるため、この様な取り扱いとなっているのです。
【業務外の交通反則金】
業務中に交通違反をした際の反則金は経費として取り扱うことができないということは前述の通りですが、本来は違反者本人が負担すべき業務外の反則金を店側が負担した場合には、違反者への給与として取り扱われてしまいます。違反者本人が負担すべき反則金を店側が肩代わりした分が給与になるという考え方ですね。これは通常の給与と扱いは同じですから、違反者側では所得税や住民税などが課税されます。なお、給与として取り扱われた金額は、違反者が従業員であれば通常の給与と同じく経費扱いに、法人役員や個人事業主本人である場合には、経費にはなりません。
【反則金の経理処理】
業務中に交通違反をした際の反則金を店側が負担した場合の具体的な経理処理は、個人事業主の場合と法人の場合とで異なります。まず個人事業主が負担した反則金は、経費にはなりませんので、「事業主貸」として経理処理することで、必要経費から除外します。一方、法人が負担した反則金は、経理上は「租税公課」または「雑費」の科目で処理した後に、法人税の申告書の方で加算調整処理を行います。この加算調整処理は、通常税理士が申告書作成時に行いますので、経理処理を行う段階では、反則金であることが明確になるよう、その旨を摘要欄に記載しておくようにしましょう。
【筆者紹介】
税理士 酒井将人。
自動車業界特化型税理士事務所OFFICE M.N GARAGE代表。
自動車販売店などの経営サポートや業務改善に注力する傍ら、自動車業界活性化のための活動を行う。著書に『いまさら人に聞けない「中古車販売業」の経営・会計・税務Q&A(セルバ出版)』など。
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