【特集】中古車の「支払総額」表示義務化 - グーネット自動車流通

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【特集】中古車の「支払総額」表示義務化

企業・団体 2022年09月28日
支払総額で購入できないと不当表示
会社名:プロトコーポレーション

 自動車公正取引協議会(公取協、倉石誠司会長)は、表示適正化に向けて、中古車の「支払総額」の表示義務付けを決定した。6月の総会で規約・規則改正案が承認され、消費者庁・公取委に改正規約の申請・承認に向けた手続きを行っている。改正規約は、消費者庁・公取委の認定・承認後、半年間の移行期間を設けて来年10月の施行予定としており、併せて規約違反(不当な価格表示)に対する措置も厳罰化される。数年ぶりの大きな自動車公正競争規約の改正となる。

 公取協では、現状の問題を解決するために必要な対応として、規約・規則を改正し、中古車の販売価格として「支払総額」表示を義務付ける。不当な価格表示に関する規定及び規約違反措置基準の見直し(厳罰化)も行われた。表示された価格で実際に購入できない場合、「不当な価格表示」になることが明確化された。規約違反措置基準
も変更され、厳罰化される。

 支払総額で表示された価格で購入できない場合がそれにあたり、初回違反から最も重い厳重警告となり、悪質な場合は初回違反で最大100万円の違約金が課される。(2回目以降は最大500万円の違約金)安価な販売価格を表示し、整備や保証、オプション等の購入を販売条件にした場合も違反に対する措置が厳罰化される。

□規約・規則改正に向けた今後の予定
 会員事業者や中古自動車情報誌等の関係事業者においては、プライスボード変更、システム改修等に時間を要する
ことなどを踏まえ、規約・規則改正案について認定・承認(2023年3月ごろの予定)を得た後、施行までに約6カ月程度の移行期間を設ける予定としている。

□諸費用の考え方を理解する
 支払総額表示が義務化されることにより、何が変わって何が変わらないのか。車両価格に含めるべきものと諸費用に含めるべきものは何か。諸費用に含めてはならないものは何かを分かっていないと不当な表示に該当し規約違反として指導の対象となってしまうかもしれなくなる。

 まずは諸費用の考え方を理解することが大切であり、その上で車両価格に含めるべきものを整理する。表示と実態が異なる場合は不当表示となるおそれがあるので、このルールの原則を理解することが必要だ。次ページ以降では、「諸費用の考え方」と「規約改正で変わるもの・変わらないもの」を紹介する。

 現状の規約では、中古車の販売価格の表示は、「現金価格(車両価格)」か「支払総額」のいずれかを表示する。「現金価格(車両価格)」とは、店頭において、車両を引き渡す場合の消費税を含めた現金販売価格であって、「諸費用(保険料や消費税を除く税金、登録等に伴う費用)」は含まない。「支払総額」は、この「現金価格(車両価格)」に中古車を購入する際に最低限必要な「諸費用」を加えた価格となる。(図表①)

 「諸費用」は、「保険料、税金、登録等に伴う費用」を指す。支払総額に含めることができる適切な「諸費用」とは、図表①に限られる。一方、「諸費用」としては不適切で、車両価格に含まれるべき費用としては図表②となる。納車準備費用や納車点検費用、通常仕上費用等、名称の如何を問わず、車内清掃や洗車、クリーニング、ワックスがけなど販売の準備行為や車両の商品化のための作業の費用等は、車両価格に含めることが必要で別途請求することはできない。その他本来販売する自動車の車両価格に含めるべき性質のものである土日祝納車費用、利益、販売手数料、オークション陸送費、広告掲載料などがこれに該当し、車両価格に含めなければならず別途請求することはできない。

 これらの費用を「現金価格(車両価格)」に含めず、別途請求した場合、表示した販売価格で購入できるかのように誤認させる「不当表示」に該当する。また、定期点検整備の実施や保証の購入が車両購入の条件である場合、これに要する費用は、車両価格に含めて表示することが必要になる。

□表示例
 規約改正は、「中古車の販売価格として支払総額を表示、併せて、内訳として車両価格及び諸費用の額を表示することとする」としている。プライスボードの表示例(左図表③)や広告、チラシ等表示も例示された。諸費用の内訳については省略できるが、諸費用として不適切なものは含めることはできない。

 規約・規則改正を踏まえ会員事業者において必要と考えられる対応としては、プライスボード(カード)、同システムの変更、Webサイトや新聞・チラシ広告等の表示内容の変更、中古車情報誌、同ウェブサイトの表示内容変更への対応、注文書、同システムの変更、諸費用等に関する適切な対応(問題がある場合は見直しが必要)などが挙げられる。

□変わるもの
 まず施行規則の改正が行われ、中古車の販売価格の表示を「支払総額」に変更する。販売価格を表示する場合は「車両価格」に「諸費用」を加えた価格を「支払総額」の名称を用いて表示する。併せて、内訳として「車両価格」および「諸費用の額」を表示する。
 定期点検整備の有無に関する表示も変更される。トラブルの原因となるあいまいな整備費用の表示は廃止し、定期点検整備付の場合の整備費用は車両価格に含めて表示する。定期点検整備をしない場合は、整備無と表示することになり、別途整備費用を請求することはできない。

□変わらないもの
 基本的な考え方や運用の原則は変わっていない。諸費用の考え方や支払総額を表示する場合の原則などがこれにあたる。支払総額を表示する場合は、支払総額の名称で表示する。支払総額は購入時に最低限必要な費用をすべて含むことが挙げられる。つまり保険料、税金、登録等に伴う費用が含まれることの表示も要件とされる。また支払総額は登録等の時期や地域などについて一定の条件を付した価格である。リサイクル料金の表示は、支払総額に対する表示となる。

□冠水車も規約改正
 冠水車の表示に関する規約改正案も承認された。これまでの規約でも冠水車であることを表示しない場合は優良誤認にあたり、不当な表示とされていたが、今回の規約改正では、不当表示の禁止規定に「冠水車であるにもかかわらず、虚偽の表示及びその旨を表示しないことにより、冠水車ではないかのように一般消費者に誤認されるおそれのある表示」を追加した。また不当表示規定に対応した規約違反基準を新設し罰則規定を設けた。初回から最も重い厳重警告、悪質なものは違約金を課すことができる。これは冠水車と知りながら仕入れ、だまして販売するなど故意による「冠水車販売」の抑止力として罰則規定を設けるもので、過失によるものに罰則を科すという趣旨ではない。

□規約改正は消費者に安心を提供
 これまで自動車公正取引協議会では消費者保護の観点から、規約改正をはじめとした様々な取組み、啓発、周知活動をおこなってきた。昭和63年には「修復歴有無の表示」を義務付け、平成12年には「改ざん歴車」の表示明確化を行い、平成19年には「おとり広告」を防止するために車台番号下三桁の表示を義務付けた。今回の規約・規則の改正はそれに次ぐ大きな改正となる。どの改正も消費者トラブルが端緒となっているが、それを未然に防ぎ、公正な価格競争が行われるには、どれも不可欠なものと言える。

 消費者が安心して中古車を購入できる中古車業界のルールは全員一致で守らなければならない。そのためのルールがいよいよ改正される。中古車の流通が益々活発に行われるようになるためにも適正な価格表示の円滑な実施が期待されている。


□自動車公正取引協議会 鈴木欣也専務理事  「支払総額」の表示により安心の中古車販売
「消費者の信頼」と「事業者間の公正な競争」確保のために

 中古車の販売価格の表示を、従来の「車両価格」のみの表示から、「車両価格」に「諸費用」を加えた「支払総額」に変更するための規約・規則の改正(案)が、本年6月の総会で承認され、来年10月に施行されることとなりました(予定)。
 
 中古車販売業界においては、大手等専業店が、広告や店頭では非常に安価な「車両価格」を表示して消費者を引き付け、いざ商談となると、高額な「定期点検整備費用」や「保証費用」等の支払いを求め、また、販売事業者として当然行なうべき、納車前の点検や洗車・室内クリーニング等の費用を「車両価格」には含めず、「納車点検費用」「納車準備費用」等の名称で、あたかも「諸費用」であるかのように支払いを求める事例が後を絶ちません。 

 これらの支払を拒絶すれば中古車を販売せず、執拗な営業トークに根負けして費用を支払ったユーザーが被害を受けています。これらの販売行為は、表示した安価な「車両価格」では利益が得られないため、「整備」や「保証」、また、本来、請求できない費用を「諸費用」として請求することで利益を得るためのものです。不適切な販売行為どころか、まさに「詐欺まがいの行為」が横行し、こうした事業者が勝ち組になっているのが中古車販売業界の現状です。
 
 今回の規約・規則の改正は、販売価格の表示を「支払総額」に変更することで、表示した「支払総額」を上回る費用の支払いを強要する「詐欺まがいの行為」を排除し、「消費者が安心して中古車を購入できる」、また、「正直な事業者が得をする」中古車販売業界に変革するためのものです。施行に向け、「支払総額」表示や「諸費用」に関する事業者(非会員含む)及び消費者への周知活動を本格化いたします。本改正の趣旨をご理解いただき、施行に備えていただきますよう、お願いいたします。








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【対象評価点】

4、4.5点

【抽出価格条件】

直近価格が500千円以上

【抽出台数条件】

毎月50台以上の流通が過去6ヶ月連続していること